2005.06.10

【編集委員の視点】 治験の登録は未承認薬の広告か?

 今年6月1日、大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)が「UMIN臨床試験登録システム(UMIN CTR)」の運用を開始した。昨年9月に、New England Journal of Medicine誌やLancet誌など有名医学雑誌の編集者たちの集まりである医学雑誌編集者国際委員会(International Committee of Medical Journal Editors:ICMJE)が声明を出し、登録されていない臨床試験はこれらの雑誌に掲載しないと宣言して以後、臨床試験を登録するための枠組み作りが検討されてきた。UMIN CTRは、わが国初の臨床試験登録システムとなる。

 なぜ臨床試験を登録する必要があるのかについては、UMIN CTRのWebサイトに解説が載っているので、関心のある方は一度のぞいてみてほしい。良い結果が出たら世間に発表するが、期待はずれの結果が出たら発表しないという、いわゆる出版バイアスがあれば、正しい判断ができなくなってしまうおそれがある。それ以前に、被験者に対する説明責任を果たす上でも、臨床試験を登録し、その経過を追跡可能な状態にしておくこと(さらにいえば、結果も隠さず公開していくこと)が必要なのは明らかだろう。

 登録システムができたことはその第一歩だし、大いに進めてほしいのだが、気掛かりな点がある。それは、治験の扱いだ。

 UMIN CTRのFAQの中に、こういう一文がある。「治験の登録に関しては、薬事法上の未承認薬の広告規制に抵触するのではないか、という議論があります。厚生労働省は、これに関して正式な見解を示していませんので、厚生労働省の見解が出るまでは、治験の登録は待った方が無難と言えます」。わが国で行われる臨床試験の少なからぬ割合が治験であるにもかかわらず、これでは企業が治験を登録する気にはならないだろう。企業にとって、承認されるかどうかは死活問題だからだ。

 薬事法第68条により、承認前の薬の名称や効能・効果を広告することは禁じられている。しかし、治験を登録することと、治験中の薬を広告することとはわけが違う。治験をきっちり登録することは、薬の効果を正しく検証していくためにむしろ欠かせないことだ。厚生労働省は早急に見解を示し、治験が遅滞なく登録されるようにしてほしい。(北澤京子、医療局編集委員)


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