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2005.12.05

治療を選ぶ「自己決定」 納得して医療を受けるために

 日本のほとんどの医療機関では、かつて、本人の意向に関係なく治療方針が決まり、そのまま治療されてしまうことが平気で行なわれてきました。しかし、自分が望んでいることとは異なる治療を受けてしまうと、後悔だけが残ることになりかねません。医療には不確定な要素がたくさんありますから、どのような治療を受けるかを、納得して決める「自己決定」が非常に大切です。

 最近では、患者自身が治療法を選べるように、複数の治療法を提示して説明する医師も少しずつ増えてきました。医療における自己決定は、患者が自己責任で何もかも一人で決めるためにあるのではなく、弱い立場の患者が医師や家族などに自分の意に沿わないことを強制されないために必要なものです。ですから自己決定は、医療者を道案内役とする共同作業として行なわれなければなりません。

 そこで、患者さんが自分なりの答えを見つけやすいように、私たちの会では、数年前に「自己決定のためのフローチャート」(図)を作りました。これを使えば必ず簡単に答えが出せるというものではありませんが、納得して医療を受ける手がかりにはなるはずです。

 まずは、自分の病気の診断名を覚え、その診断はどうやって得られたのか、病状と医師の提示した治療法について確認し、情報の整理をしましょう。そして、気持ちの整理をします。いま一番困っていること一番望んでいることは何か、短期・中期・長期の3段階に分けて考え、医師に伝えましょう。もちろん、判断材料を増やすために本やインターネットで知識を得ることも大切です。

 こうして出した答えは最終決定ではなく、状況が変われば方向転換しても良いのです。検査や治療を受けるうちに、このプロセスを何回も繰り返すことになるかも知れません。自己決定は精神的に疲れるものですが、一定期間悩んだり、ほかの人の意見を聞いたりした上でないと、本当に自分で選んだという気持ちにはなれません。「腑に落ちた」と感じるまで悩むことも必要です。