日本医師会会長選挙を振り返る 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 4月1日、日本医師会会長選挙が行われ、茨城県医師会長の原中勝征氏が、第18代会長に選出されました。森洋一氏(京都府医師会長)、唐澤祥人氏(前日医会長)を僅差で破っての当選でした。多くのメディアは、このことをトップで扱いました。確かに、日医は自公政権を支えた代表的な業界団体で、政… 2010/05/03 事件・話題
混合診療原則解禁論の新種「ビジネスクラス理論」を検討する 二木 立(日本福祉大学教授・副学長)(2010.4.12補注) 2009年9月の民主党を中心とする連立政権(以下、民主党政権)の発足前後から、航空業界の「ビジネスクラス理論」を根拠とした新種の混合診療原則解禁論が主張され始めました。この論理は直感的には魅力的に見えるためか、特に大病院勤務医の間ではかなりの支持を得ているようです。しかし、私がこ… 2010/04/09 医療経営
どこに医学部を作るべきか?―戊辰戦争と医師偏在の関係を考える― 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 2月21日、朝日新聞は「医学部新設、3私立大が準備」というスクープ記事を発表しました。設置を検討しているのは、国際医療福祉大(本校・栃木県大田原市)、北海道医療大(北海道当別町)、聖隷クリストファー大(浜松市)の3つの大学です。設置認可を国に申請する手続きのために、学内に検討組織… 2010/03/11 医師の職場環境
新型インフルエンザワクチン接種後の早期死亡事例を検証する 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 12月11日発売の『週刊朝日』に「新型インフルエンザワクチン接種後26人死亡 「死にすぎ」の怪」という記事が掲載されました。岩田智博さんという記者が書いたもので、私も取材に協力しました。私の知る限り、マスメディアが、高齢者への新型インフルエンザワクチン接種の危険性を指摘したのは、… 2009/12/16 感染症
ワクチン接種優先順位と接種回数を考える 新型インフルエンザから子供たちを守ろう! 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 新型インフルエンザワクチンの接種が始まりました。ワクチン不足は顕著で、全国各地で混乱が生じています。一方、国内外から様々な情報が寄せられ、主要な問題点も明らかになりつつあります。 2009/11/14 感染症
「新型インフルエンザに対するワクチン接種の基本方針」を読む 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 10月1日、政府は新型インフルエンザに対するワクチン接種の基本方針を発表しました。過去の連載で、新型インフルエンザ対策は民主党と厚労省医系技官の対立が明らかで、民主党政権の実力を占う試金石だと述べてきました。… 2009/10/16 行政・制度
グリベック自己負担金問題を考える お金がなくてがん治療が受けられない(上) 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 一昨年以来の経済危機も、最近は景気の底入れ感が強まり、先日のイタリア ラクイラ・サミットでは出口戦略が議論されたようです。ところで、この経済危機が、多くの患者に甚大な影響を与えていることをご存じでしょうか?お金がなくて治療を続けることができない患者が続出しているのです。… 2009/08/26 行政・制度
グリベック自己負担金問題を考える お金がなくてがん治療が受けられない(下) 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 前回の配信で、慢性骨髄性白血病(CML)の特効薬であるグリベックの患者負担の問題を紹介させて頂きました。一昨年来の経済危機が、高度成長期(昭和48年)に創設された高額療養費還付制度の問題点を顕在化させました。私たちの研究室の田中祐次たちが調べたところ、慢性骨髄性白血病患者の世帯総… 2009/08/26 行政・制度
新型インフルエンザワクチンで薬害を起こさないために 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 新型インフルエンザに関する報道はめっきりと減りましたが、患者数は夏の間も増え続けています。8月4日、世界保健機構(WHO)は全世界の死亡者数は1,154人に上ると発表しました。この中で、まだ死者が出ていない日本は驚異的ですが、日本で死亡者が出るのは時間の問題でしょう。… 2009/08/23 その他
医系技官改革―舛添人事の舞台裏― 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 6月26日、舛添要一厚労大臣は閣議後記者会見で、厚労省幹部人事についての骨格方針を発表しました。事務次官と社会保険庁長官の2人が退任するほか、医系技官の指定ポストだった医政局長に事務官である阿曽沼慎司・社会・援護局長を起用し、医政局長であった外口崇氏は保健局長に横滑りしました。… 2009/07/13 行政・制度
新型インフルエンザ対策の争点―検疫と人権― 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 我が国をパニックに陥れた新型インフルエンザ騒動も、ここに来て落ち着きを見せ始めています。しかしながら、すでに南半球では大流行の兆しがあり、今秋の再流行は避けられそうにありません。今回の教訓を踏まえ、私たちは何をなすべきでしょうか。… 2009/06/23 その他
新型インフルエンザ騒動の舞台裏 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 我が国をパニックに陥れた新型インフルエンザ騒動も、ここに来て落ち着きを見せ始めています。5月28日には神戸市の矢田立郎市長が「安心宣言」を出し、30日には騒動の発端となった兵庫県立神戸高校、兵庫高校で授業が再開されました。また、主要五大新聞に掲載された記事数(地方版も含む)は、5… 2009/06/10 行政・制度
厚労省の新型インフルエンザ対策を考える 「検疫礼賛」の陰で何が見過ごされているか 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 5月19日現在、国内の新型インフルエンザ感染患者数は178人に達し、その数は急増加しています。新型インフルエンザは、阪神地区に留まらず、既に全国に蔓延してしまっているのかもしれません。5月15日に神戸市で最初の患者が発見されて、わずか数日で、患者数は世界4位となった訳ですから、これま… 2009/06/02 医療提供体制
新型インフルエンザ対策を考える―検疫よりも国内体制の整備を!― 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) メキシコを発生源とした、豚インフルエンザ(H1N1)の感染が世界中に広がっています。4月28日、WHOは継続的に人から人への感染がみられる状態になったとして、インフルエンザのパンデミック警報レベルをフェーズ4に引き上げました。これを受けて、厚労省も、豚インフルエンザ(H1N1)を新型インフルエ… 2009/05/15 感染症
医療費削減政策を考える 第2回 危険にさらされる患者たち 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 1984年、ニューヨークの病院で、Libby Zionという18歳の女子大生が医療事故で亡くなりました。彼女はフェネルジンという抗うつ剤を飲んでいましたが、発熱、ふるえ、脱水などのために両親に連れられ、救急外来を受診しました。担当した医師達はウイルス症候群と考えましたが、熱と強い興奮状態で… 2009/05/12 医療の質
医療費削減政策を考える 第1回 正規雇用されない医師たち 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 平成16年に導入された新臨床研修制度と、その見直し案(厚労省がパブリックコメント募集中)について、総合医導入が医療費削減と二人三脚で進められてきたことなど、その経緯や問題点について述べてきました。今回は、厚労省が様々な医療政策を打ち出す中で、一貫して守ってきた医療費削減政策に… 2009/04/22 医師のキャリア
厚労省が臨床研修制度改定のパブコメ募集中 地域医療と医師教育の崩壊を尻目に進む厚労官僚の思惑 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 去る3月19日厚労省が臨床研修制度改定に関するパブコメ募集を開始しました。期限は4月17日までです。私はこれまで、平成16年度に導入された新臨床研修制度について問題を指摘し、同時に、今回の改定方針にも異議を唱えてきました(2月25日号「臨床研修制度をめぐる医系技官の思惑」・3月11日号「… 2009/04/01 医師のキャリア
迷走する医療行政―骨髄移植フィルター騒動からみえるもの 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 前回の配信で、医療訴訟の濫発が医師賠償責任保険を破綻させ、ハイリスク医療から医師が撤退する危険性を指摘させていただきました。今回はその解決策を議論する予定でしたが、その前に、年末から続いている「骨髄移植フィルター騒動」について、続報を含めご紹介させていただきたいと思います。… 2009/01/30 行政・制度
がん難民時代 国内での臨床研究が事実上不可能に 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 骨髄移植を待っている患者さんがこの3月頃から移植を受けられなくなる可能性があることが、先般、明らかとなった。必要なキットの不足が確定的という。 2009/01/27 行政・制度
医療崩壊のシナリオ 医賠責保険の破綻、そして医師がいなくなる 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門) 過去4回にわたって東京都立墨東病院妊婦受け入れ不能事件の背景について説明してきました。これまでの配信で、療訴訟の濫発が産科医の萎縮を招いていると主張してきました。 2009/01/21 行政・制度
国立病院に生き続ける陸海軍の亡霊 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門特任准教授) 東京都を舞台とした妊婦受け入れ不能事件が連日マスメディアで報道されています。この事件をきっかけに大都会東京の問題点が暴露され、皆さんはわが国の社会保障制度の脆弱性を認識されたことでしょう。さらに、先週は、二階経産大臣による「医師のモラル」発言もあり、事態は予期せぬ展開を示し… 2008/12/25 行政・制度
医療の質と安全キャンペーンを辛口に読む―「医療安全全国共同行動」はじまる 5月17日、病院や関係団体が共同で対策に取り組む全国キャンペーン「医療安全全国共同行動」(“いのちをまもるパートナーズ”キャンペーン)がスタートし、そのキックオフ・フォーラムが東京都内で開催されました。… 2008/05/23 医療の質