「アウトカム」という言葉は、「成果・結果」「転帰・帰結」「実績・成績」など幅広い意味を持ちます。臨床での各種成績・指標のほか、利益率などの経営指標を指すことも。近年では、診療報酬や介護報酬でアウトカム評価が導入され、拡充される流れにあります。数多くの指標の中から、何を選び、どう生かせばよいのでしょうか――。

 医療・介護の経営誌『日経ヘルスケア』は、8月号特集「医療・介護『アウトカム経営』のススメ」で、指標に基づいた新しい医療経営のあり方を展望しました。

回リハ開設で在院日数が3~5割に大幅短縮

 「様々な指標がある中で『アウトカムとして何を重視するか』は、一口で答えるのが難しいが、根底にあるのは『早く退院できる患者は、なるべく早く家に帰って生活できるようにするべき』という考えだ」。社会医療法人財団慈泉会(長野県松本市)理事長で相澤病院(460床)の最高経営責任者(CEO)の相澤孝夫氏は、こう語ります。

 同院は近年に急ピッチで機能分化と病棟再編を進め、2014年6月に回復期リハビリテーション病棟(現在50床)、2016年6月に地域包括ケア病棟に特化した相澤東病院(現在54床)の運営を開始しました。その理由にも、相澤氏の方針が関係しています。

 それまで同院では、脳卒中などによる入院・手術直後から急性期リハビリを手厚く実施。生活機能の回復が見込める患者には早期に直接自宅へ退院してもらうことを目指し、平均在院日数は20日程度でした。一方、長期のリハビリが必要と考えられる患者には、相澤病院で30日程度の急性期リハビリを行った後、他のリハビリ病院に転院を依頼していました。

 しかし、この運用だと相澤病院の在院日数が長引き、「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合が低下しやすい問題もあり、急性期病院としての体制維持を難しくしていました。

 そこで自院内に回復期リハビリ病棟を開設し、急性期治療後の患者を速やかに受け入れ、高頻度でリハビリを提供できるようにしたわけです。実際、回復期リハビリ病棟の開設後の2015年に同病棟を経由して自宅に退院したケースでは、平均在院日数が大幅に短縮。開設前は同院で30日程度の急性期リハビリを行った後、患者は他院の回復期リハビリ病棟等で70~100日程度過ごしていましたが、3~5割程度の日数になりました(図1)。

図1 相澤病院の回復期リハビリテーション病棟の開設前後での転帰別在院日数比較(開設後は2015年のデータとの比較)
(※クリックすると拡大表示されます)

 同院の回復期リハビリ病棟について直近3年の主な診療実績を見ると、一般的な回復期のイメージとはかなり異なっています。平均在院日数は34.3~39.5日と、全国平均の69.4日(厚生労働省「診療報酬改定の結果検証に係る特別調査・2017年度調査」)の5~6割程度です。

 リハビリの提供によるADL(日常生活動作)の改善度合いを評価する「実績指数」は100前後で推移。2018年度診療報酬改定では回復期リハビリ病棟入院料1の施設基準で求められる実績指数が改定前の27から37に引き上げられましたが、その水準を大きく上回ります。「早期に転棟して集中的にリハビリを行うことで、なるべく短期間で自宅へ退院できる状態に改善する」という同院の回復期リハビリの治療方針は、急性期リハビリの概念を色濃く含んでいるのです。

 回復期リハビリ病棟の開設に際しては、「入院後いつまでが急性期治療で、いつからが回復期と言えるのか」について、DPCデータの分析を基にリハビリ部門と議論。検討の末に導き出したのが、入院後の急性期治療の期間は「脳血管疾患10日、整形疾患7日」を目指すという挑戦的な目標でした。

 こうした先進的なアウトカム経営を実践しているのは相澤病院だけではありません。今回の特集記事では、独自に指標を設定して患者の自立支援を実現している医療機関・介護事業者を数多く紹介しました。

 その詳細は日経ヘルスケア8月号をご覧ください。

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