NEJM誌から 侵襲的冠動脈造影より先にCTを行うべきか? 虚血性心疾患疑いで欧州の26施設に紹介された患者を3.5年追跡した結果 ハンガリーSemmelweis大学のPal Maurovich-Horvat氏らDISCHARGE Trial Groupの研究者は、虚血性心疾患の検査前確率が中等度の胸痛患者に対して、最初から侵襲的冠動脈造影を行う場合と最初に非侵襲的なCT検査を行った場合のアウトカムを比較するランダム化比較試験「DISCHARGE」を行い、3.5年後ま… 2022/03/30 循環器
学会トピック◎第86回日本循環器学会学術集会(JCS2022) 安定冠動脈疾患の診療ガイドラインが部分改訂 ISCHEMIA試験などの結果踏まえ診断アルゴリズムを改変 第86回日本循環器学会学術集会(JCS2022、会期:3月11~13日、バーチャル開催)で埼玉医科大学国際医療センター心臓内科の中埜信太郎氏が、新たに発表された「2022年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療」(右)の概要を説明した。2019年に発表されたISCHEMIA試… 2022/03/24 循環器
胸痛を伴う頭痛はどう鑑別する? 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患では、放散痛として背中や肩などに痛みが生じることが知られているが、中には頭痛を生じるケースもある。今回は胸痛を伴う「心臓性頭痛」について、頭痛外来での指導医(柴田)と研修医(石山すみれ、イラストも)との対話を通じて解説する。… 2022/01/20 精神・神経
European Heart Journal誌から EPAに関するRCTの結果の差を説明する要因とは REDUCE-ITの対照群に投与された鉱物油で心血管リスク上昇か REDUCE-IT試験とSTRENGTH試験は、どちらも高用量オメガ3系不飽和脂肪酸の心血管イベント予防効果を検証したプラセボ対照ランダム化比較試験である。しかしREDUCE-ITでは25%の有意なリスク抑制を示したのに対し、STRENGTHではリスク抑制はわずか1%と、相反する結果になった。そこで、デンマーク… 2021/12/20 循環器
NEJM誌から 塩分摂取量が増えると本当に心血管リスクは増加するか? 複数回の24時間蓄尿検査結果を含むコホート研究のメタアナリシス 米国Harvard T.H. Chan School of Public HealthのYuan Ma氏らは、より正確な塩分摂取量を推定するために複数回の24時間蓄尿検査を行っていたコホート研究のデータを統合してメタアナリシスを行い、ナトリウム(Na)排泄量の増加やカリウム(K)排泄量の減少と、心血管イベント発症率の間に用量反… 2021/12/15 循環器
NEJM誌から FFRガイド下PCIは3枝病変の治療ではCABGに劣る 心筋血流予備量比を評価して第2世代薬剤溶出ステントを用いた臨床試験 米国Stanford大学医学部のWilliam F. Fearon氏らは、冠動脈の3枝病変が見つかった患者を対象に、心筋血流予備量比(FFR)ガイド下で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行った場合と、冠動脈バイパス手術(CABG)の治療成績を調べるランダム化比較試験を行い、1年後までの複合心血管イベント… 2021/12/01 循環器
JAMA Internal Medicine誌から 非致死的心筋梗塞は総死亡や心血管死亡の代替指標にならない 冠動脈疾患の予防や治療に対する臨床試験のメタアナリシス 米国Washington大学(ミズーリ州セントルイス)のKevin O’Fee氏らは、冠動脈疾患の予防や治療に対する臨床試験で、総死亡や心血管死亡の代替エンドポイントとして非致死的心筋梗塞を用いるのが適切かどうかを検討するメタアナリシスを行い、代替指標として必ずしも適切ではなかったと報告した。… 2021/11/18 循環器
BMJ誌から 急性冠症候群疑い患者にCT冠動脈造影を急ぐ必要はない 標準的なケアで経過観察する群とのRCTで1年後のアウトカムに有意差なし 英国Edinburgh大学のAlasdair J Gray氏らは、急性冠症候群が疑われる胸痛で救急受診した患者に対して、すぐにCT冠動脈造影(CTCA)を実施した場合と標準的なケアのみを行った場合の臨床アウトカムを調べるランダム化比較試験を行い、早期のCTCAで1年後までの死亡と非致死的心筋梗塞を減らすことは… 2021/10/21 循環器
the New England Journal of Medicine誌から 1カ月間のDAPTは6カ月以上のDAPTに劣らず 欧州心臓病学会(ESC2021)で発表されたMASTER DAPT試験の結果 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療として薬剤溶出ステント(DES)を留置後1カ月間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、6カ月間以上のDAPTに臨床成績で劣らないことが示された。MASTER DAPT試験の結果で、8月27~30日に開催された欧州心臓病学会会議(ESC2021)で発表されるとともに、論… 2021/09/13 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2021) ACS患者へのDAPTは1カ月間では短い可能性 我が国で行われたSTOPDAPT-2 ACS、非劣性示せず 急性冠症候群(ACS)患者に対するDAPT(抗血小板薬2剤併用療法)の期間は、1カ月間では短いようだ。我が国で行われたSTOPDAPT-2 ACS試験の結果で、欧州心臓病学会会議(ESC2021、会期:8月27~30日、バーチャル開催)で、京都大学循環器内科の渡部広俊氏らが発表した。… 2021/09/03 循環器
Journal of American College of Cardiology誌から ACS後のDAPTレジメンは段階的減薬が優れる 15RCTのネットワークメタ解析の結果 急性冠症候群(ACS)後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)のレジメンに関するネットワークメタ解析から、標準用量の強力なP2Y12阻害薬を1カ月間投与した後に、クロピドグレルまたは低用量のプラスグレルに変更するde-escalation法(段階的な減薬法)が最も有効であることが示された。慶應義塾大学の庄… 2021/08/23 循環器
トピック◎COVID-19拡大の他疾患への影響 急性心筋梗塞例に重症合併症が相次いだ理由 「また急性心筋梗塞の重症合併症です。今週だけで2例目です」。国立循環器病研究センター心臓血管内科部長の野口輝夫氏は、同センター冠疾患科医師の藤野雅史氏が叫ぶように発した、こんな言葉を覚えている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第1波で1回目の緊急事態宣言が発せられたころだ。な… 2021/07/21 循環器
トレンド◎再生心筋細胞を移植して、失われた心筋を取り戻す 臨床応用目前のiPS心筋球移植、そのポテンシャルは? iPS細胞由来の心筋細胞を移植して心筋を再生し、収縮機能が低下した心不全を治療する──。長年期待されつつもなかなか実現しなかった治療法が臨床応用目前に迫ってきた。慶應義塾大学循環器内科教授の福田恵一氏の研究成果を実現化するため設立され、他家iPS細胞由来心筋球(HS-001)の開発を進… 2021/07/06 循環器
Lancet誌から 抗血小板薬2剤併用後のPCI患者にはクロピドグレル 薬剤溶出ステントを留置した患者5000人以上を追跡した韓国の臨床試験 韓国Seoul大学病院のBon-Kwon Koo氏らは、薬剤溶出ステント(DES)を用いた経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受け、ガイドラインが推奨する抗血小板薬2剤併用期間を完了した患者を対象に、その後の抗血小板薬単剤治療としてアスピリンとクロピドグレルを比較するオープンラベルのランダム… 2021/06/15 循環器
JAMA Neurology誌から 脳出血はその後の脳梗塞と心筋梗塞の危険因子 米国のコホート研究4件のプール解析でリスクは脳出血未経験者の2倍以上 米国Weill Cornell MedicineのSantosh B. Murthy氏らは、米国で行われた4件の住民ベースのコホート研究の参加者のデータをプール解析し、脳出血を起こした患者はその後に脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクが高かったと報告した。結果は2021年5月3日JAMA Neurology誌電子版に掲載された。… 2021/05/31 循環器
学会トピック◎第70回米国心臓病学会学術集会(ACC.21) 急性心筋梗塞へのARNIはACE阻害薬を超えず PARADISE-MI試験の結果 急性心筋梗塞(AMI)後のサクビトリルバルサルタン(以下ARNI)投与は、ACE阻害薬ラミプリル投与より心血管イベントのリスクを10%抑制したが、有意差を示すには至らなかった。ARNIとラミプリルの効果をhead to headで比較したPARADISE-MI試験の結果で、米国ハーバード大学のMarc A. Pfeffer氏ら… 2021/05/17 循環器
クロピドグレルは古いアレじゃダメ!? 社内研修会もだんだん盛り上がってきましたね~。桜井「では続いて、Eさん、お願いするっス」E「はい。言われた通り、1年前と今月の処方箋の2枚を用意しましたが、これでよいですか?」桜井「そうっス。これでいいっス」西根「2つを見比べると、処方内容は、1年間変化なかったんですね……」桜井「… 2021/02/04 循環器
JAMA Cardiology誌から COVID-19患者の心筋梗塞メカニズムを調べる 冠動脈の血栓標本に存在する好中球細胞外トラップが関与か? スペインPuerta de Hierro-Majadahonda大学病院のAna Blasco氏らは、ST上昇心筋梗塞(STEMI)を発症して経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者の血栓サンプルを調べ、2020年のCOVID-19患者と2015年にSTEMIを発症した患者を比較したところ、COVID-19患者の全員から好中球細胞外トラッ… 2021/01/27 感染症
Lancet誌から LDL高値は70~100歳の高齢者でもハイリスク デンマークの1次予防コホート研究で心筋梗塞やアテローム硬化性疾患が増加 デンマークAarhus大学のMartin Bodtker Mortensen氏らは、年齢20~100歳のコペンハーゲン在住の一般市民が参加したCopenhagen General Population Study(CGPS)のデータを利用して、21世紀の同国の住民を対象にLDLコレステロール(LDL-c)と心筋梗塞やアテローム硬化性心疾患との関係を調べたと… 2020/12/15 循環器
JAMA誌から チカグレロルはクロピドグレルより優れるか? 2011~19年の米国と韓国のPCI患者に対する診療データの解析 韓国亜洲大学校のSeng Chan You氏らは、急性冠症候群(ACS)で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた米国と韓国の患者を対象に、アスピリンと併用してチカグレロルまたはクロピドグレルを投与された場合の12カ月間の純臨床有害事象(NACE)の発生率を比較する後ろ向き観察研究を行い、NA… 2020/11/19 循環器
「検査拒否=困った患者」は医師の偏見? 前回より、「患者中心の医療の方法」(本連載「血糖コントロールを改善する魔法の質問」参照)について解説しています。今回は第二の要素である「(患者を)全人的に理解する」がテーマです。家族を中心とした患者を取り巻く周辺情報の聴取によって、前回取り上げた「健康、疾患、病いの経験を探… 2020/11/09 医師・患者関係
Lancet誌から PCI後の抗血小板薬併用療法、早期の減弱に利益 ACS患者を対象としたHOST-REDUCE-POLYTECH-ACS試験の結果 急性冠症候群(ACS)のため経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行した東アジア人患者を対象として、PCIの1カ月後にプラスグレルの投与量を半分に減らすレジメンで抗血小板併用療法(DAPT)を行ったところ、減量しなかった場合に比べてPCI後1年間の虚血性・出血性イベントの発生リスクが抑… 2020/11/09 循環器
Lancet誌から PCIとCABGのアウトカム予測モデルを更新 治療法の選択に役立つ新たなモデルの作成と検証 オランダAmsterdam大学(現所属は近畿大学医学部)の高橋邦彰氏らは、SYNTAX試験に登録された患者を10年後まで追跡したSYNTAX Extended Survival(SYNTAXES)試験のデータを用いて、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)や冠動脈バイパスグラフと術(CABG)を受けた三枝病変もしくは左冠動脈主… 2020/10/26 循環器
硝酸薬◇第3回調査 ニトログリセリンが首位奪還、貼付薬も3位に 1位はニトログリセリン、2位は硝酸イソソルビド、3位はニトログリセリン貼付薬 日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、硝酸薬のうち最も処方頻度の高いものを聞いたところ、39.9%の医師がニトログリセリン(商品名:ニトロペン)と回答した。 第2位の硝酸イソソルビド(ニトロール、フランドル他)は29.1%、第3位のニトログリセリン貼付薬(ニトロダーム、バソレーター… 2020/09/26 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2020) コルヒチンでCVイベント再発リスク31%減 CV残余リスクとしての慢性炎症に再度脚光、LoDoCo2試験 安定冠動脈疾患の患者に対する低用量コルヒチンの投与により、心血管イベントの再発リスクが31%有意に抑制されたと、オーストラリア・GenesisCare Western AustraliaのMark Nidorf氏らが欧州心臓病学会会議(ESC2020、会期:8月29日~9月1日、インターネット上で開催)で発表した。LoCoDo2試験の… 2020/09/03 循環器
EuroIntervention誌から 日本人PCI患者の半数が高出血リスク PENDULUMレジストリーの登録患者で解析 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施した日本人患者の半数が、Academic Research Consortium for High Bleeding Risk(ARC-HBR)基準で高出血リスクと判定され、ARC-HBR基準が日本人患者にも適用可能であることが示された。日本人PCI患者の多くは同基準の複数の項目に該当していた。結果… 2020/08/14 循環器
NEWS◎動脈硬化の進展を抑制する新たな因子発見 糖尿病を患っても動脈硬化が進まない理由は? 糖尿病に罹患していて動脈硬化が急速に進展してしまう患者がいる一方で、長年罹患しているのに動脈硬化の進展があまり進まない患者がいる──。臨床医ならこんな疑問を感じる場面に出くわすことが少なくないだろう。… 2020/05/15 循環器
New England Journal of Medicineから DESのポリマーはアウトカムに影響せず Resolute OnyxはBioFreedomに対し非劣性、ONYX ONE試験 出血リスクが高い(high bleeding risk:HBR)患者を対象とした経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)において、耐久性ポリマーが搭載された薬剤溶出ステント(DES)はポリマーフリーのDESに対し、1年後の安全性と有効性は非劣性であることが示された。ONYX ONE試験の結果で、New England Jo… 2020/04/10 循環器
Eur Heart J誌から STEMIへのLate pPCIは血栓溶解療法より予後悪い フランスリアルワールドデータを使った解析より フランス全土からリアルワールドのデータを収集・解析したところ、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者にガイドラインで推奨されている時間枠外(発症後120分超)にプライマリPCIを施行した場合の5年目の無イベント生存率は、冠動脈内血栓溶解療法の場合より有意に低いことがわかった。このFAST-MIプログ… 2020/03/19 循環器
JAMA誌から ポリジェニックリスクスコアの実用性は? 冠疾患の臨床リスク予測モデルに追加しても予測精度は向上せず 疾患の発症に多数の遺伝子がかかわる多因子疾患の遺伝的リスク評価法として、ポリジェニックリスクスコア(PRS)に期待が集まっている。米国Vanderbilt大学医療センターのJonathan D. Mosley氏らは、冠動脈疾患に関するPRSを既存のリスク予測モデルに追加すると、予測精度が向上すると仮定して、… 2020/03/16 循環器
Circ J誌から 冠動脈ステント血栓症の背景とアウトカムは左右で異なる REAL-STレジストリのサブ解析 右冠動脈(RCA)と左冠動脈(LCA)におけるステント血栓症(ST)の臨床的背景とアウトカムに違いがあるか検討するサブ解析が、日本のREAL-STレジストリのデータを用いて行われた。 2020/02/28 循環器
NEJM誌から コルヒチンは心筋梗塞後の心血管リスクを減少 心筋梗塞で冠動脈再建術を受けた患者を中央値で22.6カ月追跡した研究 カナダMontreal Heart InstituteのJean-Claude Tardif氏らは、心筋梗塞発症から30日以内の患者を対象にコルヒチンを投与し、その後の心血管イベント再発に対する影響をプラセボと比較するランダム化比較試験COLCOTを行い、コルヒチンは虚血性心血管イベントのリスクを有意に低下させたと報告した… 2020/01/15 循環器
Ann Intern Med誌から 高齢AMI患者の6カ月死亡率を予測する新モデル 機能低下の変数を加え、GRACEスコアよりも予測精度が高い 米国New York大学医学部のJohn A. Dodson氏らは、米国の94病院に急性心筋梗塞(AMI)で入院し、生存退院した75歳以上の患者3006人のデータを用いて、退院後6カ月以内の死亡リスクを予測するモデルSILVER-AMIを構築した。モデルの構築法はAnn Intern Med誌電子版に2019年12月10日に掲載された。… 2019/12/25 循環器
AHA2019報告◎安定狭心症に対するPCI論争再燃か? 「虚血あっても血行再建は無効」の結論に衝撃 ISCHEMIA試験の結果に多くの循環器内科医は困惑隠せず 安定狭心症で心筋に中等度以上の虚血があっても、経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)などを行った血行再建群と薬物治療のみの保存的治療群で長期予後に差はなかった──。2019年11月の米国心臓協会学術集会(AHA2019)で発表されたISCHEMIA試験の結果が、PCIに携わる循環器医に今、大きな衝… 2019/12/19 循環器
医師4118人に聞いた「安定冠動脈疾患から慢性冠症候群への用語変更の妥当性」 「慢性冠症候群」の提唱に賛成4割、保留5割 我が国でも使用するなら社会への継続的な啓発が必要 欧州心臓病学会(ESC)が提唱した、「安定冠動脈疾患」から「慢性冠症候群」への言い換えの妥当性を日経メディカル Onlineの医師会員に尋ねたところ、回答者の40.3%は肯定的に受け止めていた。一方、「どちらともいえない」と判断保留とした回答も、52.1%と過半数を占めた。今のところ欧州での… 2019/12/18 循環器
サイファーだからDAPTは一生涯、マルかバツか 第一世代の薬剤溶出ステント(DES)であるサイファーやタキサスが第一線で使用されていた時代、そう、今から10年くらい前に経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)を行った患者を、大学病院から関連病院に出向する先輩から引き継ぐことは、ままある事例だろう。… 2019/12/09 循環器
BMJ誌から トロポニン値は患者の予後にどう影響する? 正常上限値の70倍を超えると逆に累積死亡率の減少を観察 英国の心血管疾患センター5施設を受診し、トロポニン検査を受けていた約26万人の患者を対象に、トロポニン値と総死亡率の関係を検討する後ろ向き研究を行った英国Hammersmith病院のAmit Kaura氏らは、トロポニン値が正常域上限を超えた患者は、年齢にかかわらず死亡率の増加が認められ、過剰な死… 2019/12/04 循環器
トレンド◎心筋トロポニン検査の普及で変わる心筋梗塞像 非ST上昇型心筋梗塞「NSTEMI」を侮るな 心電図のST上昇が明らかではなく軽症というイメージがある「非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)」だが、長期予後はST上昇型心筋梗塞(STEMI)より悪い。クレアチンキナーゼ(CK)より高感度な心筋トロポニン検査の普及に従い、NSTEMIと診断される症例は増加する。NSTEMIに対しても、STEMIと同様の厳格な… 2019/12/03 循環器
NEWS◎「細胞スプレー法」による虚血性心筋症治療の医師主導治験を開始 心臓に幹細胞を「スプレー」して心不全を治療 大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科のグループは、冠動脈バイパス手術(CABG)の際に、他家脂肪組織由来の間葉系幹細胞を心臓表面にスプレー状に吹き付ける「細胞スプレー法」を用いた、新たな心不全治療法の医師主導治験を開始する。11月29日に大阪大学において行われた記者会見で、同教授… 2019/12/02 循環器
学会トピック◎米国心臓協会学術集会(AHA2019) 低用量のコルヒチンで心血管リスク23%減 心筋梗塞直後の患者が対象、COLCOT試験 1日0.5mgという低用量のコルヒチン投与により、複合心血管イベントの発生を有意に抑制されることが明らかになった。COLCOT試験の結果で、カナダ・Montreal Heart InstituteのJean-Claude Tardif氏らが米国心臓協会学術集会(AHA2019、11月16~18日、開催地:フィラデルフィア)で発表した。… 2019/11/27 循環器
Circulation誌から 高感度心筋TnT、1時間後の再検査は有用か? RAPID-TnT試験の結果 急性冠症候群(ACS)疑い症例に、受診時と1時間後の高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)値に基づき意思決定する0/1プロトコールを適用したところ、3時間後に再検査する標準的プロトコールより患者が短時間で退院でき、30日以内の死亡や心筋梗塞発症は増加しなかった。一方で胸痛による再受診やhs-cT… 2019/11/13 循環器
FFR-CTのこのセールストーク、マルかバツか とある病院のホームページに「FFR-CTの登場により、カテーテル検査をせずに治療の必要性をより正確に評価することが可能になりました」とあった。ちょっと気になる表現として妙に頭に残った。これをマルバツ問題とするなら、正答はマルだろうか? それともバツだろうか? 今回はFFR(冠血流予備… 2019/11/11 循環器
インタビュー◎AFIRE試験を率いた小川久雄氏・安田聡氏に聞く 「NEJMに論文を出す」研究者としての夢を実現 欧州心臓病学会での発表がNEJM同時掲載に 今年8月にパリで開催された欧州心臓病学会会議(ESC2019)で、日本からの発表が話題を呼んだ。心房細動(AF)を合併した安定冠動脈疾患(CAD)に対する抗血栓療法は、経口抗凝固薬1剤で済むことを示したAFIRE試験だ。発表に合わせ、The New England Journal of Medicineの論文が公開された。日本… 2019/11/05 循環器
学会トピック◎第67回日本心臓病学会学術集会 院外心停止例へのCAG要否は石灰化の有無で判断 院外心停止例に対する蘇生後12誘導心電図は急性心筋梗塞のスクリーニングに有用だが、ST上昇が認められない場合、どのような患者に早期冠動脈造影検査(CAG)が適切か明確な基準はない。 2019/11/01 循環器
BMJ誌から CABG後のグラフト閉塞予防効果が高い薬は? 抗血小板薬と抗凝固薬のネットワークメタアナリシス カナダWestern大学のKarla Solo氏らは、冠動脈バイパス手術(CABG)後のグラフト閉塞予防に用いられる抗血栓療法の有効性と出血リスクを比較したランダム化比較試験(RCT)を対象にしたネットワークメタアナリシスを行い、抗血小板薬2剤併用のグラフト閉塞リスクが最も低く、大出血、心筋梗塞、死… 2019/10/30 循環器
BMJ誌から NAFLD患者の心血管リスクは一般の人と同程度 既知の危険因子をすべて補正すると有意なリスク増加がなくなる 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)患者の心血管リスクが高い可能性が懸念されている。英国GlaxoSmithKline社のMyriam Alexander氏らは、欧州4カ国のプライマリケア・データベースを用いて、NAFLDまたは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の成人患者の、急性心筋梗塞(AMI)や脳卒中のリスクを、これ… 2019/10/29 消化器
NEJM誌から PCI後の抗血小板薬はどう使うべきか? 3カ月の2剤併用療法後はチカグレロル単独で出血リスクが低下 米国Mount Sinai病院のRoxana Mehran氏らは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後に、3カ月間の抗血小板薬2剤併用療法を受けた患者を対象に、1年間のチカグレロル単剤治療とチカグレロルとアスピリン併用療法を比較して、虚血イベントリスクに差はないが、チカグレロル単剤群の方が、出血イ… 2019/10/16 循環器
1分解説◎細胞の低酸素応答の仕組み、貧血や虚血障害治療に応用も ノーベル生理学医学賞受賞の「HIF」って何? ノーベル財団は2019年10月7日、2019年のノーベル生理学・医学賞の受賞者に、細胞が酸素レベルを感知し、応答する機構を解明した米国と英国の研究者3人を選んだと発表した。 2019/10/08 腎・泌尿器
学会トピック◎第28回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2019) 虚血評価の算定要件化から1年、現場への影響は 待機的PCIの件数変化などを医療ビッグデータ使い検証 2018年度の診療報酬改定で、安定冠動脈疾患に対する待機的な経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)の算定に、機能的虚血の評価が求められるようになった(関連記事)。それ以降、我が国のPCIはどう変わったのか? その短期的影響を医療ビッグデータから検証した結果を、第28回日本心血管イ… 2019/09/30 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2019) 「安定冠動脈疾患」改め「慢性冠症候群」へ 大気汚染や騒音についても言及した新ガイドライン発表 欧 欧州心臓病学会会議(ESC2019、会期:8月31日〜9月4日、開催地:フランス・パリ)の開幕に合わせて改訂発表されたガイドラインから、「安定冠動脈疾患(stable coronary artery diseases:stable CAD)」との用語が消えた。新たに提唱された用語は「慢性冠症候群(chronic coronary syndrome… 2019/09/17 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2019) ACSへのプラスグレルはチカグレロルより優れる 研究グループの仮説とは逆の結果になったISAR-REACT 5試験 急性冠症候群(ACS)を対象に、クロピドグレルより新しい抗血小板薬であるプラスグレルとチカグレロルを直接比較したISAR-REACT 5試験の結果が、フランス・パリで開催された欧州心臓病学会会議(ESC2019、会期:8月31日~9月4日)で発表された。研究グループの仮説に反してチカグレロルの方が1年… 2019/09/13 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2019) CHADS2スコアはAMI患者の予後予測指標に AMIの多施設症例登録J-MINUETの解析より 心房細動(AF)患者の脳梗塞リスクを評価するCHADS2スコアは、AFを合併していない急性心筋梗塞(AMI)患者の予後予測指標としても有用であることを、欧州心臓病学会会議(ESC2019、会期:8月31日~9月4日、開催地:フランス・パリ)で熊本大学循環器内科の本里康太氏(教授:辻田賢一氏)らが報告… 2019/09/12 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2019) 大出血は冠疾患再発より強固な予後規定因子 虚血性心疾患の1240例を約5年半追跡したレジストリー研究より 虚血性心疾患(IHD)の患者を長期に追跡した我が国のレジストリー研究から、大出血の発症は冠動脈疾患の再発よりも強固な生命予後規定因子になっていたと、欧州心臓病学会会議(ESC2019、会期:8月31日~9月4日、開催地:フランス・パリ)で静岡市立静岡病院循環器内科の影山茂貴氏らが報告した。… 2019/09/10 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2019) AF合併PCIの1年以降は抗血小板薬中止が可能 リバーロキサバン単独と抗血小板薬併用を比較したAFIRE試験の結果 心房細動(AF)を合併した安定冠動脈疾患(CAD)で、経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)から1年を経過した患者では、抗血小板薬を休薬し経口抗凝固薬1剤にすることが可能か? 日常臨床でよく遭遇するこの問題に答えを導くエビデンスが、日本から報告された。AFIRE試験の結果で、9月4日ま… 2019/09/05 循環器
学会トピック◎欧州心臓病学会会議(ESC2019) 脂質異常症GL改訂、超高リスクはLDL55未満も 「もはやLDL-Cと心血管イベントの関連は“仮説”ではない」 8月31日からフランス・パリで始まった欧州心臓病学会会議(ESC2019)で、脂質異常症のガイドラインが改訂発表された。動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の既往、微量アルブミン尿や網膜症など臓器合併症のある糖尿病、心血管疾患の既往がある家族性高コレステロール血症(FH)、重度のCKD(eGFR<30m… 2019/09/02 循環器
Circulation Journal誌から 国内の実地診療におけるAMIへのプラスグレルの有用性は? クロピドグレルと比較した観察研究JAMIRの結果 日本の前向きレジストリ研究から、実地診療で多くの急性心筋梗塞(AMI)患者がプラスグレルを投与されており、クロピドグレルと比べて虚血イベントは同程度で出血リスクは低いという結果が得られた。 2019/08/30 循環器
心植え込みデバイスのこの適応、マルかバツか 新しいデバイスほど適応は細分化 今は昔、筆者が若手と呼ばれ冠動脈ステントもまだなかった頃、循環器系の植え込み医療機器といえば唯一、ペースメーカーだった。もちろん、デバイスなどという呼び名はなかった。今や一口にペースメーカーといっても、DDDRだのCRT-PだのCRT-Dだの、アルファベットが1字違うだけで機種そのものが違… 2019/08/26 循環器
Lancet誌から 薬剤コーテッドバルーンはステントより優れる 高出血リスク患者の新規病変への介入を比較したDEBUT試験の結果 出血リスクが高い患者の新規冠動脈病変に対する経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)に際し、使用デバイスとして薬剤コーテッドバルーン(DCB)とベアメタルステント(BMS)を比較したところ、DCBの方が優れている可能性が示された。DEBUT試験の結果で、Lancet誌7月20日号に掲載された。… 2019/08/23 循環器
JAMA Intern Med誌から 安定狭心症患者に対する鍼治療のRCT 薬物療法に針治療を併用すると症状が軽減する 中国成都大学のLing Zhao氏らは、慢性の安定狭心症に対する鍼治療の影響について検討するランダム化比較試験(RCT)を行って、通常の薬物療法に加えて鍼治療を行うと、狭心症発作の頻度が低下し、疼痛を軽減すると報告した。結果はJAMA Intern Med誌電子版に2019年7月29日に掲載された。… 2019/08/19 東洋医学
トレンド◎衝撃の試験結果に米国ではガイドラインを改訂 SGLT2阻害薬に新効能! 心・腎保護薬へ 糖尿病治療薬として開発されたSGLT2阻害薬。心血管イベントのリスク抑制に加え、最近になり腎機能低下の抑制効果も確認された。血糖降下薬から心不全予防も含めた心・腎保護薬に、SGLT2阻害薬の位置付けが変わろうとしている。… 2019/08/15 代謝・内分泌
シリーズ◎あなたの知らない“血液”の世界 “抗凝固薬キャンセラー”は出血性合併症の治療をどう変えた? 経口抗凝固薬治療中の出血性合併症治療に活躍する中和薬 血液疾患治療は新薬が続々と登場したことで新たなステージに突入した。さらに遺伝子操作などの最先端技術は、血液細胞を“改造”することで、新しい治療法を生み出し始めている。本特集では、血液に関連した最新技術を紹介する。… 2019/08/07 循環器
シリーズ◎あなたの知らない“血液”の世界 経口の腎性貧血治療薬「HIF活性化薬」のインパクト 虚血による臓器障害の軽減効果にも期待 血液疾患治療は新薬が続々と登場したことで新たなステージに突入した。さらに遺伝子操作などの最先端技術は、血液細胞を“改造”することで、新しい治療法を生み出し始めている。本特集では、血液に関連した最新技術を紹介する。… 2019/07/30 腎・泌尿器
NEJM誌から 高感度トロポニン2回測定のリスク予測ツール 救急患者の心筋梗塞の陰性予測値を99.5%にする組み合わせ 救急受診患者の心筋梗塞を除外するためには、臨床症状と心電図所見に加えて、心筋トロポニンの複数回の測定が欠かせない。ドイツHamburg大学Heart CenterのJohannes T. Neumann氏らは、受診時すぐと時間を置いて再測定した高感度トロポニンIまたはTの値を用いて、心筋梗塞の確率と受診から30日以… 2019/07/19 救急医療・集中治療
JAMA誌から PCI後の抗血小板薬2剤併用は1カ月に短縮可能 日本人患者を対象にしたSTOPDAPT-2試験 薬剤溶出ステント留置後の抗血小板薬2剤併用(DAPT)の最適な継続期間については、いまだ議論がある。京都大学の渡部宏俊氏らは、エベロリムス溶出性コバルトクロムステントの留置を受けた日本人患者を、DAPT1カ月+クロピドグレル単剤投与、または標準的なDAPT12カ月継続にランダムに割り付けて… 2019/07/16 循環器
NEJM誌から 心筋灌流MRI検査は侵襲的なFFR測定に劣らない 冠動脈血行再建術の適応と12カ月後までのアウトカムを比較 ドイツGoethe UniversityのEike Nagel氏らは、心筋虚血の評価に用いられている侵襲的な血管造影による心筋血流予備量比(FFR)測定と、非侵襲的な心筋灌流MRIの検査結果に基づいて血行再建術を適用するかどうかを判断された患者を追跡し、その後1年間の主要心血管イベント(MACE)の発生率を調べ… 2019/07/10 循環器
JAMA Intern Med誌から 心エコー検査は治療成績の改善につながるか? 参考にはなるが、死亡率や再入院率の減少には至らない 急性心筋梗塞(AMI)で行われる画像検査の筆頭が心エコー検査だ。米国Massachusetts大学医学部のQuinn R. Pack氏らは、入院患者データベースを用いて、AMI患者に対する心エコー検査と治療成績や入院日数などの関係を分析して、この検査の実施率が高い病院と低い病院を比べると、院内死亡率と3カ月… 2019/07/09 循環器
学会トピック◎第62回日本腎臓学会 CKD患者に対する酸化マグネシウム投与は冠動脈石灰化の進展を抑制 透析を行っていない慢性腎臓病(CKD)患者に対する酸化マグネシウム製剤の投与の効果が検証された。 2019/07/08 腎・泌尿器
BMJ誌から 冠動脈造影CTは誰に実施すべきか? 冠動脈疾患の検査前確率が6~67%の患者で診断能力が高い ドイツCharite医科大学のRobert Haase氏らは、冠動脈疾患(CAD)が疑われる患者のうち、冠動脈造影CT(CTA)の利益が大きい人の条件を調べるために、CTAと通常の冠動脈造影の診断精度を比較する研究に参加していた個々の患者のデータを用いたメタアナリシスを行い、CTAは検査前のCADの確率が6~67… 2019/07/05 循環器
BMJ誌から ST上昇心筋梗塞は全員ICUで治療すべきか? 比較的軽症の患者でもICU入院で30日死亡率が低下する可能性 米国Michigan大学のThomas S Valley氏らは、ST上昇心筋梗塞(STEMI)を起こした患者は全員ICUで治療すると成績が向上するのかどうかを調べるために、メディケアのデータを用いた後ろ向きコホート研究を行い、ICU以外の病室でも治療可能と考えられる患者でも、ICUの使用により30日死亡率が有意に低… 2019/06/28 循環器
リポート◎冠動脈疾患リスクが見当たらないのに起こる心筋梗塞 中年女性が発症する特発性冠動脈解離の特徴は? 国内外の観察研究で明らかになる患者像 30〜50代の女性で、高血圧、脂質異常症、動脈硬化などのリスクが見当たらないにもかかわらず、突然、強い胸痛や急性虚血を発症するのが特発性冠動脈解離(SCAD)。 2019/06/27 循環器
インタビュー◎PCI時「高出血リスク患者」の国際基準を定義した理由 誰が「高出血リスク」か共通言語で語れる時代へ Philip M. Urban氏・上妻謙氏に聞く 各国のインターベンション医などで構成される学術研究コンソーシアム(ARC:Academic Research Consortium)が、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受ける患者が「高出血リスク(HBR:High bleeding risk)」であるかを判定する国際基準を定義し、EuroPCR 2019(5月21~24日、開催地:フラ… 2019/06/12 循環器
JAMA Network Open誌から 100%ジュースでも死亡リスクは上昇する 総摂取カロリーに占める飲料の糖分が少ない人と多い人のリスク比較 加糖飲料の摂取と心血管リスクの関係についてはこれまでにも報告があった。米国Emory大学のLindsay J. Collin氏らは、脳卒中の危険因子を調べたコホート研究(REGARDS)のデータを利用して、米国の人々の加糖飲料と100%フルーツジュースの摂取量と死亡率の関係を調べ、これらの飲料をたくさん飲… 2019/06/11 循環器
学会トピック◎EuroPCR 2019 第2世代生体吸収性ステント、2年間血栓症ゼロ MeRes100ステントの国際共同臨床試験結果から 第2世代の生体吸収性ステントの1つである「MeRes100」の留置後2年間、ステント血栓症は1例も発生しなかった――。国際共同臨床試験の成績とその後2年間の追跡結果を、ブラジル・Instituto Dante Pazzanese de CardiologiaのAlexandre Abizaidら氏がEuroPCR 2019(5月21~24日、開催地:フランス・… 2019/06/10 循環器
学会トピック◎第62回日本糖尿病学会年次学術集会 糖尿病患者の循環器合併症予防する指針案提示 心不全既往者ではSGLT2阻害薬の投与検討を推奨 第62回日本糖尿病学会年次学術集会(5月23~25日、開催地:仙台)で、日本循環器学会と日本糖尿病学会が共同編集している「糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント」のアウトラインが公表された。糖尿病治療薬の選択に関しては、「患者ごとの病態に合… 2019/05/30 代謝・内分泌
学会トピック◎第62回日本糖尿病学会年次学術集会 重症低血糖から10日以内はACSリスクが上昇 1000人・年あたりのACS発生率は4倍に 重症低血糖を起こした糖尿病患者がその翌日から10日以内に急性冠症候群(ACS)を発症するリスクは、11日以降に比べ約4倍も上昇することが明らかになった。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いた解析で、奈良県立医科大学糖尿病学講座の西岡祐一氏らが第62回日本糖尿病学会年次… 2019/05/28 代謝・内分泌
Lancet誌から 手術前日の貧血・鉄欠乏症治療が役立つ 待機的心臓手術患者の周術期の赤血球輸血を減らす 心臓手術が予定されている患者にはしばしば、貧血と鉄欠乏症が認められる。スイスZurich大学病院のDonat R Spahn氏らは、手術前日にカルボキシマルトース鉄、エリスロポエチンα、ビタミンB12、葉酸を投与すると、プラセボ群よりも術後7日間および90日間の赤血球輸血の必要性が有意に低下すると報… 2019/05/20 外科
N Engl J Med誌から 心房細動患者のPCI後抗血栓療法、最良の選択は 出血リスクはNOAC+P2Y12阻害薬が最少、AUGUSTUS試験の結果 心房細動(AF)患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の抗血栓療法としてアピキサバン+P2Y12阻害薬の2剤併用は、ビタミンK拮抗薬(VKA)+P2Y12阻害薬の2剤併用、ないし経口抗凝固薬+アスピリン+P2Y12阻害薬の3剤併用と比較して、出血リスクおよび入院リスクが少なく、虚血事象… 2019/04/22 循環器
Hot Topics◎循環器領域のロボシステムが稼動開始 ロボット補助PCI、久留米大で国内初症例施行 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を補助するロボットシステムである「コーパス」(CorPath)を使った国内最初のPCIが、4月12日に久留米大学病院循環器病センターで行われた(写真1)。対象患者(2例)はいずれも70歳代の冠動脈疾患で、1例目は右冠動脈中位部の90%狭窄に薬剤溶出ステント(… 2019/04/16 循環器
NEJM誌から チカグレロルの抗血小板作用を中和する抗体 事故や手術時の出血リスクを減らすための新薬開発 米国Brigham and Women's HospitalのDeepak L. Bhatt氏らは、健常人ボランティアを対象に、チカグレロルの抗血小板作用を迅速に逆転させるために開発されたモノクローナル抗体断片PB2452の有効性と安全性をプラセボと比較し、この薬がプラセボよりも大きく血小板機能を回復させていたと報告した。… 2019/04/09 循環器
学会トピック◎第83回日本循環器学会学術集会(JCS2019) 初のPCI・CABG併記の血行再建GLが発表 クラスIIb/IIIの症例ではハートチームアプローチを推奨 第83回日本循環器学会学術集会(3月29~31日、開催地:横浜市)の開催に合わせて、「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018年改訂版)」が発表され、同日、ガイドライン合同研究班員の門田一繁氏(倉敷中央病院循環器内科)と荒井裕国氏(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外… 2019/04/05 循環器
BMJ誌から 高感度心筋トロポニンI値は慎重な解釈が必要 英国の大学病院で2万人の受診患者の99パーセンタイル値を検証 高感度トロポニンアッセイが、急性心筋梗塞(AMI)の診断または除外に広く用いられるようになっている。英国Southampton大学病院のMark Mariathas氏らは、何らかの理由で血液検査を受けた連続する2万人の外来患者と入院患者を対象に、心筋トロポニンI高感度アッセイ(hs-cTnI)測定値の分布と99パ… 2019/04/04 循環器
学会トピック◎第83回日本循環器学会学術集会(JCS2019) AIで心電図から緊急PCI施行の判断が可能か 人工知能(AI)によって、胸痛を訴えた患者の12誘導心電図から緊急再灌流療法施行の判断ができるだろうか?慶応大学循環器内科の後藤信一氏らは、第83回日本循環器学会学術集会(3月29~31日、開催地:横浜市)で、それが可能であることを示す研究結果を発表した。同氏の演題は、Young Investigat… 2019/04/03 循環器
リポート◎心原性ショック救う新デバイス カテーテル型の補助人工心臓に普及の兆し 急性心筋梗塞(AMI)や劇症型心筋炎などで心原性ショックに至った症例に対し、経皮的に左心室に挿入して使用するカテーテル型の循環補助用ポンプ(製品名インペラ)が注目されている。時間をかけずに留置でき、全身の血行動態の改善だけでなく心負荷の軽減も得られるのが特徴だ。このデバイスが普… 2019/03/12 循環器
JAMA誌から アセトアミノフェンは心臓手術後のせん妄を減らす CABGや弁置換術を受ける60歳以上の患者の臨床試験 心臓手術後には、50%の患者に術後せん妄が見られるとの報告がある。せん妄リスクに対する鎮痛薬の影響を検討するランダム化対照試験を行った米Harvard大学医学部のBalachundhar Subramaniam氏らは、プロポフォールまたはデクスメデトミジンとともにアセトアミノフェンを静注すると、プラセボに比… 2019/03/12 外科
J Am Coll Cardiol誌から 有害冠動脈プラークが死亡や心筋梗塞のリスク上昇と関連 SCOT-HEART試験の副次的解析 有害な冠動脈プラークの特徴である陽性リモデリングや低吸収プラークの有無と、冠動脈心疾患による死亡または非致死的心筋梗塞のリスクとの関連が検討された。解析の結果、有害プラークが認められた患者は、認められなかった患者よりも同イベントのリスクが3倍高いことが示された。この結果はJ Am… 2019/02/15 循環器
China Watch 3 中国開発の薬剤溶出ステントの実力はいかに カナダ司法省は2018年12月1日、中国・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟(モン・ワンチョウ)副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕した。サイバー覇権をめぐる米中衝突の激化が背景にあると言われる。米国をなりふり構わぬ対決姿勢にさせるほど、中国のハイテク製造業の隆盛は著しい。そんな中、… 2019/02/07 循環器
JAMA Network Open誌から 入院患者の心筋梗塞は1000件当たり4.27件 米国退役軍人局の入院医療データから分析 近年、別の疾患で入院した患者が、院内で急性心筋梗塞(AMI)を発症する例が増えている。しかし、こうした患者の疫学調査データは少ない。米国Minneapolis Heart InstituteのSteven M. Bradley氏らは、米国退役軍人局(VA)の医療データを分析して、院内発症AMIの発生率、危険因子、患者の長期成… 2019/02/07 循環器
BMJ誌クリスマス特集から 心筋梗塞はクリスマスイブにやってくる? スウェーデンの患者登録データを16年分解析した研究 スウェーデンの主要な休暇シーズンと、世界規模の大きなスポーツイベントが行われた期間の、心筋梗塞による入院のリスクを16年間にわたって調べたスウェーデンLund大学のMoman A Mohammad氏らは、1年中で最も発症率比が高いのはクリスマスイブで、心筋梗塞を起こしやすいのは75歳以上、糖尿病患者… 2018/12/25 循環器
年末スペシャル◎あのニュース、どうなった?2018 不要なPCI減らすFFR-CT、保険収載はされたが 施設基準厳しく現状では「絵に描いたモチ」 冠動脈CTのデータから、心筋虚血の定量的な評価が可能とうたうFFR-CT。安定冠動脈疾患の患者に対して、侵襲的なカテーテル検査を行わずとも経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が必要か判断できる検査法として注目され、日経メディカルでも折に触れ取り上げてきた。実臨床への早期の導入が… 2018/12/20 循環器
消化器症状が前面に出た心筋梗塞から学んだ教訓 師走に入り、暖かい日が続くなあと思ったら、ここに来て強烈な寒波襲来。これも夏の酷暑に続く異常気象なんでしょうか。このまま寒い日が続くと、インフルエンザの流行とともに年末年始を迎えることになるかもしれません(正月は休めそうにないな)。今年も色々とありましたが、本年最後の記事とし… 2018/12/19 循環器
JAMA Cardiology誌から 米国の心疾患病院ランキングと治療成績比較 ランキング上位病院は30日死亡率が低い 雑誌U.S. News and World Report(USNWR)が発表した、心臓病と心臓外科病院ランキングでトップ50に入った病院と、ランキング外となった病院の治療の質を30日死亡率、30日再入院率、患者の満足度という3点について比較した米Harvard大学医学部のDavid E. Wang氏らは、死亡率と満足度はトップ50病… 2018/12/12 循環器
学会トピック◎米国心臓協会学術集会(AHA2018) 新しい米コレステロール管理GLのアルゴリズム 米国のコレステロール管理ガイドライン(2018 Guideline on the Management of Blood Cholesterol)が5年ぶりに改訂された。2013年版は薬物治療としてスタチンのみを推奨、治療目標値は示さないなど斬新な内容だった。2018年版では基本的な考え方は踏襲しつつも、一部の対象者についてはCTによる… 2018/12/10 循環器
N Engl J Med誌から アリロクマブで急性冠症候群既往者の予後改善 ODYSSEY OUTCOMES試験の結果 急性冠症候群(ACS)の既往があり高強度のスタチン治療にもかかわらず血清脂質値が高い患者に、前駆蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬アリロクマブを上乗せ投与したところ、プラセボの上乗せと比較して複合心血管イベント(MACE)のリスクが15%、有意に減少した。今年3月の… 2018/12/10 循環器
NEJM誌から イコサペント酸は高TG血症の患者に有望 スタチンと併用したRCTで虚血性イベントを減少 スタチンを投与されているにもかかわらずトリグリセリド(TG)値が高い患者を対象に、イコサペント酸エチルまたはプラセボを投与するフェーズ3bのランダム化対照試験REDUCE-ITを実施した米Harvard大学医学部のDeepak L. Bhatt氏らは、介入群の虚血性イベントが有意に少なかったと報告した。結果は… 2018/11/28 循環器
学会トピック◎米国心臓協会学術集会(AHA2018) 冠動脈疾患2次予防は日本人でもLDL70未満に ガイドラインが求める100mg/dL未満より低リスク 日本人の冠動脈疾患2次予防に関して、現行のガイドラインの推奨よりも広範囲の患者で、LDLコレステロール(LDL-C)70mg/dL未満を目標にできそうだ。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療後にスタチン投与によりLDL-Cが100mg/dL未満になっている患者集団でも、LDL-Cは急性冠症候群(ACS)再… 2018/11/22 循環器
学会トピック◎米国心臓協会学術集会(AHA2018) 1日4gの高用量EPAで心血管リスク25%減 イコサペント酸エチルを投与したREDUCE-IT試験の結果 1日4gという従来よりも高用量のイコサペント酸エチル(EPA)を投与すれば、スタチンでは制御しきれない中性脂肪(TG)高値という「残余リスク」を効果的に抑制できる可能性が示された。REDUCE-IT試験の結果で、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のディーパック・バット(Deepak L. Bhatt)氏ら… 2018/11/21 循環器
学会トピック◎米国心臓協会学術集会(AHA2018) ダパグリフロジンで心血管リスクは増加せず 心不全や腎リスクは有意減少、DECLARE-TIMI58試験 SGLT2阻害薬ダパグリフロジンの心血管安全性を評価したDECLARE-TIMI58試験(以下、DECLARE)の詳細が、米国心臓協会学術集会(AHA2018、11月10~12日、開催地:シカゴ)で発表された。有効性に関して設定された2つの主要評価項目のうち、「心不全入院+心血管死亡」では17%の有意なリスク減少と… 2018/11/20 代謝・内分泌
JAMA Cardiology誌から 心筋梗塞リスクが最も高い気象条件は低気温 16年分の気温、湿度、気圧、風速、日照時間、降雨量などと発症率の関係 スウェーデンLund大学のMoman A. Mohammad氏らは、同国全土で16年間に渡って取得した気象データと日々の心筋梗塞(MI)発症率の関係を検討し、気温が低い、気圧が低い、風側が強い、日照時間が短い、などの気象要因がMIリスク上昇に関係していたと報告した。研究結果は、JAMA Cardiology誌電子版… 2018/11/13 循環器
Lancet誌から GLP-1作動薬albiglutideで心血管リスク抑制 Harmony Outcomes試験の結果 心血管疾患のある2型糖尿病患者を対象に、長時間作用型のグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬であるalbiglutide(国内未承認)の心血管安全性を評価したHarmony Outcomes試験の結果が明らかになった。プラセボに比べて主要有害心血管事象のリスクが有意に低下し、忍容性・安全性は良好だ… 2018/11/08 代謝・内分泌
第24回 お、値段以上?─ ニトロ 家から30m先に幼稚園。運動会があれば、アンパンマン、ドラえもん、ディズニーが流れます。最近はAKBやアムロ。だけど、『となりのトトロ」はゼッタイ外せない。トトロとくれば、循環器医の誰もが思い出すニトロ。そんなわけで、今回は硝酸薬のお話。… 2018/11/01 循環器