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2008. 3. 19

脳梗塞は抗血栓療法と危険因子の管理で予防する

脳卒中診療の今:血栓コントロールの重要性

2008. 3. 19

脳梗塞は抗血栓療法と危険因子の管理で予防する

脳卒中診療の今:血栓コントロールの重要性

関連ジャンル:

脳血管

再発予防の2本柱:危険因子の管理と抗血栓療法
 虚血性脳卒中では再発例が多く認められている。このため一度発症を経験した患者では、より厳格な管理による再発予防が重要な課題となる。脳卒中治療ガイドライン2004によると、再発予防に当たっては、危険因子の管理と抗血栓療法が2本柱となる。

 まず、危険因子の管理においては、虚血性脳卒中患者の多くにみられる高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈(心房細動)などの基礎疾患への対応が重要。病態の進展抑制のためにも、食事療法、運動療法、禁煙などの励行の指導とともに、それぞれの疾患の治療目標達成値を設定した薬物療法が行われる。

 もうひとつの柱である抗血栓療法は、脳動脈が動脈硬化などで閉塞する非心原性脳梗塞に対しては、血栓形成を抑制するためにアスピリン、チクロピジン、シロスタゾールなどの抗血小板薬などを用いた抗血小板療法が用いられる(※チクロピジンと同じチアノピリジン系薬剤で重篤な副作用の少ないクロピドグレルが2006年に承認された)。

 抗血小板療法については、虚血性脳卒中の再発を有意に低減することがAntithrombotic Trialists'Collabration(ATT)のメタ分析で報告されている。それによると、閉塞性脳血管障害の高リスク患者において脳卒中、心筋梗塞、血管死の3血管イベントは22%減少。血管イベントはアスピリンにより22%、チクロピジンにより32%、アスピリンとジピリダモールの併用により30%減少した。アスピリンとチクロピジンの直接比較では血管イベント低減効果に有意差は認められなかった。

 日本では1000例以上の虚血性脳卒中患者を対象に実施したシロスタゾールとプラセボを用いた無作為化二重盲検試験「CSPS」で、シロスタゾールの虚血性脳卒中再発予防効果が示されている。

 一方、心原性脳塞栓症に対しては、抗凝固療法が施行される。心原性脳塞栓症の再発予防は、特に禁忌がない限り原則として抗凝固薬ワルファリンが第1選択となり、ワルファリン禁忌の患者のみアスピリンなどの抗血小板薬を投与される。

 このように虚血性脳卒中発症においては血栓が重要な役割を果たしており、日常生活において血栓形成を起こさない環境作りに配慮するとともに、再発予防には薬物療法による継続的な治療が重要となる。

■参考文献
 高血圧治療ガイドライン2004
 脳卒中治療ガイドライン2004
 Kubo M,et al.Neurology 66:1539-1544,2006
 Ninomiya T,et al.Stroke 38:2063-2069,2007
 Antithrombotic Trialists' Collaboration. Collaborative meta-analysis of randomized trials of antiplatelet therapy for prevention of death, myocardial infarction, and stroke in high risk patients. BMJ 2002;324 (7329):71-86.

(頓宮 潤=メディカルライター)

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