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2008. 3. 31

無症候性脳梗塞の臨床的意義とその降圧療法

自治医科大学附属病院長・循環器内科教授 島田和幸氏に聞く

2008. 3. 31

無症候性脳梗塞の臨床的意義とその降圧療法

自治医科大学附属病院長・循環器内科教授 島田和幸氏に聞く

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脳血管

 CTやMRIなど画像診断技術の進歩によって,明らかな神経症状をもたない患者でも脳梗塞病巣が検出されるようになった。それが無症候性脳梗塞である。その病態や臨床的意義、治療の実際などについて、自治医科大学循環器内科教授で同大病院長の島田和幸氏に聞いた。(聞き手:見留 正璽=メディカル・ラボ)

自治医科大学附属病院長・循環器内科教授の島田和幸氏

――無症候性脳梗塞は、画像診断技術の発達によって生まれた比較的新しい疾患概念ですが、その病態と臨床的意義についてご説明ください。

島田■脳卒中の既往がない症例において、脳血管病変に伴う神経症状は示さないが、CTやMRIなどの画像診断で脳実質病変が認められるものを無症候性脳梗塞と呼び、深部の小梗塞(ラクナ梗塞)、エタクリブレ、傍側脳室高輝度病変(PVH)に分類されています。

 いずれも、脳の細小血管の動脈硬化に基づく血管閉塞、あるいは慢性の虚血による脳の実質的な虚血性病変と考えられており、欧米人と比較して、日本人にはラクナ梗塞が多いことが特徴です。

 無症候性脳梗塞の臨床的意義は、その存在が脳卒中発症や再発の予測因子になることです。例えば、無症候性脳梗塞が認められない群と比較して、認められる群では脳卒中の発症頻度が約5倍であることが、ロッテルダム試験で明らかになっています。

 本邦においても、脳ドックで無症候性脳梗塞が認められた群の脳卒中発症率は年間2.8%であるのに対して、認められなかった群では0.28%と、非常に大きな差があることが明らかになっています。

 無症候性脳梗塞がみられるのは、脳の血管障害が進んでいる状態と判断でき、数年間に高率に脳卒中を発症すると考えられています。

 また、PVHがみられると、将来痴呆になる可能性が高いことも、われわれの研究で明らかになっています。

 無症候性脳梗塞の発症には、年齢と血圧が深く関与しています。年齢が70歳以上の方や長期にわたって高血圧のコントロールが悪い方、糖尿病や高脂血症など高血圧以外のリスク因子が重積している方は、脳の高血圧性病変が進行している可能性が十分に考えられ、無症候性脳梗塞を発症している確率は非常に高いと思われます。

 また、高血圧性の心肥大や腎硬化症があると、高率に無症候性脳梗塞を合併することも明らかになっています。

(次ページに続く)

(日経メディカル別冊)

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