心臓の線維化に対するCAR-T細胞療法は有望か? 心臓の線維化は、高血圧性心疾患、虚血性心疾患など、様々な心疾患で見られる病理変化です。心機能の低下・心不全の発症をもたらし、「リモデリング」あるいは「構造的リモデリング」などと呼ばれます。ところが、ダイレクトに心臓の線維化を標的とした効果的な治療法は今のところありません。… 2019/12/09 循環器
NEWS◎「細胞スプレー法」による虚血性心筋症治療の医師主導治験を開始 心臓に幹細胞を「スプレー」して心不全を治療 大阪大学大学院医学部心臓血管外科のグループは、冠動脈バイパス手術(CABG)の際に、他家脂肪組織由来の間葉系幹細胞を心臓表面にスプレー状に吹き付ける「細胞スプレー法」を用いた、新たな心不全治療法の医師主導治験を開始する。11月29日に大阪大学において行われた記者会見で、同教授の澤芳… 2019/12/02 循環器
正念場にさしかかるiPS細胞を用いた再生医療 京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の山中伸弥所長が見いだし、2012年のノーベル生理学・医学賞に輝いた、人工多能性幹細胞(iPS細胞)。2020年度の政府の予算編成に向け、最近では、iPS細胞関連の研究費が削減され、iPS細胞が岐路に立たされているといった報道も増えている。そのiPS細胞について、中… 2019/12/02 先端医学
インタビュー◎心不全患者の予後をDNA損傷の程度から予測する手法を開発 心筋細胞染色で早期に心不全の治療応答性を予測 東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授の小室一成氏に聞く 心不全患者の中には、薬物療法が奏功し長期にわたり安定した病態の患者がいる一方で、治療薬にあまり反応せず予後の悪い患者もおり、両者を早期に鑑別することは非常に困難だった。東京大学大学院医学系研究科循環器内科学の研究グループは、心筋生検時に採取する心筋細胞の染色により、心不全患… 2019/11/26 循環器
トレンド◎「日本発の核酸医薬」第1号が来年にも承認か 筋ジストロフィー治療に新風、核酸医薬の実力 9月26日、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療薬、ビルトラルセンの製造販売承認申請が行われた。承認されれば、治療法がない難治性疾患であるDMDの予後改善が期待される。新薬がなかなか登場しなかったDMDに対し、ビルトラルセンが申請までこぎ着けたのは、オリゴヌクレオチドを用いた… 2019/11/19 骨・関節・筋
早くて来春に移植、血液透析を受ける3人が対象 3Dプリンターで作った人工血管、臨床研究へ 佐賀大学は11月12日、バイオ3Dプリンターを用いて作製した「細胞製人工血管」を世界で初めてヒトに移植する臨床研究を開始したと発表した。11月7日に再生医療等提供計画を厚生労働省に提出しており、順調に行けば来春にも1例目の移植を行う… 2019/11/18 先端医学
β遮断薬の心筋細胞数増加作用が心不全を予防 成人先天性心疾患・心筋梗塞後心不全を予防する新たなメカニズムを検証 先天性心疾患の出生率は概ね100出産に1件と古今東西変わりませんが、医療の進歩により新生児生存率が飛躍的に改善したため、成人先天性心疾患患者は急増しています。成人先天性心疾患患者は、心不全の発症率、死亡率とも、先天性心疾患を持たない人に比べて有意に高くなっています。これまでは、… 2019/11/14 循環器
平成30年度医療産業イノベーションフォーラム講演より 加速するデジタルヘルス IBMの基礎研究所は、世界に12カ所あります。その本部は、JFK空港から北に約1時間半のニューヨークの郊外、ヨークタウン・ハイツという町にあるTJワトソン研究所です。ワトソンはIBMの創始者の名前です。全体で約3000名の基礎研究員がいます。研究者の専門分野は、コンピュータ・サイエンス、電子… 2019/11/06 先端医学
トレンド◎日本の研究グループでは初、ゲノム解析手法で明らかに 新たなヒト血液型「KANNO」を発見 今年8月、国立国際医療研究センター、日本赤十字社、福島県立医科大学が報告した新しい血液型「KANNO」が国際輸血学会によって37種類目の新たな血液型だと認定された。 2019/10/15 先端医学
弘前COI、健診で糖尿病の1年後の発症を予測するモデルを構築 20種類の検査項目を用いることで、1年後の糖尿病の発症を8割以上の正答率で予測するモデルができつつある――。東京ビッグサイトで開催されている「クロスヘルスEXPO 2019」(主催:日経BP、10月9日から11日)のセミナー「人生100年時代の未来型ヘルスケアサービスの追求」で、弘前大学COI研究推… 2019/10/11 先端医学
令和の今、PCR装置を開発するコニカミノルタのBICな心意気 ウンチを引っかいて15分後には腸内細菌を解析できちゃうイノベーション イノベーションを起こすには高い技術が必要か──その答えは「YES」であり、「NO」であろう。東京ビッグサイトで開催されている「クロスヘルスEXPO2019」(主催:日経BP、10月9日から11日)の会場で、そんなことを考えさせられる製品を目の当たりにした。コニカミノルタが大便サンプルから直接、腸… 2019/10/10 医療機器
学会トピック◎第28回日本組織適合性学会大会 免疫抑制薬を使わず移植臓器予後の改善を目指す T・B細胞の抑制と骨髄移植の組み合わせでドラッグフリーを狙う 近年、免疫抑制薬の進歩によって臓器移植の成績が向上しているが、移植臓器が拒絶されないように免疫抑制薬を生涯服薬し続ける必要がある。最近、国内外で免疫抑制薬を中止するための治療レジメンの検討が進んでおり、海外では腎移植後に免疫抑制薬を中止できているケースが報告されるようになっ… 2019/10/02 腎・泌尿器
疾患iPS細胞を用いた拡張型心筋症の創薬研究 iPS細胞は2007年に山中伸弥氏により開発され、翌年の2008年には、直ちに内閣府からiPS細胞医療応用のロードマップが発表されました。これは大きく分けて(1)薬物の毒性、効果評価系(2)疾患iPS細胞と創薬(3)細胞移植治療の3つの柱からなり、(1)→(2)→(3)の順番で実現するだろうとの予… 2019/09/30 循環器
【新薬】パチシラン(オンパットロ) TTR型FAPを治療する国内初のRNA干渉治療薬 2019年6月18日、トランスサイレチン型アミロイドーシス治療薬パチシランナトリウム(商品名オンパットロ点滴静注2mg/mL)の製造販売が承認された。適応は「トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー」、用法用量は「成人、3週に1回0.3mg/kg、体重104kg以上では3週に1回31.2mgを点… 2019/08/30 医薬品
トレンド◎⽇本の技術集積で進化する「ゲノムの外科治療」 ゲノム編集で遺伝性疾患の根治的治療が視野に 遺伝性疾患において、標的遺伝子を改変することで根治を目指す「ゲノム編集治療」が注目されている。この分野の第一人者である自治医科大学先端医療技術開発センター長の花園豊氏は、「早老症やハンチントン病だけでなく、筋ジストロフィーさえも根治的治療が実現できるかもしれない」とみる。その… 2019/08/20 先端医学
Circulation誌から 長期宇宙飛行は帰還直後の自由行動下起立耐性に影響を及ぼさない 長時間の自由行動下モニタリングを実施した初の研究 長期宇宙飛行の前、最中、帰還後の24時間自由行動下連続血圧を計測したところ、血圧の変動および分布は微小重力環境からほとんど影響を受けておらず、帰還直後に飛行前の状態に戻るため、起立不耐性を生じないことが米国、カナダの大学研究者とNASAが共同で実施した統合的心血管実験(ICV)により… 2019/08/13 循環器
リポート◎国際共同フェーズ3臨床試験がスタート、日本でも患者登録中 楽天も出資する注目の「光免疫療法」の実力は? 癌特異抗体と近赤外線に反応する色素を組み合わせた近赤外線免疫療法が注目されている。再発頭頸部扁平上皮癌患者を対象にフェーズ3国際臨床試験が始まっており、日本でも患者登録が開始された。「投与開始後、数日で効果がある」といわれる近赤外線免疫療法。その作用機序やこれまでに報告された… 2019/08/08 癌
医師4177人に聞いた「遺伝子パネル検査とゲノム医療」 パネル検査の保険収載で癌ゲノム医療は普及する? 2019年6月1日、癌に関連した複数の遺伝子変異を一度に検出できる「癌遺伝子パネル検査」が保険収載された。今回保険適用されたのは、シスメックスの「OncoGuide NCCオンコパネル」と中外製薬の「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」の2種類。どちらも検査実施料は8000点、検査判断・説明… 2019/08/05 癌
シリーズ◎あなたの知らない“血液”の世界:CAR-T細胞療法 強力な“サイボーグT細胞”療法、今後の課題は? 山口大学免疫学講座教授の玉田耕治氏に聞く 血液疾患治療は新薬が続々と登場したことで新たなステージに突入した。さらに遺伝子操作などの最先端技術は、血液細胞を“改造”することで、新しい治療法を生み出し始めている。本特集では、血液に関連した最新技術を紹介する。… 2019/08/02 癌
心房細動再発を予測する期待のバイオマーカー アブレーション後に増加する傷害関連分子マーカー「S100B」 心房細動に対するアブレーション治療は既にスタンダードな治療法となっていますが、一定程度の再発が起こります。心房細動再発を予測する因子として、患者背景、アブレーションを行った心房細動の特性、左房径などの心臓の状態、アブレーションの手技、遺伝因子など様々な因子が提唱されています… 2019/07/11 循環器
この20年、肺癌の生存期間は長くなったのか? Lung Cancer誌から 私が医師免許を取ったころを思い返すと、肺癌の診療は恐ろしいほどに進歩を遂げました。EGFR遺伝子変異が関与する肺癌が報告され、チロシンキナーゼ阻害薬によって驚くほど腫瘍が縮小して生存期間が延長した集団が出てきただけでなく、色々な遺伝子が関連していることが判明し、それぞれの分子標… 2019/07/08 呼吸器
中国腎移植後の診療拒否裁判で考える応召義務 先日、医師の応召義務に関して興味深い判決が出された。中国で腎移植手術を受けた患者が帰国後、フォローアップ治療のために浜松医科大学医学部附属病院を受診した際に病院側が診療を拒否した事案で、患者が不法行為と債務不履行の双方で損害賠償請求を行った訴訟である。この判決が2018年12月14… 2019/07/02 腎・泌尿器
【新薬】エラペグアデマーゼ(レブコビ) ADA欠損症への酵素補充療法でPEG製剤が登場 2019年5月29日、アデノシンデアミナーゼ欠損症治療薬エラペグアデマーゼ(商品名レブコビ筋注2.4mg)が発売された。本薬は、3月26日に製造販売が承認され、5月22日に薬価収載された。適応は「アデノシンデアミナーゼ欠損症」、用法用量は「1週間に1回0.2mg/kgを筋注。患者の状態に応じて適宜増減… 2019/06/14 アレルギー・免疫
日本の癌ゲノム医療が招く「悪夢」 保険医療としての癌ゲノム検査が、いよいよ始まります。紆余曲折を経て、6月に保険点数が収載されることになりそうです。収載時には新聞やテレビでも大きく報道されるでしょう。ですが、今のままだと患者の期待を大きく裏切ることになりかねません。癌ゲノム検査を国民皆保険でカバーしようとした… 2019/05/27 先端医学
JAMA Network Open誌から 生体腎移植のドナーは長期追跡が必要 ドナーが臓器提供後に腎不全を起こし移植待ち対象者になることも 生体腎移植のドナーとなった人々の、臓器提供後の有害な転帰について長期にわたって追跡した研究は、これまであまりなかった。米California大学San Francisco校のJieming Chen氏らは、生体腎ドナーとなった人々を対象に行われた臨床研究のデータを分析して、有害イベントは提供から2年後以降に多… 2019/05/13 先端医学
インタビュー◎膵島移植とバイオ人工膵島の最前線 進化する膵島移植、来年度の保険適用を目指す 国立国際医療研究センター膵島移植プロジェクト長の霜田雅之氏に聞く 生涯にわたりインスリン注入が必要となる1型糖尿病。その根本治療に向けた取り組みには大きく2つの道筋がある。1つは、インスリンポンプを自動制御し、血糖コントロールを行う体外式の「人工膵臓」(関連記事:インスリンポンプは“自動運転”の時代へ)。そしてもう1つは、インスリンを分泌する… 2019/05/07 代謝・内分泌
医師4156人に聞いた、人工臓器や植え込み型医療機器の認知度 人工内耳、補助人工心臓、電気刺激療法…どれだけ知ってる? 電子工学を活用した人工臓器や埋め込み型医療機器の開発が進んでいる。こうした電子機器を8つ医師に例示した本誌調査で、認知率がトップとなったのは人工内耳(81.1%)、最下位はバイオ人工膵臓(55.4%)だった。電子機器を使って生体の機能を補う「バイオニック医療」の現状に、日経メディカル20… 2019/05/07 医療機器
iPS細胞やES細胞を利用した再生医療をしのぐかも サメの尾びれから見つかった心臓再生物質 ブタを用いた前臨床試験が進行中 米国のMDI Biological Laboratory (MDIBL)と呼ばれる研究所で、サメの尾びれから心臓を再生する物質が見つかりました。これに関する論文が2017年と2019年4月に続けて発表されています。 2019/04/30 循環器
NEJM誌から HCV陽性ドナーからの心肺移植は安全に行える 移植から4週後までの抗ウイルス薬治療で感染を予防できる 移植用の臓器不足に対する解決法の1つとして、米Brigham and Women's HospitalのAnn E. Woolley氏らは、C型肝炎ウイルス(HCV)陽性ドナーからHCV陰性患者に対する心臓または肺の移植を行い、直接作用型抗HCV薬を予防的に投与すれば、レシピエントに対するHCV感染を阻止することができ、臓器の生… 2019/04/26 消化器
JAMA Pediatrics誌から 体外授精児は小児癌のリスクが微増する 肝芽腫が有意に増加、白血病やリンパ腫には差が見られず 米国Minnesota大学のLogan G. Spector氏らは、体外授精(IVF)と小児癌の関係を調べる住民ベースの後ろ向きコホート研究を行い、10歳までの小児癌発症リスクは通常出産児よりもIVF児の方がわずかに高く、差は胎児性腫瘍、特に肝芽腫の増加に由来しており、その他の癌には差が見られなかったと報告… 2019/04/19 癌
リポート◎モーター搭載の義足開発「OTOTAKE PROJECT」始動 「乙武洋匡が歩く」ロボット義足で描く未来 あの乙武さんがロボット義足を使って自然に歩行する――。そんなプロジェクトが動き出している。乙武さんとは、先天性四肢欠損を抱え、『五体不満足』(講談社、1998年)の著者として有名な乙武洋匡氏、その人だ。モーターを搭載して歩行を助けるロボット義足を駆使するとどんな未来像が描けるの… 2019/04/18 外科
JAMA Pediatrics誌から 米国におけるPICUでの脳死の実態調査 PICUで死亡した5人に1人が脳死で、約半数が臓器を提供 米国Pennsylvania大学のMatthew P. Kirschen氏らは、米国で脳死を宣告された小児患者の疫学と臨床特性を調べるために、全米の小児病院の患者データを集めたVirtual Pediatric Systemsデータベースを分析して、小児集中治療ユニット(PICU)で死亡した小児患者の5人に1人が脳死宣告を受けており、… 2019/04/10 小児科
トレンド◎人工視覚で患者の光を取り戻せ 埋込型人工網膜が臨床研究で成果、治験開始へ 中途失明の三大原因の1つである網膜色素変性症。いまだに進行を止める治療法は実用化しておらず、最新の統計では糖尿病網膜症を抜き緑内障に次いで、第2位の原因疾患となっている。そんな網膜色素変性症による中途失明患者における視力を補う治療法として、埋込型の人工網膜が臨床研究で成果を上… 2019/04/09 眼科
インタビュー◎末梢神経の支配筋を変更し義手操作を容易に【動画あり】 ロボット義手の可能性を広げる手術手技TMR 国立成育医療研究センター整形外科診療部長の高木岳彦氏に聞く 筋肉を動かしたときに生じる筋電位を感知してモーターが動く筋電義手。その対象を広げ、より多くの動作を可能とする新しい術式として、末梢神経の支配筋を変更するTargeted Muscle Reinnervation (TMR、標的化筋肉再神経分布)が近年考案された。国立成育医療研究センター整形外科診療部長の高木… 2019/03/29 骨・関節・筋
トレンド◎日本製の筋電義手が初めて公的補助の対象に【動画あり】 進化するロボット義手、紙コップも持てる 筋肉を動かすときに発生する電位を使って、自らの意思で動かせる筋電義手。日本でも約20年の歴史を持ち、知る人ぞ知る上肢欠損への選択肢だ。2018年4月に、日本製の筋電義手が初めて、福祉用具として公的補助の対象となる「補装具等完成用部品」に初めて指定されるなど、新しい動きが出てきている… 2019/03/29 外科
トレンド◎適応拡大で対象が3倍に? ACPの進め方など新たな課題も 補助人工心臓が「死ぬまで使う」医療機器に 重症心不全に対して、ポンプ本体を体内に埋め込んで心臓の機能を補う「植込み型補助人工心臓」。現在の適応は心臓移植の待機登録をした患者で、移植までのつなぎとしてしか使用できないが、あと1年ほどで移植適応外の患者にも保険適用される見込みだ。一方、適応拡大によって「死ぬまで使う」医療… 2019/03/26 循環器
トレンド◎てんかんやパーキンソン病を電気刺激で治療 てんかん発作を感知し抑制するデバイス普及へ 頸部の迷走神経を刺激し、てんかん発作を抑制する迷走神経刺激療法(VNS)。2017年には発作の予兆(頻拍)を感知し、自動で刺激を送るモードを備えた製品が登場し、効果を上げている。さらに米国では、脳波をモニタリングし、発作時脳波を感知したところで脳を直接刺激して、てんかん発作を抑制す… 2019/03/22 精神・神経
インタビュー◎iPS細胞由来の神経幹細胞移植で機能改善を目指す 世界初、iPS細胞による脊髄損傷の臨床研究開始 慶應義塾大学医学部生理学教室教授の岡野栄之氏に聞く 脊髄損傷の患者に対して、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の神経幹細胞を移植して機能改善を目指す世界初の臨床研究が、2019年2月の厚生科学審議会再生医療等評価部会で承認された。基礎研究から一貫して治療法開発に取り組む、同大医学部生理学教室教授の岡野栄之氏に展望や課題を聞いた。… 2019/03/19 精神・神経
動脈化でも側副血管拡大でもない第三の道 見えてきた冠動脈の側副血管形成メカニズム 今回、冠動脈の側副血管形成のメカニズムは動脈化でも側副血管拡大でもなく、冠動脈特有のメカニズム「動脈再構築(artery reassembly)」が関与することがCell誌に発表されました。 2019/03/15 循環器
トレンド◎患者本人の骨髄液から骨髄間葉系幹細胞を培養して静注 世界初、脊髄損傷に対する再生医療が実用化へ 薬価は1回に付き約1500万円 脊髄損傷を対象とした世界初の再生医療が臨床使用可能になった。患者自身から採取した骨髄の間葉系幹細胞を培養して増やし、それを静脈内に投与するもの。薬価は1回分1495万7755円と高額だが、単回投与で大半の患者に有効性を示し、完全麻痺の患者でも改善例が確認されている。… 2019/02/26 先端医学
正解率はAIが循環器医を上回る 待ち望んでいたAIによる心電図診断 心電図も、ある意味で画像診断ということができます。心電図では1980年代から、あるアルゴリズムに従った自動診断が開発されていました。ですから、AIが登場した時、心電図へのAI導入は時間の問題と思っていました。でも現実は、意外に時間がかかっています。そんな中、2019年に入ってAIによる心… 2019/02/12 先端医学
JAMA誌から 多発性硬化症に造血幹細胞移植が有望 疾患修飾治療と比較したオープンラベルRCT 米国Northwestern大学医学部のRichard K. Burt氏らは、再発寛解型の多発性硬化症(MS)患者110人を、末梢血から採取した造血幹細胞移植(HSCT)を受けるグループと、疾患修飾療法(DMT)の増強または薬の変更を行うグループに割り付けるオープンラベルのランダム化対照試験を行い、造血幹細胞移植… 2019/02/04 精神・神経
J Am Coll Cardiol誌から 急性冠症候群疑い例でもcTn高値は高リスク スウェーデンのコホート研究 J Am Coll Cardiol誌1月8日号に掲載された論文です。急性冠症候群の疑いで入院した患者では、確定診断に至らず退院した場合でも、心筋トロポニン(cTn)値の上昇が重要なリスク予測因子であることが明らかとなりました。… 2019/02/01 循環器
リポート◎再生医療に新たな役者「CD34陽性細胞」 重症下肢虚血や難治性骨折の患者に福音 日本発のCD34陽性細胞を使った再生医療が世界の注目を集めている。CD34とは血管内皮前駆細胞などに発現する表面抗体。患者の末梢血から同抗体を発現する細胞を分離し患部に移植すると血管や骨の新生が促される。重症下肢虚血(CLI)や難治性骨折に応用したところ、従来治療では見られなかった改善… 2019/01/31 腎・泌尿器
Lancet誌から 脳死ドナーからの子宮移植で出産に成功 ブラジルでMRKH症候群の不妊患者が女児を出産 ブラジルSao Paulo大学のDani Ejzenberg氏らは、先天性の子宮性不妊症であるメイヤー・ロキタンスキー・キュスター・ハウザー(MRKH)症候群の患者に、脳死ドナーからの子宮移植を行い、続いて体外授精を行って、健康な女児の出産に成功した。治療の経過はLancet誌電子版に2018年12月4日に掲載さ… 2018/12/20 産婦人科
腸内細菌の研究が活況、しかし課題も 昨今、遺伝子やメタボローム解析技術の発展により、ヒトの腸内細菌叢と、疾患の発症や悪化との相関を解析する研究が盛んだ。腸内細菌叢が乱れると、様々な疾患の発症や悪化と関係することが示唆されている。例えば、感染性腸炎や、クロストリジウム・ディフィシル菌感染(Clostridium difficile i… 2018/12/18 消化器
J Am Coll Cardiol誌から 経カテーテル大動脈弁置換術と外科手術に有意差なし 死亡と脳卒中で同様の結果 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)の5年間のアウトカムを比較した解析結果が報告された。TAVRとSAVRの死亡と脳卒中の発生率に差は見られず、重度の構造的弁劣化および弁への再介入はまれであった。この結果はJ Am Coll Cardiol誌12月4日号に掲載された。… 2018/12/17 循環器
非コードRNAが「精密医療」の鍵に レスポンダーの予測や治療継続の評価指標にも 遺伝子多型SNPを用いたアプローチは本ブログでも何回か取り上げましたが、NT-proBNP・BNPなどのバイオマーカーを用いた治療が有効であることから、バイオマーカーを応用したprecision medicineへの期待も高まっています。その中でも特に期待が集まっているものの1つに、非コードRNAがあります。… 2018/12/11 循環器
リクガメがいる病院で癌の個別化医療を実践 明星智洋氏(江戸川病院腫瘍血液内科副部長)に聞く 熊本大学医学部卒。江戸川病院(東京都江戸川区)腫瘍血液内科副部長、同病院プレシジョンメディスンセンター長。虎の門病院、がん研究会有明病院を経て現職。一方、病院と企業をつなげる目的でHyper medical creator としても多くの企業とコラボレーションする。… 2018/12/04 癌
ヒトゲノム編集の国際サミットでの講演内容を詳報 中国の研究者「ゲノム編集で女児誕生」と発表 中国Southern University of Science and Technology(南方科技大学)の研究者であるJiankui He(賀建奎)准教授は、2018年11月28日、香港で開催されている第2回ヒトゲノム編集に関する国際サミット(Second International Summit on Human Genome Editing) で講演。ゲノム編集技術であるCRISPR/… 2018/11/30 先端医学
J Am Coll Cardiol誌から sST2は慢性心不全患者の予後予測に有用 6つの臨床研究の患者データを用いたメタアナリシスの結果 心不全バイオマーカーの予後予測能について、インターロイキン1受容体ファミリーの1つであるST2の可溶型(soluble suppression of tumorigenesis-2:sST2)をNT-proBNPやhsTnTと比較検討したところ、sST2は、総死亡と心血管死、慢性心不全による入院について、強力で独立した予測能を有すること… 2018/11/22 循環器
NEJM誌から 末梢血DNA解析は癌治療をどこまで変えるか? プレシジョン・メディシンの研究進展をレビュー 近年は、ゲノム解析に基づく癌の治療(プレシジョン・メディシン)が注目を集めている。米Harvard大学医学部のRyan B. Corcoran氏らは、血漿中の遊離DNA(cfDNA)を分析する技術の進歩と、癌治療に応用した場合の有用性や、改善すべき課題などをレビューし、NEJM誌2018年11月1日号に報告した。… 2018/11/20 癌
BMJ誌から 尿酸値の変動は食生活より遺伝要因が強力 食生活調査と遺伝子検査を行っていた研究のメタアナリシス ニュージーランドOtago大学のTanya J Major氏らは、痛風ではない米国の人々を対象に、血清尿酸値と食生活の関係を調べた横断研究データを用いたメタアナリシスを行い、食事の内容は血清尿酸値に影響は与えるが、一般集団の血清尿酸値の変動に対する食生活の寄与は、遺伝的な要因に比べると遙かに… 2018/10/25 代謝・内分泌
Eur Heart J誌から 新世代の左心補助装置HeartMate 3の転帰良好 実臨床レジストリを用いた観察研究 新世代の定常流左心補助装置(CF-LVAD)であるHeartMate 3(HM3)のレジストリを用いた観察研究で、植込み後6カ月間の転帰は良好であることが報告された。結果はEuropean Heart Journal誌10月1日号に掲載された。 2018/10/24 循環器
リポート◎テクノロジーは医師の働き方を変えるか 政府が中村祐輔氏に委ねたAIホスピタル計画とは 政府はこのほど、診断や治療にAI(人工知能)を活用する「AIホスピタル」の実現に向けた研究開発計画を発表した。AIが臨床にどのように役立ち、医師の働き方はどう変わるのか。プロジェクトディレクターを務める、がんプレシジョン医療研究センター所長の中村祐輔氏にその未来像を聞いた。… 2018/10/18 先端医学
ノーベル賞と論文の被引用数「hインデックス」 こちらの「記者の眼」コーナーではおそらく10度目となります河田と申します。日ごろはバイオテクノロジーの専門誌「日経バイオテク」(1981年創刊)の編集などに携わっています。 今回はまず、不正入学試験問題とされる、医学部医学科の入学試験制度の問題について感想を述べます。 東京医科大… 2018/10/17 事件・話題
ゲノム編集でミトコンドリア病を治療へ 長年、ミトコンドリアのDNAのゲノム編集技術によるチャレンジが行われており、in vivoでの研究結果がNature Medicineのon line版に掲載されました。 2018/10/08 循環器
免疫のブレーキを解除する癌治療法の開発で 京都大学の本庶佑氏がノーベル賞受賞者に決定 ノーベル財団は10月1日、京都大学高等研究院特別教授の本庶佑氏を2018年のノーベル生理学・医学賞の受賞者に選んだと発表した。米MD アンダーソン癌センターのJames Patrick Allison氏と共同受賞した。本庶氏の受賞は自然科学3賞では日本人23人目。… 2018/10/02 事件・話題
トレンド◎ファブリー病に新機序の治療薬登場 異常酵素の折りたたみを修正するシャペロン療法 ファブリー病は、αガラクトシダーゼA遺伝子異常によって分解されるべき細胞内の不要物が分解されずに蓄積し、様々な臓器障害を来す。2000年代初めに酵素製剤が実用化され、予後の改善が進んだが、静注製剤であることや製剤に対する中和抗体の産生といった課題があった。そんな中、日本で見いださ… 2018/09/25 小児科
デバイス治療の進化に乗り遅れてはいけない 東大・小室教授との対談(その3◎デバイス治療、再生医療編) 今回も日本循環器学会代表理事である小室一成氏(東京大学循環器内科教授)との対談をお送りします。補助循環用ポンプカテーテルや心房中隔シャント、左室補助デバイスのように心不全のデバイス治療は進化しています。日本での現状や、今後期待される再生医療についてお話ししました。… 2018/09/12 循環器