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2008. 5. 7

脳卒中予防の原則とARBの有用性

国立循環器病センター名誉総長 山口武典氏に聞く

2008. 5. 7

脳卒中予防の原則とARBの有用性

国立循環器病センター名誉総長 山口武典氏に聞く

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脳血管

国立循環器病センター名誉総長の山口武典氏

 脳卒中予防では高血圧管理が最も重要な位置を占める。降圧におけるARBの有用性と利尿薬の併用や抗血小板療法の適用について、国立循環器病センター名誉総長の山口武典氏に話を聞いた。山口氏は脳卒中予防協会理事長として、脳卒中予防の重要性や治療におけるリスクについての啓蒙活動にも多大な貢献をしている。(聞き手:中沢 真也=日経メディカル別冊)


――脳卒中予防で必要な管理とその重要度について教えてください。

 脳卒中予防でずばぬけて大きなウエイトを占めるのが血圧管理であり、次いで糖尿病心房細動が重要というのが一般的な考え方です。いわゆる脂質異常症も大切ですが、脳卒中への関与という点では、日本人では心房細動よりもやや下位に位置すると思っています。

 これは1960年代から九州大学第2内科が実施している久山町研究でも明確に示されています。登録時に高血圧だった人では正常者に比べ、脳梗塞でも脳出血でも明らかに高頻度で発症しています。

 1960年代には、ヒドララジンレセルピン降圧利尿薬などが登場しており、ある程度の高血圧治療が行われていたはずですが、もともと血圧が高かった人には脳梗塞が有意に多いということは間違いない事実です。

――疫学的に高血圧の危険性が示されたということですね。

 その通りです。では血圧を下げる介入によって脳卒中発症が抑えられるのか。これまでに、非治療群とβ遮断薬、降圧利尿薬、カルシウム(Ca)拮抗薬による治療群との比較はありましたが、直接、脳卒中について、薬剤同士をhead to headで比較した試験の一つにLIFE研究があります。

 これはアンジオテンシンII受容体拮抗薬ARB)のロサルタンβ遮断薬アテノロールを比較した試験で、脳卒中を含む心血管イベントを主要評価項目としており、ARBの優位が確認されました。また、サブ解析でも、心房細動の抑制や、糖尿病患者における心血管イベント発生の減少など、2次的に望ましい作用がみられており、ARBの優れた特性が示されたと考えています。

 ALLHAT研究では、アンジオテンシン変換酵素ACE)阻害薬がカルシウム(Ca)拮抗薬より悪いという結果が出ました。あれはACE阻害薬を単独で使っているから十分な降圧が得られなかったのだと思っています。

 Ca拮抗薬も血圧を十分に下げるし、特に脳卒中に関しては発症率を明らかに下げることは間違いないと思います。ARBとCa拮抗薬のどちらが脳卒中の予防により有効か、まだ結論が出ていないと思います。

 脳卒中再発予防の場合、作用機序を考えるとARBは望ましい効果があると思います。ARBは単独で使うとそれほど降圧効果は強くありませんが、これにインダパミドなどの降圧利尿薬を加えると、十分に血圧が下がります。こうした用法は、残念ながらまだ一般医家の先生方はあまり利用されていないようです。

(次ページに続く)

(日経メディカル別冊)

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