2004.11.08

英国は家族性大腸腺腫症の着床前遺伝子診断を承認

 日本では着床前診断の是非が問われているが、英国ではさらに一歩踏み出して、成人期に症状が現れ、治療も可能な遺伝性疾患に関する着床前診断を認めた。これまでは、ハンチントン病や嚢胞性線維症など、治療が不可能な病気、または小児期に発症する病気について、スクリーニングが認められていた。このニュースは、British Medical Journal誌11月6日号に掲載された。

 英国には、2万6000〜4万4000人に1人の割合で家族性大腸腺腫症(FAP)の患者が存在する。原因遺伝子を持つほぼ全員に大腸癌が多発する。早期成人期の発症に備えて、10代のうちの予防的大腸除去も行われている。

 今回、英国London大学病院の生殖補助医療部門が、他に先駆けて、FAPを引き起こす遺伝的変異を持たない胚を選ぶための着床前診断の実施許可を得た。50%の確率で原因遺伝子が子供に受け継がれる見込みの4組の夫婦が、年内に検査を受ける予定だ。

 FAPの場合、問題の遺伝子を持つ人の全てが癌になる。たとえ、リスクの高い部位を予防的に切除したとしても、癌は生じる。これまで、FAP遺伝子を持つ夫婦は、妊娠中に検査を受け、遺伝が明らかになれば中絶を考えるしかなかった。

 遺伝子組換え技術に関するリスクや倫理的問題を調査している英国のNGO団体、GeneWatch UKは、今回の承認を非難している。

 また、オブザーバーたちによると、今回の決定は広範な影響を持つかもしれない。例えば、不妊クリニックが、癌のリスクを高める他の遺伝子(BRCA1、BRCA2など)のスクリーニングを行う許可を申請する可能性がある。こうした遺伝子は、受け継いだからといって必ず癌を発症するわけではない。

 このニュースの原題は「UK clinic allowed to screen embryos for rare bowelcancer」、全文は現在、こちら(PDFファイル)で閲覧できる。 (大西淳子、医学ジャーナリスト)

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