2006.02.17

スタチンの使用患者は脳卒中の進行が抑えられる

 東京医科歯科大学大学院脳神経機能病態学助手の白石淳氏(写真)、教授の水澤英洋氏らの研究グループは、スタチンを前もって使用しておくと急性虚血性脳卒中を起こした患者の脳卒中の進行度が抑えられる可能性を見出した。脳卒中は全体の4分の1が入院したあと進行していってしまう。今回の結果は、スタチンを投与することで進行を抑えることができる可能性を示したといえる。成果は、米フロリダ州キシミーで開催された国際脳卒中会議のポスターセッションで2月16日に発表された。

 研究グループは、2003年1月から急性虚血性脳卒中を初めて発症し、東京医科歯科大学、取手協同病院、武蔵野赤十字病院に入院して発症後48時間以内に神経学的な評価を受けた患者を対象にした。発症前にmodified Rankin Scaleが2以上の患者と血栓溶解療法を受けていた患者は対象から排除した。対象の患者の人口統計学的データ、血管系のリスク、NIHSSスコア、血清クレアチニン量、血糖値、トータルコレステロール量などの数値、降圧剤、抗血小板剤、抗凝固剤、血糖降下剤、スタチンの事前使用の有無を調べた。脳卒中発症後48時間後にNIHSSスコアが2ポイント以上悪化(死亡も含む)した場合に、脳卒中が進行したと判断した。

 その結果、全患者517人中スタチンの投薬を受けていなかったのは455人、スタチンの投薬を受けていた患者は62人で、脳卒中が進行するハザード比は、スタチン投与群で0.43と約半分になっていた。また、スタチン以外で脳卒中の進行に関連していたのは、脳動脈狭窄が50以上の患者でハザード比が1.66、たんぱく尿の患者でハザード比が1.76、最初のNIHSSスコアが5ポイント以上だった患者でハザード比が1.21だった。スタチンの脳卒中進行抑制効果について、白石氏はスタチンの持つ抗酸化作用、抗炎症作用、プラーク安定化作用などが寄与しているのではないかと推測している。また白石氏は、脳卒中の急性期の患者を対象にスタチンを大量投与するランダム化試験の必要性を指摘した。(横山勇生)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 66歳男性。5日前から続く息切れ 日経メディクイズ●救急 FBシェア数:0
  2. マッチング中間、5年ぶりに東京大学が首位奪還 「医師臨床研修マッチング2018」中間結果ランキング FBシェア数:107
  3. 「なんなの、この人」。そう言われて我に返ったあの… シリーズ◎忘れられないカルテ FBシェア数:34
  4. その便秘薬の処方、間違っていませんか? リポート◎グーフィス、リンゼスなど新たな便秘薬が続々登場 FBシェア数:170
  5. <片麻痺>患者をCT室に送る前の必須検査は? 患者到着前から始まるエマージェンシー臨床推論 FBシェア数:33
  6. 中小病院が国から託された「新たな使命」とは? 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:17
  7. 本当に誤嚥? 誤嚥の原因は? なぜ肺炎に? 吉松由貴の「誤嚥性肺炎、診療の知恵袋」 FBシェア数:73
  8. 臨床が好きになった日と開業が近づいた日 谷口恭の「梅田のGPがどうしても伝えたいこと」 FBシェア数:10
  9. 大腸癌検診は旧態依然でいいの? 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:36
  10. 「正しい情報」だけでは変わらない患者の行動を変え… 医療4.0〜第4次産業革命時代の医療〜 FBシェア数:3
医師と医学研究者におすすめの英文校正