【NEC医療セミナー】電子カルテ導入には「できる」ことの見極めが重要

 2008年5月23日、福岡国際会議場で「NEC医療セミナー2008 in 九州」が開催された。講演では「電子カルテ短期導入の秘訣と導入効果」と題し、佐賀県立病院好生館・循環器科部長の林田潔氏と同院企画・経営室主任看護師の宇曽谷美保子氏が登壇した。電子カルテをわずか7カ月という短期間で導入したノウハウと、導入効果や未解決の課題について語った。(以下、主に林田氏講演内容の骨子)




循環器科部長の林田潔氏

循環器科部長の林田潔氏

 佐賀県立病院好生館では、電子カルテの導入を念頭に置き、1998年に各科カルテの状態から“一患者一カルテ”に移行した。電子化は、まず、2001年3月にオーダリングシステムを導入。オーダリング導入では、“一患者一カルテ”を実現していたことの判断は正しかった。が、仕様に関しては、「当然できるだろう」と思われたことに関して細かに検討していくと、仕様書として記載するには、そのままでは実現できないことが多いことが判明して、仕様書策定作業では、ワーキンググループ(WG)の面々は大いに消耗した。

 結局、各部署の作業の流れを分析してシステムの多くの部分をカスタマイズしたのだが、そのカスタマイズがその後のバージョンアップの際に大きな障害となって跳ね返ってきた。この教訓は、電子カルテ導入の際には反面教師として生かされることとなった。

 電子カルテシステム導入が決まった時点で、オーダリングシステム導入で学んだ教訓を生かし、基本方針を「できる限り既存のパッケージに合わせるノンカスタマイズド・システムで運用する」こととした。自分たちの使い勝手などの都合を優先してカスタマイズせず、パッケージの仕様に自分たちが合わせていくことに努めた。幸いにして、導入したシステムでは大半の変更要件を、プログラムの改造を行わずにパラメーターなどの変更で済んだことも、短期導入を後押ししたと言える。

企画・経営室主任看護師の宇曽谷美保子氏

企画・経営室主任看護師の宇曽谷美保子氏

 機種選定は、好生館規模(541床)の病院で納入実績のあるベンダー3社に絞り込んで、競争入札という形で行った。その際、こちらで出した仕様書の可・不可の返答は三者三様で、例えば同じ「できます」という返答でも、「無条件にできる」「カスタマイズが必要だが無償でできる」「カスタマイズを伴ってできるが有償」「条件を満たせばできる」など様々な答えが返ってくる。発注する病院側には、このあたりを“見定める力”が求められることを学んだ。そして、機種選定のために必要だったのは、その「できる」ことの種類の見定めと、初期投資額と天秤に掛けて最終的にどれだけこちらの希望・要望がかなえられるか……、を見極めることだった。

 振り返ると、導入時にすべてを電子化しようとせず、紙カルテと併存する形で、できる範囲内で電子化に取り組んだことが短期導入を実現できた大きな要因だと思う。クリニカルパスの一部や、画像検査データの一部が電子化できていないといった課題が残ってはいるが、電子化によって構築された検査データの閲覧性向上といったメリットは、診療効率を上げる源泉となっている。当院の大半の医師は「もう紙カルテには戻れない」という感想を持っているようだ。(まとめ、井関 清経)

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