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「布団に入ると、止まらなくなる咳」に麦門冬湯を試す価値あり

2011/04/19
引地悠

 蛇足ですが、たばこを吸っている人は、それだけで気道への刺激が過剰である上、口で息をする癖がなかなか治らないので、この際、禁煙をお勧めします。

 鼻呼吸の効果が感じられるまでには、少し時間がかかります。それまでの間、症状を緩和してくれるものに、「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」という漢方薬があります。

 小さな湯呑みに熱湯を入れ、麦門冬湯を加えて、箸でかき混ぜて溶かします。これだけで、立派な「薬湯」のでき上がりです。この温かい薬湯を空腹時に飲むことで、胃腸が温まり、ひいては体全体が温まります。乾燥していた気道粘膜、消化管粘膜が潤います。こうして、冷たい空気と乾燥が刺激となって出ていた咳は、自然に改善してくることと思います。

 なお、効果がない、または完全に症状が治まったのに、漫然と投与するのは、くれぐれも避けたいところです。この漢方薬の効果は、早ければその日のうちに、遅くとも3日以内には、効いたか、効いていないか、変わらないか、どのベクトルを向いているかは判断できます。私は、初めは3日から5日間程度の処方をし、状況に応じて追加するようにしています。

 麦門冬湯は、漢方で重要とされている「証」診断(その人の体質に合うかどうか)を、厳密にしなくても、幅広い年齢層で、安全かつ有効な結果を期待できる、とても使いやすい薬です。「口呼吸をやめること」と併せてぜひこの機会に試してみられることをお勧めします。皆様のご健康を、心よりお祈りいたします。

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著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。09年1月に第1子を出産し、10年1月に復職。

連載の紹介

引地悠の「仕事と育児のベストバランスを求めて」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」と考えていた引地氏。2009年1月に第1子を出産し、育児休業を1年間取得後、2010年1月に復職しました。新米ママ女医として盛りだくさんの日常をつづります。

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