2005.04.13

究極のアンチエイジング

 村田裕之氏の「スマートシニア・ビジネスレビュー05.4.12 Vol. 67」が届きました。今回のテーマは「究極のアンチエイジング」です。「マリアカラスの決意」がキーワードになっています。以下に全文を紹介します。(三和護、医療局編集委員)

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究極のアンチエイジング
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 アンチエイジングと銘打った商品が増えています。アンチエイジング(anti-aging)のもともとの意味は、「抗老化医療」のことですが、最近は「老化防止」の意味でいろいろと使われることが多いようです。

 アンチエイジングという言葉を聞くと、私はファニー・アルダン主演の映画「永遠のマリアカラス」を思い出します。

 20世紀最大の歌姫マリアカラスは、1974年の日本公演を最後に、二度と舞台に上がらなくなりました。

 日本公演で自身の声の衰えを痛感し、世界トップクラスのオペラ歌手としての限界を感じたからです。

 その後、パリのアパートで隠遁生活をしていたカラスに、かつてのプロモーターが、もう一度舞台での映像を撮り、全盛期の声をかぶせた映画を作ろうと提案します。

 つまり、映像技術を使って、永遠に老化しないマリアカラス=究極のアンチエイジングを実現しようという提案です。

 さんざん迷ったあげく、カラスはこの提案に乗ることにしました。

 映画製作の過程で、カラスはかつての情熱と輝きを取り戻します。

 「永遠のマリアカラス」と題名が付けられたこの映画の出来は素晴らしく、試写会を見た多くの人々は、成功間違いなしと言いました。

 ところが、カラスは結局、その劇場公開に同意せず、「永遠のマリアカラス」は幻の映画となったのです。

 なぜ、カラスは世紀の大傑作と呼ばれた映画の公開をやめたのでしょうか。

 いま、日本で見られるアンチエイジングの概念は、もともとアメリカからの輸入です。

 アメリカにおけるアンチエイジングという概念の背景には、人が年をとること、つまりエイジングをネガティブなものと捉える見方があります。

 しかし、エイジングに対するこうした見方は、実は視野が狭いと言わざるを得ません。なぜなら、エイジングには、ポジティブ面とネガティブ面との両面があるからです(スマートシニア・ビジネスレビューVol.47参照)。

 アメリカ人でもこのことに気がついている人はそれほど多くありません。

 さらに、エイジングは年配者だけの現象ではないからです。生まれたばかりの赤ん坊から、99歳のお年寄りまで、誰にも共通の現象です。

 人は、なぜ、年をとるのか。それは、生きているから。生きているからこそ、体の新陳代謝が起こり、新しい細胞が生まれ、分裂しながら成長し、衰えやがて死ぬ。しかし、また、新しい細胞が生まれ、新たなサイクルが繰り返される。

 つまり、エイジングとは「生きること」に他なりません。

 究極のアンチエイジングを実現した瞬間、それは魅力的でなくなる。なぜなら、アンチエイジングとは、「生きること」の“否定”だから。

 マリアカラスは、そのことに気がついたのでしょう。

→村田裕之氏のホームページへ
http://muratainc.com/

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