連載・コラム
連載: 町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
越冬交代、帰国の準備
2015/ 6/10
「しらせ」接岸 2015年1月12日、午後2時06分(昭和時間)「しらせ」接岸(写真1)。厚さ6mを越える海氷をまさに体当たりで砕き(ラミング)、「しらせ」は2年連続で接岸しました。ラミングは往路総計3187回、これは過去最多でした。56次隊は夏作業や越冬準備、我々55次隊は設営・観測の仕上げと…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
体内リズムを乱す白夜
2015/ 4/17
2014年11月21日午後11時49分、最後の日の入り。36分後の翌22日午前0時25分に日の出、白夜の始まりです。この日から2カ月間、太陽は沈みません(写真1)。
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
病院の窓から見える南極の四季(4)
――11、12、1月 南極でも夏――
2015/ 4/ 1
夏、この季節は年によっては先遣隊として次隊員が空路で昭和基地に入ることもあり、越冬隊だけの日常は終了、見知らぬ大勢の人間と意思疎通を図りつつ仕事を進める通常の生活環境に戻ります。2014年11月22日からは、再び白夜に。昭和基地は夏仕様、夏作業が本格化します。耐寒能力が向上し、マイ…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
病院の窓から見える南極の四季(3)
――8、9、10月 春から夏へ――
2015/ 3/25
極夜が明けると日の出は早く、逆に日の入りは遅くなり、日に日に、日が長くなります。野外活動が活発化し、基地全体が動き出す季節です。10月には55次隊最大の野外活動である長期内陸旅行がありました。この季節、気温はまだ低いですが日照時間は飛躍的に伸び、気分は春から初夏です。ただし、ま…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
病院の窓から見える南極の四季(2)
――5、6、7月 冬、最も南極らしい季節――
2015/ 3/18
オングル中央病院の窓から見える南極の冬。極夜期間は5月30日~7月12日、この間は全く太陽が出ない日が続きます。極夜といっても正午を中心に数時間は薄明るくなり、ライトなしでも散歩できます。南極に来る前は極夜の大変さを想像していましたが、正午を中心にほどほど明るくなり、朝までオーロ…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
病院の窓から見える南極の四季
――2、3、4月 夏の終わり、冬の始まり――
2015/ 2/ 4
オングル中央病院には、北東と北方向に小さな窓があります。北東の窓からはオングル海峡、岩島、氷山や南極大陸と大陸からの日の出が見え、北の窓からはアンテナ島、福島ケルンやインマルアンテナと日の入り(白夜前後を除く)が臨めます。観光スポットで見られるような案内板や、気象棟の一部も…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
南極の遠隔医療相談事情
2015/ 1/28
オングル中央病院では、1人で全科(産婦人科、小児科を除く)の診療を行い、あらゆる救急患者を引き受けます。希望してまで南極昭和基地に来る医療隊員は、1分1秒を争う外傷初期治療の対応(primary~secondary survey)は習得しています。問題は、超急性期を乗り切った後の個別対応、特に医療隊…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
南半球は全て逆!南極で「太陽は西から昇る」?
2015/ 1/22
前回書いたように、4泊5日のスカーレン旅行のミッションを完了させました。医療隊員としては最大の野外行動です。この経験で、「日本ではこうだったよな、でも南極では全然違うなぁ」と感じたことがありました。今回はそんなことをいくつか書いてみます。日本の常識・南極の非常識、南極の常識・…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
4泊5日のスカーレン旅行(野外行動)
2014/12/10
極夜が明けると、野外活動が再開されます。南極大陸の内陸部、沿岸の露岩域およびペンギンルッカリー(集団営巣地)のある島々へのルート工作。ルートができれば各種の観測も再開されます。
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
南極で働く越冬医師のミッション
2014/12/ 3
「全ての越冬隊員が健康で文化的な生活を維持し、翌年3月に健康体で日本に戻る手助けをすること」――。これが越冬医師の正業です。万が一、事故で外傷を負っても、心身の病気になっても、齲歯が痛んでも智歯がうずいても、しかるべく治療することが求められます。鉄筋の結束や生コン、運送業、土…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
極夜を乗り切るミッドウィンターフェスティバル
2014/10/30
昭和基地入りした時は、一日中日が沈まない白夜、真夏でした(写真1、2)。「夏は夜。月の頃はさらなり……」と枕草子にありますが、白夜では夜がなく、月は出ても目立ちません。1月21日にようやく日の入りが始まり、2月は夜の時間を意識して夕暮れ時にそぞろ歩き(写真3)。3月はオーロラを楽し…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
医師が南極で負傷者になったら
2014/10/ 8
オングル中央病院は現在、医師1人体制です。日本南極地域観測隊(JARE)の越冬医療隊員は、9次から54次までずっと医師2人体制で維持されてきました。外国基地の越冬医師が1人であることを考えれば、常勤医が2人いるオングル中央病院は南極最多医師数の病院でした。オングル中央病院は南極大陸で最…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
ようこそ、南極昭和基地オングル中央病院へ
2014/10/ 1
我々第55次日本南極地域観測隊(JARE55)の越冬は、2014年2月1日の54次隊との越冬交代から始まり、翌2015年1月31日まで続きます。前次隊から南極昭和基地の維持・管理を引き継ぐことを越冬交代といい、通常2月1日に両隊全員そろって越冬交代式を行います(写真1)。夏オペ中はただがむしゃらに働…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
医療隊が建設要員になる昭和基地の夏オペ
2014/ 9/24
2013年12月14日に昭和基地入りしましたが、2014年2月1日に越冬交代するまで、昭和基地は前次隊が管理・運営します。この間、昭和基地では夏期オペレーション(通称:夏オペ)が行われます。短い夏の間に、日の長い期間しかできない観測や建築、土木、電気作業などを進めるのが夏オペです。…
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町田浩道の「南極オングル中央病院だより」
吠える40度、狂う50度、絶叫する60度
2014/ 8/20
11月27日、西オーストラリア州のフリーマントルを出港した南極観測船「しらせ」はひたすら南下します。南下の途中、「吠える40度、狂う50度、絶叫する60度」と言われるほど船は揺られ(写真1)、船酔いに苦しめられました。…