2006.02.03

クロルタリドンはチアジド系利尿剤より夜間の降圧効果が高い

 高血圧の治療に広く用いられる利尿剤のチアジド類とクロルタリドンを比較したところ、夜間血圧を下げる効果については、クロルタリドンの方が有効であることがわかった。外来血圧への効果には差が見られなかった。米Iowa大学のMichael E. Ernst氏らの研究成果で、詳細はHypertention誌電子版に2006年1月23日に報告された。クロルタリドンとチアジド類を推奨用量で用いた場合の24時間自由行動下血圧(ABP)に対する効果を、直接比較した研究はこれまでなかった。

 米国では、低用量のチアジド系利尿剤は、多くの高血圧患者に対する第一選択薬として、また、降圧剤レジメンの基礎的な構成成分として用いられている。強力なエビデンスがあり、安価で、忍容性も高いためだ。一方、クロルタリドンについては、心血管疾患リスクを有意に減らすことが複数の臨床試験で示されている。臨床医の多くが、これら2剤は交換可能だと考えているが、日常診療ではチアジド類が選ばれる頻度が高い。著者たちは、推奨されている低用量で、これら2剤の効果を直接比較するクロスオーバー試験を行った。

 対象は、18〜79歳の男女。前高血圧症と判定された患者と、新たに高血圧と診断された、または、既に高血圧の診断を受けていた患者の中から、治療を受けていなかった人を選んだ。

 クロルタリドンまたはHCTZを8週間投与、その後4週間治療を中止(ウォッシュアウト)し、もう一方の薬剤を8週間投与した。クロタリドンは12.5mg/日で開始し、4週目には25mg/日まで増量した。HCTZは 25mg/日で開始し4週目には50mg/日に増量。試験期間中、他の降圧剤は投与しなかった。ABPは、ベースラインと8週時に測定。外来血圧も2週おきに測定した。

 クロルタリドンの降圧効果は、投与順序の影響を受けた。24時間の平均SBP、昼間SBP、夜間SBPのいずれにおいても、クロタリドン先行の場合にはHCTZに比べ有意な効果が見られ、HCTZ先行では有意差は得られなかった。原因のひとつは、投薬を中止していた期間が不十分で、クロタリドン先行群では、HCTZ投与開始時の血圧が低く保たれていたことにあると考えられた。そこで、以後の分析は、最初の治療期間のみを対象に行った。

 0週時と8週時の血圧の変化を比較すると、HCTZ群に比べ、クロルタリドン群で、SBPの低下が大きかった(24時間の平均SBPは-12.4±1.8mmHgと-7.4±1.7mmHg、p=0.054)。これは主に夜間血圧の低下に由来すると考えられた。夜間SBPの平均値の変化は-13.5±1.9mmHgと-6.4±1.8mmHgで差は有意(p=0.009)。昼間SBPの平均値の変化には有意差はなかった(p=0.23)。性別、年齢、BMIで調整後も、結果は変化しなかった。

 0〜8週のDBPの低下幅は、24時間、昼間、夜間の平均のすべてについて、クロルタリドンの方が大きかったが、差は有意でなかった。

 外来SBPの低下幅は、2週の時点ではクロルタリドン群のほうがHCTZより有意に大きかった。(-15.7±2.2mmHgと-4.5±2.1mmHg、p=0.001)。しかし、8週時には有意差は認められなくなった(-17.1±3.7mmHgと-10.8±3.5mmHg、p=0.84)。

 得られた結果は、推奨用量では、クロルタリドンの方がHCTZよりSBP降下作用が強いことを示した。クロルタリドンの血中半減期は24-55時間と長いが、HCTZは2.5時間だ。今回患者たちは、朝、いずれかの薬剤を服用していた。そのため、半減期の長いクロルタリドンの方が持続的な血圧の低下を可能にしたと考えられた。

 近年、心血管アウトカムの予測には、外来血圧よりABPが、特に夜間血圧の値が有用であることが示されている。したがって、クロルタリドンの方が心血管イベントリスクを減らせる可能性がある。大規模な研究を行えば、使用する薬剤の差が、有病率や死亡率に及ぼす影響を明らかできるだろう、と著者たちは述べている。

 本論文の原題は「Comparative Antihypertensive Effects of Hydrochlorothiazide and Chlorthalidone on Ambulatory and Office Blood Pressure」。アブストラクトはHypertension誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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