アウトカムという言葉は、「成果・結果」「転帰・帰結」「実績・成績」など幅広い意味を持ちます。臨床での各種成績・指標のほか、利益率などの経営指標を指すことも。近年では、診療報酬介護報酬アウトカム評価が導入され、拡充される流れにあります。数多くの指標の中から、何を選び、どう生かせばよいのでしょうか――。

 医療・介護の経営誌日経ヘルスケア8月号特集「医療・介護『アウトカム経営』のススメ」から、先進事例の一部を紹介します。


日高リハビリテーション病院(群馬県高崎市)

 グループで実績を競い合い、リーダーが若いリハビリ職を指導・育成していく──。医療法人日高会日高リハビリテーション病院(群馬県高崎市)では、こうしたアプローチでリハビリ力の向上に取り組んでいる。同院の回復期リハビリテーション病棟では回復期リハビリ入院料3を届け出ているが、実績指数は55.3(2018年10月~2019年3月)と入院料1で求める37を上回る水準にある。

 同院への入院ルートは法人内の日高病院からの紹介が17.6%、他の急性期病院からが82.4%(2018年度)と、地域の急性期病院から紹介された患者を受け入れる役割も大きい。それだけに患者の入院時の状態はまちまちで、実績指数を高めるにはリハビリの腕が問われる。

臨床や終了後フォローを評価

 「質が高いリハビリの提供には教育が大切だと思い、指導・育成の仕組みづくりを進めてきた」と同院リハビリテーションセンター室長の平石武士氏は語る。その核となるのがグループ制で、3~4人のリハビリ職が一つのグループを構成する。新人、3~10年目の中堅、10年以上のグループリーダーというのが典型的な内訳だ。

 グループで競い合うのは「臨床」「教育」「学術活動」「連携・終了後フォロー」の四つの成果(表1)。年2回、「グループ間アウトカム」として公表する。例えば「臨床」では、職員個人とグループが担当した患者について、脳血管疾患や運動器疾患など疾患別の実績指数を業界の平均値と比べた倍率で表す。上位のグループの実績指数は平均値の2倍近くに上る。

表1 日高リハビリテーション病院の「グループ間アウトカム」の概要
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 「教育」は、グループリーダーの指導力を表したもの。リーダーが部下の指導・育成に責任を持ち、部下が評価シートの項目(60項目前後)をどれだけ満たしたかが、リーダーの評価に直結する。例えば、部下の評価シートの達成率の平均が65%だと、リーダーの評価における「指導」項目の数値も65%となる。グループ間アウトカムではこの数値を用いる。

 「学術活動」はグループのメンバーの論文や学会発表、講習会の講師役や参加などに応じて点数がつく。

 「連携・終了後フォロー」は、特に重視している項目だ。退院後に介護保険の通所介護事業所などへ紹介して連携した患者や、地域のサークル活動への参加、復職などを果たした患者の割合で評価する。各グループとも90~100%と高水準だ。

 同院の経営理念は「患者様に満足と感動を」。「身体機能の回復だけにとどまらず、社会参加の実現こそが大きな感動につながると思い、力を入れて取り組んでいる」と平石氏は語る。


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