2006.02.14

【日本消化管学会速報】胃の内視鏡検査、朝食摂って午後3時で問題なし

 上部消化管内視鏡検査を行う場合、前夜から食事を禁止し、翌日の午前中に施行するのが通例だ。しかし、普通に朝食を摂ったうえで昼食だけ抜けば、ほとんどの症例で午後3時には支障なく検査を施行できることが明らかになった。検査時間帯の選択肢が増えるメリットのほか、禁食時間が短いため、脱水を起こしやすい高齢者にとっては好都合と言えそうだ。杏林大学医学部第三内科の土岐真朗氏が2月12日、日本消化管学会の一般口演で報告した。

 土岐氏らは、2004年9月から2005年2月までに同意が得られた患者のうち、胃切除後症例などを除いた48例を対象として、午後の内視鏡検査の有用性を評価した。評価は、内視鏡による観察に支障がある食物残渣(食残)について、グレードA:食残全くなし、グレードB:食残はあるが吸引で観察可能、グレードC:食残はあるが体位変換で観察可能、グレードD:吸引、体位変換でも観察できない部位が残る、という4段階で実施した。

 検査当日は、午前9時までに通常通り朝食を食べてもらい、昼食は禁止して午後3時に上部消化管内視鏡検査を行った。対象者は24〜94歳(平均57歳)の男性23例、女性25例とした。

 その結果、約98%(48例中47例)がグレードA〜Cで検査が可能だった。従来の午前中の検査における成功率99.3%に対し、有意な差はみられなかった。

 午後検査でも、食残全くなしのグレードAが48例中41例(85%)と大部分を占めており、グレードBは4例(8%)、グレードCが2例(4%)で、グレードDは1例のみだった。グレードC、Dはわずか3例だが、年齢が高く、BMIが19前後とやせぎみで、摂取水分量が少ない傾向にあった。

 午後に支障なく検査ができることは、患者と医療機関の双方にとって診療時間の選択肢が増えるという利点がある。しかも、午前中の検査に比べ、禁食が半分の6時間で済むため、脱水リスクは少ない。土岐氏は、「胸焼けなどの症状がない場合は、水分はむしろとってもらった方がよい」という。

 身近な話題でもあり、開業医を中心にフロアから質問が相次いだ。朝食の内容や分量の制限についての質問では、「特に制限は不要。入院中の場合、全量を食べてもらって差し支えない」(同氏)。また、糖尿病患者では(短時間の禁食では)検査が難しいのではないか、という問いには、「今回の午後検査の研究では、8例の糖尿病患者に施行しているが、グレードCの1例を含め、全例、検査可能だった」としていた。(中沢真也)


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