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2008. 3. 19

脳梗塞は抗血栓療法と危険因子の管理で予防する

脳卒中診療の今:血栓コントロールの重要性

2008. 3. 19

脳梗塞は抗血栓療法と危険因子の管理で予防する

脳卒中診療の今:血栓コントロールの重要性

関連ジャンル:

脳血管

 虚血性脳卒中(脳梗塞)には、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症が含まれる。アテローム血栓性脳梗塞の原因として、脳血管の動脈硬化を発症・進展させる高血圧、脂質異常症、糖尿病が、またラクナ梗塞では主に高血圧が挙げられ、心原性脳塞栓症では、心臓で形成された血塊(血栓)が剥離されて脳血管に移動し、血管を閉塞させることが原因となる。

 虚血性脳卒中の予防には、危険因子の管理と血栓形成の阻止を図る抗血栓療法が行われている。また脳血管内に形成された血栓に対しては、血栓溶解療法が試みられる。

虚血性脳卒中の発症頻度と危険因子
 虚血性脳卒中の発症率・死亡率は出血性脳卒中を上回り、脳卒中急性期データベース「JSSRS」(1999〜2003年)による急性期脳卒中の実態調査(一過性脳虚血発作を除く1万5604例)では、虚血性脳卒中78.0%、脳出血15.5%、くも膜下出血6.5%であり、脳卒中発症者の5人のうち4人は虚血性脳卒中であった。

 久山町研究において、わが国での虚血性脳卒中の発症頻度を、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症の3タイプに分けて検討した結果、時代とともにラクナ梗塞発症率は有意に減少しているのに対し、他の2タイプでは明らかな時代的変化はなく、脳梗塞タイプの欧米化が進行していることが示唆されている。

 虚血性脳卒中の主な危険因子として、下記の要素が挙げられている。

高血圧 欧米の研究では、収縮期血圧160mmHg以上が発症に最も関与するとされる。日本では、収縮期血圧160mmHg以上の患者の発症リスクは3.46倍、拡張期血圧90mmHg以上では3.18倍というデータがある。
糖尿病 欧米の研究では、糖尿病における脳卒中の相対危険度は男性1.8-2.18倍、女性2.17-2.2倍。日本の研究では、耐糖能異常における脳梗塞の相対危険度は男性1.60倍、女性2.97倍と、女性で有意に高い。
脂質異常症 欧米の研究では、総コレステロール値240mg/dL以上では脳卒中の死亡が、同310mg/dL以上では脳梗塞のリスクが高くなるとの報告がある。日本の研究では、アテローム血栓性脳梗塞でHDLコレステロール、HDL/LDL比が有意に低いとの報告があるが、否定的な報告もある。
喫煙 欧米の研究では、男性喫煙者の脳梗塞発症リスクは非喫煙者の2.5-4.2倍、女性では1.9倍。日本の研究では、1日20本以上の男性喫煙者の脳梗塞発症リスクは、1日20本未満に比べて2.2倍との報告や、男性の喫煙と脳梗塞は関係ないとする報告がある。
心房細動 欧米の研究では、心房細動による脳梗塞発症頻度は2.3-6.9倍、リウマチ性弁膜症を合併した場合には17.6倍と高い。日本の研究では、剖検例で大梗塞、予後不良例で心房細動を高頻度に認めている。

 これら以外に、動脈硬化、心疾患、脳血管障害の危険因子の代名詞ともいえるメタボリック症候群による心血管疾患の発症率を検討した研究では、メタボリック症候群を有する患者では、性別に関係なく心血管疾患の発症率の高いことが明らかになっている。

 虚血性脳卒中の発症予防は、まずこれら危険因子を取り除くことが重要であり、生活習慣の修正(改善)と、疾患を有する患者ではそれら基礎疾患の治療が必要となる。またMRI、CT、超音波検査、脳血流検査などの定期的な検査が推奨されている。

(次ページに続く)

(頓宮 潤=メディカルライター)

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