新型インフルエンザワクチンの接種回数:欧州の判断 森兼啓太(東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野) 2009年10月16日、厚労省で行なわれた専門家による会議において、新型インフルエンザワクチンの接種回数に関する議論が行なわれた。2回接種を前提としていた本ワクチンに関して、国立病院機構の4施設の医療従事者を対象に実施した本ワクチン接種後の抗体価調査から、1回の接種でもそれなりの抗体価… 2009/10/30 感染症
新型インフルエンザワクチンは、何回打てばいいのか? 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 新型インフルエンザの流行が急速に拡大する中、今週から予防接種が始まりました。医療現場はワクチン接種の準備に大慌てです。ワクチンの供給が十分でないため、多くの病院では、全て医療従事者が接種を受けることは出来ません。また、厚労省の方針では、事務職員は接種対象外のため、彼らが新型… 2009/10/29 感染症
医学の進歩についていけない医療行政への提言 ドラッグ・ラグ13年の「トポテカン」、卵巣がん患者に届くのはいつ? 片木美穂(卵巣がん体験者の会スマイリー代表) 「驚かないで聞いて下さい。トポテカンが承認取り下げになりました。」医薬品業界紙の記者さんからの電話取材は、このような言葉から始まりました。2008年10月のことです。 2009/10/28 行政・制度
『友愛』こそがインフルエンザ感染拡大を防ぐ 木村知(有限会社T&Jメディカル・ソリューションズ代表取締役、医学博士) 列島を縦断した台風も去った10月10日、関東地方は、すがすがしい運動会日和の晴天に恵まれた。実際私の周辺の地域でも、いくつかの幼稚園、小学校で運動会が開催された。子どもたちが待ちに待った運動会。しかし天気は回復しても、タイミング悪くインフルエンザに感染し、この日に回復が間に合わ… 2009/10/26 感染症
新型インフルエンザA(H1N1)のワクチン接種回数に関する意見 森兼啓太(東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野) 10月16日に発表された新型インフルエンザA(H1N1)ワクチンの臨床試験中間報告、および同日行なわれた専門家会議での合意事項に対して、以下に私見を述べる。本試験は20歳から59歳までの200名の健常成人を対象に行なわれた。15μg1回接種群で、HI抗体価40倍以上の人が96人中75人(78.1%)おり、… 2009/10/22 感染症
新型インフルエンザワクチンの接種開始を目前にして 森兼啓太(東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野) 新型インフルエンザワクチンが医療機関に届き、医療従事者への接種が始まる。様々な紆余曲折はあったが、新型インフルエンザ発生以降6ヶ月足らずでどうにかここまでこぎつけられたことに関する関係諸方面の方々の努力にまず敬意と感謝の意を表する。… 2009/10/19 感染症
「骨髄フィルター騒動」を振り返る―ガバナンスの欠如とアカデミズムの危機 成松宏人(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門客員研究員) 最近問題になった「骨髄フィルター騒動」における 情報開示のあり方が臨床現場に及ぼした影響について筆者らの研究グループがまとめた論文がBiology of Blood and Marrow Transplantation誌電子版(アメリカ造血細胞移植学会の学会誌)に9月16日付けで公表された。… 2009/10/17 行政・制度
「新型インフルエンザに対するワクチン接種の基本方針」を読む 上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授) 10月1日、政府は新型インフルエンザに対するワクチン接種の基本方針を発表しました。過去の連載で、新型インフルエンザ対策は民主党と厚労省医系技官の対立が明らかで、民主党政権の実力を占う試金石だと述べてきました。… 2009/10/16 行政・制度
今、新型インフルエンザにどう対応すべきか 岩田健太郎(神戸大都市安全研究センター医学研究科微生物感染症学講座教授) 新型インフルエンザへの対応法が多く議論されています。いろいろなご意見を伺っていて、私がずっと考えたことをこの場で申し上げさせてください。まず、思い出したいのは、新型インフルエンザ、豚由来インフルエンザA(H1N1)は今年3月に発見されたばかりの見つかりたてほやほやの疾患だということ… 2009/10/16 感染症
公的医療受給権の否定――控訴審判決 清郷伸人(転移がん患者・混合診療裁判原告) 判決文は49ページにわたっているが、裁判所の判断は13ページほどである。その判断部分について略述する。判決は、まず平成18年9月以前の旧健康保険法(以下健保法)における特定療養費制度についての解釈を述べ、次に現行健保法における保険外併用療養費制度についての解釈を述べ、最後に混合診療… 2009/10/15 行政・制度
厚生労働省のスタンダードは二転三転 「通達」が生むインフルエンザ騒動 多田智裕(武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科) 10月1日、長妻昭厚生労働大臣が新型インフルエンザワクチンの接種体制を公表し、様々なメディアがそれを伝えました。しかし、医療に従事している者からすると、いつものことながら、伝えてほしいことがうまく報道されていないもどかしさばかり感じるのです。… 2009/10/15 感染症
医師のメンタルヘルスケアは「電話相談」だけでは解決しない 保坂 隆(東海大学教授) 日本医師会の「勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会」の委員長を務める保坂隆氏は、医師の健康を支援する活動に力を入れている。日医のプロジェクトでは、09年2月に医師会員1万人を対象にアンケートを行っただけでなく、今年10月から来年1月にかけて、メールや電話での相談も受ける予定だ… 2009/10/14 医療安全
新型インフルエンザワクチンに思うこと 10mL-バイアルなんてウソでしょ~! 森澤雄司(自治医大附属病院感染制御部長) 残念至極であり、誤聞であることを願うばかりであるが、やはり新型インフルエンザワクチンが(少なくとも一部は)10-mLバイアルで供給される方針となったらしい。製剤の生産効率を優先したということであり、苦渋の選択であったとは思われるものの、返す返すも残念でならない。… 2009/10/13 感染症
抗インフルエンザ薬の考え方 森澤雄司(自治医大附属病院感染制御部長) 現場における混乱を防ぐため、自治医科大学附属病院としては、新型インフルエンザの診療にあたる医師に向けて、以下のような文書を配布して対応するようにお願いしている。御参考になれば幸いである。… 2009/10/09 感染症
「看護師が見たアメリカの疼痛緩和の現場」(上) 児玉有子(東大医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門) 今回、アメリカの緩和医療の現場を訪問する機会を得て、実際治療に当たっているスタッフと議論を行いました。 2009/10/08 癌
「インフルバブル」 木村知(有限会社T&Jメディカル・ソリューションズ代表取締役、医学博士) 症例:39歳、女性。小学校教諭。主訴:発熱、悪寒、関節痛、腰痛。深夜より主訴出現。市販の解熱剤を服用するも38度5分の発熱が改善しないため、午前中受診した。来院時、咳嗽なし、鼻汁あり、咽頭痛なし。消化器症状なし。診察所見上、意識、呼吸状態、胸腹部打聴診、咽頭所見ともに異常なし。… 2009/10/08 感染症
「院内事故調査委員会」についての論点と考え方(3) 小松秀樹(虎の門病院泌尿器科)、井上清成(井上法律事務所) 外部委員が過半数を占める調査委員会の設置を、患者側が求めることがある。あるいは、病院が自主的に設置することがある。本来、外部委員には院内で得られない、あるいは、不十分な専門知識が期待される。この延長上に外部調査委員会がある。患者側の“原因究明”という要求には、将来の、あるい… 2009/10/06 医療安全
「院内事故調査委員会」についての論点と考え方(2) 小松秀樹(虎の門病院泌尿器科)、井上清成(井上法律事務所) 理念からは、できる限り内部委員のみで構成することが好ましい。管理者自身もケースバイケースではあるが、内部委員から一律に排除すべきではない。ただし、管理者が委員になると、開設者と同様、病院経営が優先されて、患者に不利な、あるいは、医療従事者に不利な方向のバイアスが働く可能性が… 2009/10/06 医療安全
「院内事故調査委員会」についての論点と考え方(1) 小松秀樹(虎の門病院泌尿器科)、井上清成(井上法律事務所) 院内事故調査委員会は法と医療の矛盾が表れる場所である。このため、ときに委員会そのものが、二次的紛争を惹起する。本来、院内事故調査委員会は、当該病院内部の医療事故や有害事象についての科学的認識をめぐる自律性の確立と機能の向上を理念とすべきである。… 2009/10/06 医療安全
「がん対策基本法」施策と矛盾する在宅車両の取り締まりへの提言 「緑虫」との闘い 長尾和宏(長尾クリニック院長) 人間復興か、はたまた医療費抑制政策か。おそらく両方の意味でしょう。国を挙げての在宅医療推進が謳われています。07年に制定された「がん対策基本法」では「がん患者の意向を踏まえ、住み慣れた自宅や地域での療養を可能とする」とし、「在宅での療養と看取り」を勧めています。… 2009/10/01 行政・制度