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関東などで再び医療・介護クラスター増加の兆候も
第一波は収束せず、遠のく「患者が戻る日」
各種の支援策を駆使し、逆境を乗り切る「しのぎ」の力が重要に

2020/07/17

 「月の減収幅は2億円ほど。しかし、申請できる限りの補助金・助成金を調べて申し込み、7000万~8000万円ほどを受給できる見通しが立った」──。病院経営への新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を取材中の記者から、このような病院があることを小耳にはさみました。

 もし、減収が短期間で済み、患者が戻ってくれば、この病院は経営への打撃をかなり抑えることができるでしょう。むしろ利益面では以前よりもプラスということもあり得るかもしれません。苦しいときほど、あらゆる施策を駆使して当座を乗り切る「しのぎ」の力が問われてくる、と感じました。

6月末から7月にかけて、医療・介護クラスターが相次ぎ発生

 苦境を乗り切り、「患者が戻ってきた!」と安堵できる状況になることを望むばかりですが、現在の状況はあまり芳しくありません。特に6月末から7月にかけて、再び医療機関や介護施設でのクラスターの発生が目立つようになったのが気がかりです。

 川崎医療生活協同組合・川崎協同病院(川崎市川崎区、267床)では、4~5月に発生したクラスターがいったんは収束し、段階的に診療を再開しましたが、7月1日に新たに患者1人の感染が確認。職員や患者の体調確認を行ったところ、計6人の職員と既に退院していた患者1人の陽性が判明しました。12日までに計16人(職員9人、入院患者6人、退院患者1人)に広がり、再び外来・入院の一部を制限しています。

 医療法人城東桐和会・タムス浦安病院(千葉県浦安市、199床)でも7月11日、職員4人、患者5人の感染が確認されたと発表しました。15日までに計27人(職員10人、患者16人、退院患者1人)の陽性が判明しています。

 介護でも介護老人保健施設 ひぐらしの里(東京都荒川区、入所定員100人)で6月27日、入所者1人の感染が確認。7月15日までに計32人(職員7人、入所者25人)のクラスターになっています。当面の間、新規入所者の受け入れ、通所リハビリ、訪問リハビリを休止している状態です。

 東京都は7月16日に286人のCOVID-19新規陽性者が確認され、1週間では1368人と感染拡大の傾向が続いています。第一波が収束しきらず、再び増加に転じてしまった地域では、受診控えの継続などによる経営への影響の長期化が懸念されます。

経営への影響、5月はより深刻に

 3~5月の医療機関の収入などが落ち込んでいることは、様々な調査で指摘されています。医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』は、7月号スペシャルリポート「第2波を見据えて様々な支援策」で、経営が切迫する医療機関・介護事業者の状況や、厚生労働省などが打ち出す各種の支援策などについてお伝えしました。(定期購読のご案内ページはこちら

 独立行政法人福祉医療機構の「病院経営動向調査」(6月調査、有効回答数:311病院)では、2020年5月の医業収益は、一般病院の8割超、療養型病院の7割、精神科病院の3割超で前年同月と比べて減収となったという結果を公表しました(ウェブの記事はこちら)。

 この調査は四半期ごとに行っているもので、今回は特別設問として、COVID-19による経営への影響を尋ねています。COVID-19による病院経営の影響を前年同月の医業収益と比べると、一般病院では、4月から5月の1カ月間で「減少」と回答した割合が74.2%から84.2%に増加し、特に「3割以上減」と回答した病院が8.2ポイント増加しています。

 日本医師会が7月8日に発表した調査結果(確定版)でも、医師会病院の3~5月の医業利益は大幅に低下していることが明らかになりました(ウェブの記事はこちら)。2020年3~5月の医業利益率は全体で-12.0%となり、前年同期の-1.3%から大きく低下。COVID-19患者を受け入れている病院では-21.5%(前年は-6.4%)と、大幅にダウンしました。

手厚い支援策、活用しない手はない

表1 2020年度2次補正予算における医療機関支援の概要

 政府は診療報酬や介護報酬に特例を設けるほか、病床確保や感染対策、事業継続、職員への慰労金など、2020年度第1次補正および第2次補正予算を編成して、医療機関・介護事業者の窮状への支援策を矢継ぎ早に打ち出しています。

 6月16日には、2次補正予算で1兆6279億円が計上されて拡充された「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」について、医療分の実施要綱が示されました。1次補正予算で創設された支援事業の増額に加えて、新たな実施事業が加わっています(表1)。

 例えば「医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業」では、医療機関・薬局などにおいて、院内などでの感染拡大を防ぎながら、地域で求められる医療を提供することができるよう、感染拡大防止等の支援を行うことを目的としています。

 「共通して触れる部分の定期的・頻回な清拭・消毒等の環境整備を行う」「待合室の混雑を生じさせないよう、予約診療の拡大や整理券の配布等を行い、患者に適切な受診の仕方を周知し協力を求める」「発熱等の症状を有する新型コロナ疑い患者とその他の患者が混在しないよう、動線の確保やレイアウト変更、診療順の工夫等を行う」「電話等情報通信機器を用いた診療体制を確保する」「感染防止のための個人防護具等を確保する」「医療従事者の院内感染防止対策(研修、健康管理等)を行う」といった感染拡大防止対策に関する費用が助成されます。

 実際の給付は都道府県で、例えば神奈川県は「神奈川県新型コロナウイルス感染症緊急包括支援補助金(医療分)」として要綱や申請書を公開しています。

 表現があまり適切ではない気もするのですが、医療機関などへの支援策として、助成金・補助金などの形をとって大量のお金が医療・介護分野に流れ込むことになります。このお金の流れを自法人に引き入れる策を講じることも、事業を継続し、地域での責任を果たしていく上で必要なことではないでしょうか。

 詳しくは日経ヘルスケア7月号をぜひご覧ください。

日経ヘルスケアは今後、このような記事をご提供します!

 ここで日経ヘルスケア2020年8月号以降のラインアップを少しご紹介します。

利用者が戻ってきた! 通所リハビリ、通所介護の新運営術 訪問も可能になった通所系サービスの新スタイルとは?
広がるか、オンライン診療 先進的な医療機関の使いこなしを徹底紹介!
「何となく印象が良くない」職員への対処法 今こそ見つめ直したい患者との接し方
今だからこそES向上 奮闘する職員にどう報い、従業員満足を高めるか
Withコロナ時代の中小病院・診療所生き残り策 先進事業者の減収への対処法をお伝えします
医療・介護「100年に1度」に備えるためのBCPの作り方 新型コロナや災害発生にも負けない体制の整備へ
Withコロナ時代のCS向上 患者・利用者満足の向上の契機に

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連載の紹介

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医療と介護の経営専門誌「日経ヘルスケア」は、行政動向に関する深い分析と徹底した現場取材を通じ、厳しい環境下で勝ち抜くためのマネジメント情報を提供しています。創刊は1989年。専門記者の手による記事は、開業医や病院長の先生方など2万人近い読者に支持していただいています。このブログでは、話題の経営トピックスを盛り込んだ最新号の内容を、ちょっとだけですがご紹介します。

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