2006.01.23

ワイン好きはビール好きより食生活が健康的、食品購買調査で傾向が判明

 スーパーマーケットで、ワインまたはビールとともに購入された食品を比較したところ、ワイン愛好家の方がビール愛好家より、健康によい食品を選んでいることが明らかになった。デンマーク国立公衆衛生研究所のDitte Johansen氏らの研究で、詳細は、British Medical Journal誌電子版に2006年1月20日に報告された。

 1日のアルコール摂取量と全死亡率をグラフに描くと、J型のカーブになる。適度な飲酒が死亡率を下げる理由の一つは、エタノール自体が冠疾患などを予防する作用をもつためと考えられている。が、ビールとワインでは有病率や死亡率に対する影響が異なることから、エタノール以外の成分の関与を示している。

 実際、ワインには抗血栓作用、抗がん作用を持つ成分が含まれており、ワイン愛好者の冠疾患や特定のがんによる死亡のリスクは低い。さらに、ワイン愛好家は、ビールや蒸留酒の愛好家よりも健康な食事をとっているという報告も複数あった。しかし、飲酒量をはじめとして、食事の内容やライフスタイルに関する情報を自己申告で集めた場合、その精度は高くない可能性がある。そこで著者たちは、スーパーマーケットが在庫管理のために収集したデータを利用した横断的研究を行った。

 デンマークの2大スーパーマーケット・チェーンの系列98店舗で、6カ月間(2002年9月〜2003年2月)に収集されたデータから、無作為に350万件の取引(のべ350万人の買い物の記録)を選出し、各消費者が購入した商品の詳細、数、価格、購入総額を抽出した。蒸留酒は、他の食品とは別に支払うことになっているため、ビールとワインについて分析した。消費者をワイン群(のべ20万2992人)、ビール群(23万935人)、両方群(4万2147人)、酒類非購入群(302万3550人)に分けた。ワイン群は全消費者の5.8%、ビール群は6.6%、両方とも購入していたのは1.2%だった。

 食品は40品目に分類した。一般に、両方群は、他のグループに比べ、購入品目、購入総額ともに多かった。ビール群の購入総額の平均はワイン群の約3分の1で、購入品目もワイン群より少なかった。他の3群に比べ、果物、パン、家禽肉、ミルク、シリアル、菓子の購入者の割合が少なかった。ワイン群よりビール群の方が購入者の割合が高かったのは、ソフトドリンクのみだった。

 ロジスティック回帰分析の結果は、ビール購入者に比べ、ワイン購入者は、オリーブ、果物、野菜、家禽肉、食用油、低脂肪チーズ、低脂肪乳、低脂肪肉をより多く購入、ビール購入者は、調理済み食材、砂糖、薄切り加工肉、ポテトチップス、豚肉、バターまたはマーガリン、ソーセージ、子羊肉、ソフトドリンクをワイン購入者より多く購入していた。

 得られたデータは、ワイン購入者の方がより健康的な食品を選んでいることを示した。その内容は、地中海ダイエットが推奨する食事に近かった。一方、ビール購入者には、伝統的な食事(ビール、バター、ソーセージ、豚肉)を続けている傾向が見られた。

 ただし、今回の方法では、消費者の年齢や、既婚者かどうか、教育レベル、収入などは不明だ。また、スーパーマーケット以外の店で購入した食品は、分析に含まれていない。

 デンマークでは、ワイン愛好家は、ワインを飲まない人に比べ、教育レベルが高く、高収入で、心理機能も高く、主観的健康状態が良好という報告がある。米カリフォルニアの集団を対象とする研究でも同様に、ワイン愛好家は、教育レベルが高く、健康で痩せており、中程度のアルコールを摂取する若-中年の女性が多い傾向が示されている。反対に、ビール愛好家は、教育レベルが低く、アルコール摂取量が多い健康な若い男性である傾向が見られたという。これらの情報に今回の結果も加えると、特定のアルコール飲料の死亡率への影響を評価したこれまでの研究は、食事、飲酒パターン、喫煙、運動、教育、収入などのライフタイル要因の調整が不十だった可能性が考えられる、と著者たちは述べている。

 本論文の原題は「Food buying habits of people who buy wine or beer: cross sectional study」。アブストラクトはBMJ誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


■ 関連トピックス ■
◆2005.9.8 週に3〜4日の飲酒は女性の心筋梗塞リスクを半分以下にする、米国の研究
◆2005.4.12 地中海型食生活は高齢者の余命を延長
◆2002.11.14 ボケ予防にはワイン、ビールは逆効果か


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