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2008. 7. 9

PRISMA、MICADO研究

早朝血圧の厳格な管理で脳血管系イベントを抑制

2008. 7. 9

PRISMA、MICADO研究

早朝血圧の厳格な管理で脳血管系イベントを抑制

関連ジャンル:

脳血管 | 高血圧

 血圧と脳卒中との関連性は十分に知られており、虚血性脳出血に関しては、特に早朝血圧が大きなリスクファクターとなることが指摘されている。早朝高血圧には、夜間上昇した血圧がそのまま早朝も維持される「夜間高血圧型」と、夜間に低下した血圧が早朝に急上昇する「モーニングサージ型」があり、モーニングサージ型ではそうではない群に比べて、脳卒中や心筋梗塞のリスクが2.7倍高いことが判明している。

 また、降圧薬服用者でも、降圧効果が十分に持続されず、24時間にわたって十分に降圧できていないケ−スでは、早朝高血圧になる可能性がある。このため、長期作用型の降圧薬による早朝高血圧対策の必要性が指摘されている。これと並行して24時間自由行動下血圧測定(ABPM)の意義が高まっている。

 本稿では、早期高血圧に対するアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)テルミサルタンの降圧効果を検討したPRISMA研究(2005年)とMICADO 研究(2004年)の概要を紹介する。

PRISMA
A Prospective Randomised Investigation of the Safety and efficacy of Micardis vs. Ramipril using ABPM

 PRISMAは、欧州と南アフリカで実施されたPRISMA Iと、北米で実施されたPRISMA IIから成る。ARBテルミサルタン80mg 1日1回投与とアンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬ramipril(ラミプリル)10mg 1日1回投与による効果と安全性を比較したもので、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)による投与間隔内の後半6時間における降圧効果を検討した。

 その結果、テルミサルタン80mgはramipril 10mgと比較して、早朝時の収縮期血圧、拡張期血圧ともに有意に降圧効果を示した。収縮期血圧12mmHg vs. 7.9mmHg(p<0.0001)、拡張期血圧8.4mmHg vs. 5.4mmHg(p<0.0001)だった。

 24時間を通して、テルミサルタン80mgはramipril 10mgと比べ、有意な降圧効果を示した。平均収縮期血圧降圧14.1mmHg vs. 11.0mmHg(p<0.0001)、平均拡張期血圧降圧度9.6mmHg vs. 7.2mmHg(p<0.0001)。

 早朝血圧サージが最も高い患者群において、テルミサルタン80mgはramipril 10mgに比べて、最大早朝収縮期血圧サージを4.9mmHg以上降下させた。収縮期血圧降圧度12.7mmHg vs. 7.8mmHg(p=0.0004)。

 最も一般的な副作用は咳嗽(がいそう)だったが、テルミサルタン投与群では、ramiprilなどACE阻害薬に見られる治療関連性の咳嗽は少なかった(0.4% vs 6.9%)。また、テルミサルタン群の5.0%、ramipril群の6.2%に頭痛が認められた。その他の副作用は両群とも5%以下であった。

 これらのデータは従来の臨床試験でも示されていたが、わずかな降圧であっても心血管関連死を有意に低減させる(収縮期血圧の2mmHg降下が虚血性心疾患死を7%、脳卒中死を10%低減)ことを、臨床的にも追認するものだった。

 PRISMA I、IIの結果は、早朝時において、テルミサルタンが他の降圧薬よりも優れた降圧効果を示すとする従来のデータを支持するものである。ABPM圧モニタリングを用いた大規模データベースの研究成果からも、テルミサルタンは一般的に用いられているバルサルタン、ロサルタン、アムロジピンなどの降圧薬に比べ、投与間隔の最終(すなわち次回投与直前の)4〜6時間における平均ABPMを有意に降下させることが示されている(Poster presented at the European Society of Hypertension Annual Meeting, 20 June 2005, Milano, Italy)。

(次ページに続く)

(頓宮 潤=メディカルライター)

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