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2004.12.08

【解説】診療所のオープンは12月がいい? 戦略的発想で開業日の決定を

 診療所をオープンする場合、1月や4月といった暦の上での節目に診療開始の日を設定したくなるものだ。逆に気ぜわしい年末の12月は、避けたくなるのが人情だろう。

 だが、税金のことを考えると12月は開業の好機と言える。例えば9月末まで病院に勤務して12月に診療所を開業したとしよう。この年の所得は、普通給与所得と事業所得からなる。開業のために多額の初期投資をした一方、来院患者はまだそれほど多くはないため、事業所得は大幅な赤字になることは必至だ。

 となれば、確定申告の際、勤務医時代の給与所得と事業所得の赤字を相殺することで、給与やボーナスから源泉徴収された所得税の還付を受けることができる。医師の場合、9カ月分の給与・賞与の総額は1000万円前後に達するのが一般的だから、還付額は100万円近くになっても不思議ではない。立ち上がりで資金繰りに余裕のない時だけに、こうした収入が入ってくれば多少なりとも助かるだろう。

 戸建て診療所を建築するなど多額の設備をして開業する場合は、年初よりも年末にオープンした方が、消費税の還付について多少有利になると見られる。ただし、必要な手続きを忘れると還付請求はできなくなるので注意が必要だ。

 一方、患者の伸びを考慮すると開業に適した季節は違ってくる。12月のオープンは、風邪の患者が増え始める時期に当たることから、内科系や耳鼻科にとっては好条件だろう。気温が下がる影響で膝や腰が痛む高齢者も増えてくることから、整形外科にとっても悪くないかもしれない。逆に皮膚科の場合は、皮膚疾患にかかる人が少ない冬場は避けて、夏場に開業した方がよさそうだ。

 もちろん現実には、勤務先をやめるタイミングとか、開業準備の進み具合などもあり、必ずしも思い通りにオープンの日を決めることはできない。また長い目で見れば、立ち上がりの1年間の経営状態などささいなことであるのは確かだ。

 だが、様々な条件を検討して、いつオープンするかを決めるという戦略的な発想は、その後の診療所経営でしばしば求められる。その最初の訓練の機会として開業日の決定を利用すれば、後々役に立つのではないだろうか。 
(井上俊明、医療局編集委員)