2005.09.20

【日本心臓病学会速報】 救急患者における「たこつぼ型心筋障害」、決して稀ではない

 一般救急の場で遭遇する「たこつぼ型心筋障害」は決して稀ではないことが分かった。信州大学の今村浩氏らが9月19日のポスターセッションで発表した。

 報告が目立ってきたたこつぼ型心筋障害だが、そのほとんどは循環器専門施設からのもので、一般救急の場での実態は必ずしも明らかになっていなかった。このため信州大学の救急集中治療医学を中心とする研究チームは、救急部に搬送された患者を対象に、何らかの胸部疾患、心電図異常、あるいは肺水腫を認めた全症例について心臓音波検査を実施。たこつぼ型心筋障害の頻度とその臨床的な特徴を求めた。

 調査対象は、2003年4月〜2004年3月の間に、信州大学の救急部に緊急搬送された746症例。このうち、たこつぼ型心筋障害と診断されたのは5例と決して少なくはなかった。

 臨床上の特徴は、全例女性で、年齢は61±21(26〜80)歳。発症の誘因は、痙攣発作、低血糖性昏睡、気管支喘息大発作、くも膜下出血、硬膜外麻酔によるショックが各1例だった。自覚症状としては、原疾患による意識障害などのため全例で胸痛の訴えはなかった。

 診断のきっかけは、心不全(肺水腫)が4例、心電図異常が1例だった。このほか、心電図所見では、全例で胸部誘導でR波の増高不良および0.5〜1.5mm程度の軽度ST上昇が見られた。肺水腫が4例に、軽い肺うっ血が1例に見られた。

 なお、原疾患の治療とともに、呼吸・循環器管理を徹底したことで、全例が生存し、心機能が正常化し退院に至っている。

 演者らは、一般救急の場で遭遇する「たこつぼ型心筋障害」は決して稀ではないと指摘、特に一般救急患者の場合は「原疾患の症状にマスクされて胸部症状を訴えることがないため見逃される症例も多い」と注意を促している。原因不明の肺水腫、心電図異常を認めた場合は、積極的にたこつぼ型心筋障害を疑うべきと結論づけている。「原疾患の治療とともに循環管理を行い急性期を乗り切れば予後は良好である」とも言及している。(三和護、医療局編集委員)

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