2006.01.16

高血圧治療中の高齢者で気温が高いと夜間血圧が上昇する傾向、夏期の降圧剤減量が原因か

 一般に、冬に比べて夏は血圧が低下し、心血管死も減少する。高血圧患者の脳卒中発症も、夏には少ない。このため、夏期には降圧剤の用量が減らされる傾向がある。しかし、用量を減らしても血圧を24時間管理できるかどうか調べた研究はなかった。イタリアFlorence大学のPietro Amedeo Modesti氏らは、外気温と血圧の関係を調べ、年齢と高血圧治療が、気温に応じた血圧の変動に与える影響を評価した。得られた結果は、気温が高いと外来血圧(CBP)と昼間の自由行動下血圧(ABP)は下がるが、夜間ABPは上昇すること、こうした変化は高齢者、特に降圧治療を受けている人々で顕著であることを示した。詳細は、Hypertension誌電子版に2005年12月27日に報告された。

 著者たちは、1999年10月から2003年12月までに高血圧クリニックを訪れた6404人を対象に、CBPとABPに対する1日の平均気温と被験者の年齢、降圧治療の影響を調べた。外気温については、現地の気温の10パーセンタイル未満となる-0.7度から6.2度を「寒い日」、90パーセンタイル超となる25.5度から32.5度を「暑い日」とし、その間を「中間的な気温の日」、とした。

 被験者全体では、中間的な気温の日の収縮期圧(SBP)は、CBP 138mmHg、ABP 132mmHg、モーニングサージ(覚醒後のSBP-夜間SBPの最低値)は35mmHgだった。暑い日は、CBP 136mmHg、ABP 130mmHg、モーニングサージ33.3mmHgといずれも低く、寒い日には、CBP 141mmHg、ABP 133mmHg、35.3 mmHgといずれも高かった。夜間SBPと夜間拡張期圧(DBP)を中間的な気温の日と比べると、寒い日については有意差は見られなかったが、暑い日にはいずれも有意に高かった。

 回帰分析の結果は、 CBP、昼間のSBPとDBPは、気温と反比例することを示した(p<0.01)。逆に、夜間のSBPとDBPは気温と比例していた(p<0.01)。 

 被験者を年齢に基づいて分類、50歳未満と66歳以上を比較した。モーニングサージに対する気温の影響は、50歳未満では有意でなかった。一方、66歳以上では、寒い日のモーニングサージは中間的な気温の日に比べ、有意に大きかった(p<0.01)。

 高血圧治療が、気温に応じたABP変動パターンに与える影響を調べるため、被験者を正常血圧者、治療を受けている高血圧患者、未治療の高血圧患者に分類、50歳未満と66歳以上の間で夜間血圧を比較した。寒い日より暑い日に夜間ABPが有意に高かったのは、66歳以上で治療中の患者のみだった(129mmHgと134mmHg、p<0.05)。未治療の66歳以上に有意差は見られなかった(127mmHgと131mmHg)。

 治療中のグループと未治療群の血圧の差をもとに降圧剤の用量を推測したところ、66歳以上では、用量は暑い時期に有意に少ないと考えられた(p<0.001)。が、50歳未満の人々の間に有意差は認められなかった。

 著者たちによると、降圧治療を受けている高齢者の夜間血圧と気温の関係を明らかにしたのはこれが初めてだ。夏期の夜間血圧上昇は、降圧剤の用量削減が原因である可能性があり、CBPを目安として用量を減らすことは危険ではないか、と著者たちは述べている。

 本論文の原題は「Weather-Related Changes in 24-Hour Blood Pressure Profile. Effects of Age and Implications for Hypertension Management」。アブストラクトはHypertension誌Webサイトのこちらで閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)


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