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もはや「100年に1度の危機」は毎年起こる?
新興・再興感染症の流行や大規模な自然災害を想定した事業継続計画(BCP)の策定を

2020/10/19

 「100年に1度」というフレーズを、近年、何回聞いたでしょうか。7月末、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行について「100年に1度の衛生上の危機」との見方を示しました。

 自然災害では、7月初頭に九州南部を記録的な大雨が襲いました。熊本県芦北町では7月4日午前8時までの24時間で425ミリの雨量を観測。「50~100年に1度の大雨」(防災科学技術研究所)となりました。2019年の台風19号による大規模な浸水被害があった阿武隈川や千曲川の流域の降雨量も「100年に1度」クラスだったとの解析結果が報告されています。2018年には西日本豪雨、大阪北部地震と自然災害が相次ぎ、被害を受けて事業を継続できなくなった医療機関や介護施設なども出ています(表1)。


表1 医療・介護が直面した近年の大規模災害 ※クリックで拡大します

 被災してもサービスが提供できるように、事前対策や組織体制の在り方、災害発生時の対応方法などを定める「BCP(事業継続計画、Business Continuity Plan)」を策定する動きもみられます。ただし、医療機関や介護施設のBCPの策定状況はそれほど芳しくありません。2019年10月時点の厚生労働省の調査では、BCPが「策定済み」の病院は25%にとどまっています(表2)。

 介護では、来る2021年度介護報酬改定の方向性として「感染症や災害への対応力強化」が大きなテーマの1つとして打ち出されました(関連記事はこちら)。全ての介護サービスに対して、運営基準においてBCP(業務継続計画)の策定を求める方針です。運営基準では、各事業者が順守すべき感染・災害対策の取り組みを位置付ける見通しで、既に厚労省は感染症対策のマニュアルを10月1日にホームページで公開(関連記事はこちら)。BCP策定のガイドラインも2020年度中に改訂版を公表する予定です。

表2 2018年10月1日時点における病院のBCP策定状況 ※クリックで拡大します

いざという事態でも「本当に機能する」BCPを考える

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』は、10月号特集「『100年に1度』に備える! 医療・介護の災害対策」で、実際に被災した施設の被害状況やその後の取り組みをリポートするとともに、「COVID-19の流行拡大」と「地震・豪雨等」に分けて、事業継続のための対策に取り組む医療機関や介護事業者を紹介しています(定期購読のご案内ページはこちら)。

 例えば、北海道内最大規模のCOVID-19のクラスターに発展した札幌市北区の介護老人保健施設「茨戸アカシアハイツ」では、入所者71人、職員21人の計92人が感染し、そのうち入所者17人が死亡しました。しかし、法人本部に「危機管理対策本部」が設置されたのは、最初の発熱者発生から20日後でした。

 もともと法人本部の職員は常勤3人のみで事務機能に集約され、現理事の多くは非常勤。法人内に複数ある施設の運営権限は各施設にありました。法人本部と各施設の職員とのつながりが薄い組織だったこともあり、施設内の感染状況が深刻化すると、現場から法人本部に情報が来なくなったといい、初動が遅れる原因の1つになりました。

 現在、同施設は今回の経験を徹底的に対策に反映しています。どのような教訓を得て、危機管理体制や医療との連携などを見直していったのか、復興を目指す様子をリポートしました。

 このほか、豪雨被害から短期間で復興したケースや、COVID-19による院内感染の発生に伴って、緻密な診療再開計画を練るとともに、早期発見・早期対応するためのBCPの見直しに着手したケースなどを取材。大規模災害や新興・再興感染症の流行に負けない法人運営の在り方を考えました。

 詳しくは日経ヘルスケア10月号をぜひご覧ください。

日経ヘルスケア、11月号以降の記事ラインアップ

 ここで日経ヘルスケア2020年11月号以降の記事内容を少しご紹介します。

徹底予測 2021年度介護報酬改定 秋から議論が本格化、運営基準に感染・災害対策も盛り込まれる「コロナ改定」の行方は?
救急体制ネクストステージ コロナ禍と2020改定で救急はどう変化したのか?
始まる! オンライン資格確認 2021年3月開始、マイナンバーカードで窓口で資格情報の確認などが可能に
「あずみの里」事件の教訓、誤嚥事故はどう防ぐ? 准看護師が「刑法上の注意義務違反なし」で逆転無罪も、なお残る課題
建築の専門家が教えるCOVID-19対策 新型コロナで施設設計はどう変わる?
今どき元気な高齢者住宅 入居者も職員も満足する仕組みとは?
医療・介護現場のDX推進大作戦 デジタルトランスフォーメーション(DX)はどう進める?

          ※記事タイトル・内容、掲載時期が変わることもあります

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連載の紹介

日経ヘルスケアon the web
医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

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