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2008. 3. 31

無症候性脳梗塞の臨床的意義とその降圧療法

自治医科大学附属病院長・循環器内科教授 島田和幸氏に聞く

2008. 3. 31

無症候性脳梗塞の臨床的意義とその降圧療法

自治医科大学附属病院長・循環器内科教授 島田和幸氏に聞く

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脳血管

――脳卒中の最大の危険因子は高血圧といわれていますが、
無症候脳梗塞に対する降圧治療のポイントについてお話しください。


島田■無症候性脳梗塞に対する降圧治療の有効性は、PROGRESS研究(Perindopril Protection Against Recurrent Stroke Study)によって明らかになっています。ご存じのように、本試験はアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬を基礎薬とした降圧治療が、脳卒中既往例の再発リスクを軽減するか否かを検証したもので、実薬治療によってラクナ梗塞の発症リスクは23%減少しました。

 本邦では画像診断の普及率が高いので、PROGRESSにおける本邦の症例では、毎年、頭部CTを施行し、無症候性脳梗塞の出現と実薬の関連を検証するサブスタディが行われました。

 その結果、実薬群では、プラセボ群に比して無症候性脳梗塞の発現リスクの低下が認められています。一方、血圧のコントロールがあまりよくない症例(160/90mmHg以上)では、無症候性病変の発現率が高いことも同時に明らかになっています。

 この成績は脳卒中の既往歴がある症例に対するものですが、無症候性脳梗塞がある場合の脳卒中1次予防を考える上でも非常に重要なデータだと思われます。

 すなわち、降圧治療によって無症候性脳梗塞の新たな出現を抑制でき、さらに脳卒中の再発も抑制できることが明らかですから、無症候性脳梗塞の方ほど、厳格に血圧をコントロールすることが大切になります。

 具体的には、130/80mmHg未満を目標にして、できるだけゴールを低くしようというのが、今日の考え方です。

――無症候性脳梗塞に対する降圧治療では、どのような降圧薬を選択すべきでしょうか。

島田■PROGRESSのサブスタディでは、実薬群における利尿薬の併用がわずか7%ですから、ACE阻害薬が無症候性脳梗塞に有効だということは明らかです。また、脳卒中の既往歴を有する高血圧患者を対象に、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とCa拮抗薬の有効性を比較したMOSES試験の成績をみると、降圧効果は同等でしたが、脳血管イベントの発症は、ARB群で有意に低下していました。

 したがって、RA系阻害薬には降圧を超えた脳保護作用があるかもしれません。しかし、メタ解析の成績をみると、脳卒中の発症抑制は降圧に依存しており、RA系阻害薬の降圧を超えた脳保護作用は明らかではありません。

 そこで現在は、利尿薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、ARBが第1選択薬となっています。この4剤なら、たとえ体血圧が下がっても脳循環は維持できると考えられるからです。

(次ページに続く)

(日経メディカル別冊)

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