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2005.04.18

【日本リウマチ学会2005速報】 続報:関節リウマチ頚椎手術後の生命予後、生存率は2年で93.5%、5年で79.0%

 生存率は2年で93.5%、5年で79.0%−−。これまで、関節リウマチ上位頚椎病変により脊髄症状が現れた患者の生命予後は、手術をしなかった場合に、2年生存率が約70%、5年生存率が約45%で、8年で21例全例が死亡したという論文報告がある。これに比べて、関節リウマチ頚椎手術を施行した場合は、高い生存率であることが分かったわけで注目される成果といえる。厚生労働科学研究「関節リウマチの頚椎・上肢機能再建に関する研究」の脊椎グループによる解析結果で、大阪労災病院の小田剛紀氏(写真)が4月18日のプレナリーセッションで報告した。

 生命予後の解析調査に協力したのは、大阪府立急性期・総合医療センターのほか、国立病院機構の西多賀病院、岡山医療センター、鹿児島大学病院、榛名荘病院、慶応義塾大学病院、鹿児島赤十字病院の7施設。これらの施設で、1990〜1999年に実施した関節リウマチ頚椎手術例が集積された。

 登録症例数は340例で、術後追跡がなかった41例と術前の神経症状が不明だった4例が除外され、最終的に解析対象は295例だった。

 性別は男性72例、女性223例。年齢は26〜85歳(平均60.8歳)。関節リウマチ罹病期間は0.3〜50.0年(平均15.0年)。術前の神経症状はRanawat基準でクラス1(神経症状なし)が65例、クラス2(自覚的脱力、しびれ)が75例、クラス3(他覚的脱力、索路症状)のa(歩行可能)が84例、b(歩行不能)が71例だった。

 手術法は、後頭頚(胸)椎固定術(O-C固定)が147例、環軸椎固定術(C1-2固定)が118例、その他の固定術が15例、除圧術のみが15例だった。

 これらの症例について術後の生命予後に関する解析を行ったが、その具体的な内容は、術後早期死亡(4週間以内)、術後生存曲線(Kaplan-Meier法)、術後生存曲線に影響する術前因子の解析、死因の4項目。

 その結果、75例で死亡が確認され、術後4週以内の死亡は1例あった。2年以内は16例、2年超から5年以内は44例、5年以降は24例だった。

 2年生存率は93.5%、5年生存率は79.0%になった。生存曲線に影響する術前因子としては、性別(女性の方が生存率が良い)、年齢(60歳以下の方が60歳超より良い)のほか、神経症状もRanawat基準でクラスが軽いほど生存率が良いとの結果だった。さらに、脊髄症や頚椎病変の個々の重症度も生存率に影響を与えることも分かった。

 小田氏は、今回の生命予後のデータをもとに、「脊髄症の出現については、早期の段階での手術が推奨される」と締めくくった。
 
 なお、厚生労働科学研究「関節リウマチの頚椎・上肢機能再建に関する研究」の脊椎グループには大阪労災病院のほか、国立病院機構の大阪南医療センター、相模原病院、西多賀病院、岡山病院、鹿児島大学、榛名荘病院、慶応義塾大学、鹿児島赤十字病院が参加している。(三和護、医療局編集委員)