池田聡氏に聞く 池田病院副院長
    経鼻内視鏡の普及がスクリーニング検査を変える

内視鏡による集団検診において先駆的な役割を果たしてきた池田病院・附属健康管理センター(静岡県駿東郡長泉町)が、経鼻内視鏡を導入したのは2005年11月である。その後、約1年半の間に約3600人が経鼻内視鏡検査を受けたという。経鼻内視鏡導入の経緯、診断精度、受診者の評判などを池田病院副院長で消化器内視鏡専門医・外科専門医でもある池田聡氏に聞いた。

経鼻内視鏡は安全で患者に優しい検査を可能にした

人間ドックでの検査は、あくまでもスクリーニング(ふるいわけ)が目的ですから、安全で侵襲の少ない検査を提供することが非常に大切です。

人間ドックの受診者が一番嫌がる検査は内視鏡検査で、セデーション(鎮静剤などの投与)を行っても「胃カメラはつらかった。もう二度とやりたくない」という方々がいらっしゃるのが現状です。

そこで、前処置の咽頭麻酔方法をかえたり、専門医による検査、内視鏡技師による介助、などによりできる限り受診者に優しい内視鏡検査を工夫したのですが、決して満足できるものではありませんでした。

そんな時、経鼻内視鏡の噂を聞き、早速、静岡赤十字病院健診センターの川田和昭先生を訪ね、検査の見学に行きました。2005年10月のことです。

そこでまず驚いたことは、検査室にクラシックが流れ、非常に静かなことです。経口内視鏡検査では舌根部の嘔吐反射で、受診者はゲェー、オェーという苦しいうめき声を発しますが、それが全く聞こえてこなかったのです。

実際、私自身も経鼻内視鏡の検査を受けてみました。私は食道ヘルニアがあるので今まで経口内視鏡検査は本当に苦痛だったのですが、経鼻内視鏡検査は非常に楽でした。

また、検査中に会話ができることで、受診者は精神的にもかなり楽になることを実感しました。セデーションを行わないので、検査後すぐに自分で車を運転して帰ることも可能です。

画質も経口内視鏡と比べて決して劣るとは思えませんでした。さらに経口内視鏡検査では、前処置として臭化ブチルスコポラミン(ブスコバン®)を投与して、食道や胃の運動を抑制しますが、経鼻内視鏡検査ではその必要がありません。そのため、食道や胃の本来の姿が観察でき、逆流性食道炎など生活習慣に起因した疾患もよく分かりますので、人間ドックのスクリーニング検査としては、リスクマネージメントの観点からも経口より経鼻内視鏡の方が優れている、と実感しました。

経鼻内視鏡の評判が口コミに、受診者数は年々増加

新たに検査設備を導入すれば、当然、そのリスクを背負うことになりますが、経鼻内視鏡は受診者の評判がすごく良く、「苦しくない胃カメラがある」と、口コミで評判になり、経鼻内視鏡を希望する受診者は確実に増えています。

実際、経鼻内視鏡導入後の2005年11月から2006年の10月までの間に検診・人間ドックのスクリーニングの上部消化管検査を受診した2777人のうち2500人(90%)が内視鏡検査を受け、その86%に当たる2153人が経鼻内視鏡を選択しています。

人間ドック受診者数の推移をみても、2004年は1774人、経鼻内視鏡を導入した2005年は1938人、2006年は2070人と増えており、内視鏡の選択率も、2005年の89.5%から、2006年には94.3%に上昇しました。そのうちの83.7%は経鼻内視鏡を選択しています(図1)。

人間ドックの受診者の約95%が内視鏡検査を受けるのですから、苦しくない内視鏡検査があれば、それを選択するのは当然といえます。

経鼻内視鏡は受診者の評判も良く、「こんなに楽なら、来年も鼻から検査してください」という声をよく聞きます。

つまり、経鼻内視鏡が当健康管理センターの集客に大きく貢献していることは間違いありません。

(日経メディカル開発)

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