日経メディカルのロゴ画像

2004.12.27

18歳時の知能テスト成績が低い男性は自殺リスクが高い、コホート研究から

 神経発達の異常は、精神疾患リスクを上昇させると考えられている。また、認識機能検査の成績不良と、鬱、精神病リスクの関係も示されている。が、知能テストの成績と自殺の関係についてはあまり調べられておらず、これまでに行われた数件の研究では相反する結果が得られている。そこで今回、英国とスウェーデンの研究者は、大規模なコホート研究を行い、18歳時の知能テストの成績とその後の自殺の間に明らかな関係を見出した。詳細はBritish Medical Journal誌電子版に12月22日に報告された。

 調査の対象は、1968年から1994年までにスウェーデンで行われた徴兵登録の記録や国勢調査、死因の記録などだ。徴兵時には、論理的、言語的、空間的、技術的能力を調べる4種類のテストが行われた。本人の記録以外に、両親の記録(学歴や社会経済的地位など)も残っている98万7308人の男性を選出し、5-26年追跡した。追跡期間中に自殺したのは2811人で、知能テストの成績が最も悪かったグループの自殺リスクは、最も良かったグループの約3倍となり、成績と自殺リスクの間に強力な直線的関係が存在することが判明した。自殺リスクと最も強い相関を示したのが、論理的能力を調べる試験の結果だった。以上の結果は、18歳前に精神疾患との診断を受けていた男性を除いても、また、両親の社会経済的な地位で調整しても、ほとんど変わらなかった。自殺リスクが最大となったのは、高学歴の両親の間に生まれ、知能テストの成績が悪かった男性だ。

 知能テストの成績は、学歴やその後の職業選択、収入、社会的地位などに影響する。恵まれない人生に大きな危機が訪れたとき、論理的思考能力の低さが基になって誤った判断に行き着く可能性がある。また、自殺を引き起こしやすい2疾患、鬱と統合失調症の患者には、知能テスト成績が低い傾向が見られている。が、今回明らかになった相関の背景を説明するためには、さらなる研究が必要だ。

 原題は「Low intelligence test scores in 18 year old men and risk ofsuicide: cohort study」、全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。 (大西淳子、医学ジャーナリスト)