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2005.09.06

「リン酸化酵素を標的にした抗がん剤の開発目指す」 英国がん治療センター所長が開発目標を明らかに 

 英国がん治療センター所長でLondon大学薬理学・治療学部教授のPaul Workman氏は、9月7日に横浜市で開催されるバイオジャパン2005英国セミナーで、特にがんに関連したリン酸化酵素を標的にした治療薬の開発について現状を説明することを明らかにした。Workman氏は英Astrazeneca社でgefitinib探索プロジェクトの生物学チームをリードした人物だ。

 Workman氏らは、がんに多くのリン酸化酵素が関与していることから、リン酸化酵素に焦点を当てて開発を進めている。変異を起こして活性化したリン酸化酵素が細胞のがん化に作用していることから、それらの酵素を阻害する低分子化合物の開発を進めている。

 そのうちの1つがBRAFの阻害剤。Workman氏らは2002年に、悪性黒色腫の70〜80%、大腸がんの15〜20%で、BRAFの特定部位に突然変異を起こしていることを見つけた。現在、阻害薬候補をいくつか見つけているという。英Astex Therapeutics社と共同開発を進めている。

 このほか、PKB、PI3キナーゼ、CDKなどについても低分子阻害剤の開発を進めている。PKBについては、Astex社と提携しているほか、約1カ月前にAstrazeneca社とも提携しているという。変異を持ったPI3キナーゼ阻害剤については、英PIramed社を2003年に設立し、開発を進めているという。またCDK阻害剤については英Cyclacel社と共同開発を行っており、seliciclib (CYC202)という化合物がフェーズ2試験に入っているという。

 キナーゼの活動を助けるシャペロンであるHSP90の阻害剤の開発も進めている。米Kosan社とはGeldanamycinの誘導体である17AAGの開発を共同で進めている。また別に阻害剤のスクリーニングも行っており、ジアシルピラゾールという化合物を同定、英Vernalis社と共同で開発を進めているという。

 Workman氏らは2002年にChroma Therapeutics社を設立、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)やオーロラキナーゼの阻害剤の開発も行っている。(横山勇生)