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KUROFUNetから日本へ
「任せておいて大丈夫?」という不安も

2011/03/23

 東日本大震災はアメリカでも連日大々的に報道され、各方面から温かい言葉をいただいています。寄せられる声の大半は、日本そして私の家族や友人を気遣うものや、この大混乱にもかかわらず秩序を保ち献身的な努力を続ける日本人の品格に対する賞賛です。私の所属する大学でも募金活動が行われ、協力の輪が広がっています。

 ところが、ここ数日、福島原発への対応をめぐってニュアンスの異なる意見が寄せられています(編集部注:3月17日時点)。被害状況と事態の深刻さが明らかになるにつれ、「日本政府は情報開示が遅い。何かを隠しているのではないか?」「見通しの甘さから対処が後手に回っている」「被曝覚悟で接近して海水を注入するという『原始的』な方法で大丈夫なのか?」といった声が、メディアのみならず私の周囲の人々からも上がってきています。

 最悪の事態を想定する悲観論も聞こえ始め、「海を越えて、アメリカにも被害が及ぶのではないか?」という懸念まで生まれ、極端に言えば「お前たちに任せておけるか!」という雰囲気さえ伝わってきます。隣人からのあいさつも、「ご両親や親戚はいつアメリカに呼ぶの?」という質問に変わってきました。

 被災地における医療支援についても、被災地に医師を送るだけではなく、中等症の患者たちをほかの地域に搬送する努力、そして患者移送に長けたシステムを持つ米軍への要請を望むという意見も、アメリカへの臨床留学経験がある日本人医師のネットワークからは早くから出ています(http://medg.jp/mt/2011/03/vol67.html#more)。

 最悪の事態を想定した危機管理体制、予想される事態にシステマチックに対応する戦略が、こちらにいて見えてきません。日本の政府や報道機関には、細切れの情報だけではなく、全体像が見えるような情報を流してもらいたいと思っています。

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著者プロフィール

宮入 烈

テネシー大学小児科・分子生物学教室アシスタント・プロフェッサー

1995年慶應義塾大学医学部卒業。同医学部小児科入局後、2000年にニューヨークロングアイランド大学病院で小児科研修後、2003年からセントジュード小児病院・レボーナー小児病院の小児感染症フェローシッププログラム。2007年より現職。小児感染症の臨床業務に携わりながら、主任研究員として感染症の病態生理を研究。休日は、日本語補習校で小学校6年生に国語と算数を教えている。

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