2006.01.24

【大腸癌研究会速報】大腸がんの術前生検、「浸潤なし」判断の3分の2が浸潤あり

 1月20日、東京都千代田区で開催された第64回大腸癌研究会では、主題の1つに大腸がんの進展度診断が取り上げられた。このうち、術前診断については、コンピューター断層撮影(CT)と、ポジトロンCT(PET)や磁気共鳴画像(MRI)を併用することで、精度が以前より改善できるとの報告が相次いだ。

 だが、それでも画像診断による正診率は施設ごとにかなりのばらつきがあり、画像診断によって大腸がんの切除術式を決めるという施設は、全体の約半数にとどまった。

 自治医科大学大宮医療センター一般・消化器外科の辻仲眞康氏は、術前の生検による浸潤程度の判断と、摘除標本による浸潤程度の判断を比較し、生検所見が切除術式を決定するのに有用かどうか検討したと発表した。

 検討は、大腸粘膜下層がん83例を対象とした。生検標本はHE染色を行い、癌腺管間の線維性間質増生をみて4段階に分類。明らかに浸潤ありと判断したもののみを浸潤がんとした。摘除標本は、浸潤距離を計測し、生検標本と比較した。

 その結果、生検標本では50例が浸潤なし、33例が浸潤ありと判断された。浸潤ありと判断された33例は、31例(93.9%)が摘除標本で粘膜下層に垂直1000μm以上の浸潤がみられ、生検の有用性が示唆された。しかし、浸潤なしと判断された50例では、33例(66.0%)が摘除標本で粘膜下層に垂直1000μm以上の浸潤があり、1000μm未満の浸潤例は17例(34.0%)にとどまった。

 辻仲氏は、「生検で浸潤ありとなった場合には、手術適応と判断してよさそうだ。だが、浸潤なしと判断された場合、これを基に術式を判断するのは難しいと考えられる」と話していた。

 発表後の質疑では、術前の浸潤程度の判断は、拡大内視鏡による観察のみで十分ではないかとの意見も出された。術前生検の必要性そのものに関しても、今後議論となりそうだ。(小又理恵子)

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