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標準マスター

 「標準マスター」とは、診療情報の標準化の一環として、医療関連の用語やコードを分野別に体系化したものだ。医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が厚生労働省の委託を受けて開発した。現在、下に示す9種類の標準マスターを作成・公開している。

  1. 病名マスター(ICD10対応電子カルテ用標準病名マスター)
  2. 手術・処置マスター(ICD9CM対応)
  3. 臨床検査マスター(生理機能検査を含む。JLAC10対応)
  4. 医薬品マスター(HOT番号)
  5. 医療機器データベース
  6. 看護実践用語マスター(看護行為編、看護観察編)
  7. 症状所見マスター(身体所見編)
  8. 歯科分野マスター(病名、手術・処置)
  9. 画像検査マスター(JJ1017対応)

 このうち、利用者が多い病名マスターや医薬品マスターなどは、たびたび改定作業も行われていて完成度が高い。これ以外に、電子保存された診療録情報の交換のためのデータ項目セットがある。これらは、すべてMEDIS-DCのホームページ(http://www.medis.or.jp/)上に公開されており、誰でも無償でダウンロードできる。

 診療報酬請求にかかわる医薬品、臨床検査、医療機器、手術・処置の各マスターについては、すべてレセプト電算処理システムコードと対応付けを行っているおり、医療機関にとって利用価値が高い。特に、診療報酬改定時の変更処理は多大な労力を要する作業であり、標準マスターを採用することで大幅な省力化が期待できる。

 各標準マスターの利用方法は施設によってさまざまだが、そのままシステムに取り込むケースは少なく、医療機関が独自に用意しているマスターと対応付けを行っている場合が多い。

 標準マスターの用語やコードだけを使わなければならないと考えている医療機関もあるようだが、医療機関には独自の用語・コードがあるので、標準マスターに追加して利用し、外部との情報交換には標準マスターだけを用いるとよい。独自の用語・コードの維持管理は医療機関自体が行うことになる。

 標準マスターは、個々の特徴を理解して使うと期待以上の効果が得られる。たとえば医薬品マスターは、薬価基準収載医薬品コード、個別医薬品コード(YJコード)、JANコード、レセプト電算処理システムコードの4つを13桁のHOT番号に対応付けしたものだが、HOT番号は7桁(HOT7)、9桁(HOT9)、11桁(HOT11)に区切って使うことができる。看護用語マスターも同様の階層構造を持っている。

 今後、標準マスターに期待されるのは、恒常的な維持管理体制の整備と、関連性のあるマスター間の連携を図ることである。例えば、病名と医薬品、臨床検査、手術・処置と医療機器などである。また、最近、利用が活発化しているクリティカルパスの中で標準マスターを活用する方策についても検討が期待される。

(武隈良治=医療情報システム開発センター標準化部長)