日経メディカルのロゴ画像

経鼻内視鏡検査で最も重要なのは前処置である、といわれる。そこで、国内だけでなく、欧州各地でもデモンストレーションを行って、経鼻内視鏡検査の浸透に尽力している静岡赤十字病院(静岡市)の経鼻内視鏡センター長である川田和昭氏に、具体的な前処置の方法とそのポイントについて聞いた。

ツーステップス法の実際

現在、経鼻内視鏡検査の前処置法としては、「ツーステップス法」が最も確実な前処置法と考えられる。前処置を開始する前に、まず以下の点を問診で確認する。

  • 基礎疾患の有無
  • 鼻の手術の既往
  • 鼻ポリープなどの鼻腔内疾患の有無
  • 薬剤アレルギー・アスピリン喘息の既往
  • 抗凝固薬の内服

検査開始約15分前

(1)消泡剤・胃粘液除去剤の服用
目的:胃内・胃壁の観察をしやすくする

ガスコン水(ガスコンドロップ40mLを水1000mLに溶かしたもの)約180mLにプロナーゼ1包(2万単位)と炭酸水素ナトリウム1gを加え、最初に飲んでもらう。

これだけでは飲みにくいという声が多かったため、成分栄養用のフレーバー1/3包を加えている。

(2)硝酸ナファゾリンを両鼻腔に噴霧
目的:鼻腔粘膜の血管を収縮させ、浮腫を軽減させることで鼻腔を広げ、また鼻出血を予防する

両方の鼻腔内に0.05%硝酸ナファゾリン(プリビナ)を2〜3回ずつ、ジャクソン型スプレーを用いて噴霧する。

(3)挿入鼻腔の選択

被験者に人差し指で鼻翼を交互に押さえてもらいながら、通りのよい側の鼻腔を選んでもらう。

 

検査開始約10分前

(4)塩酸リドカインビスカスを鼻腔内に注入
目的:鼻腔内表面麻酔と咽頭麻酔

選んでもらった側の鼻腔に2%の塩酸リドカインビスカス(キシロカインビスカス)4mLを、シリンジを用いて2〜3回に分けてゆっくりと注入する。咽頭に流れ込んだビスカスは嚥下してもらう。

約5分後に2%の塩酸リドカインゼリー(キシロカインゼリー)を薄く塗った14Frスティックを挿入して1分間留置。次に同様の処理をした18Frスティックに8%の塩酸リドカインスプレー(キシロカインスプレー)を2〜3回噴霧、スティックを軽く振ってアルコール分をとばしてから挿入する。やはり1 分間留置した後、抜かずに、検査用ベッドに移動してもらう。

前処置のポイント

  • ガスコン水は従来80mLであったが、現在は180mLに増量している。これにより胃液の粘稠度がかなり低下して吸引しやすくなった。少量だが粘稠な胃液を吸引するよりも、やや量は多いが粘稠度の低い胃液を吸引したほうが検査医のストレスが少ないと分かったためである。
  • 被験者自身に検査鼻腔を選んでもらう方法で、別の側に変更しなければならなかった症例は4.8%と少なかった。また被験者が決定できなかった場合は、原則として左鼻腔を使用することにしている
  • プリビナの効果は噴霧後10〜15分でピークに達する。したがって噴霧後15分前後で検査用ベッドに移るように前処置のタイムスケジュールを組んでいる。
  • 初めて経鼻内視鏡検査を受ける場合は14Frと18Frの2本を用いたツーステップス法、経験のある場合は18Frのみのワンステップ法としている。
  • スティックはネラトンカテーテルを12cmに切って使用している。最近では経鼻前処置専用のスティックも市販されている。
  • リドカインの総投与量は200mgを超えてはいけない。今回のリドカイン投与量はツーステップス法で105〜108mg、ワンステップ法なら95〜98mgである。