2004.10.27

初期の多発性硬化症へのIFNベータ-1a投与は脳全体の容積減少を抑制、RCT試験の結果

 慢性孤立性症候群を呈し、多発性硬化症(MS)が疑われる患者には、インターフェロン(TNF)ベータ-1aが有効だ。臨床的に明確なMSの現れを遅らせ、MRIによって示される病気の活動性を抑制できる。また、MS患者には、脳実質の容積減少がしばしば見られ、減少の程度は、長期的障害の指標として注目されている。そこでイタリアの研究者らは、IFNベータ-1aが、脳の容積の変化に影響するかどうかを調べてLancet誌10月23日号に報告した。

 対象となったのは、IFNベータ-1aを孤立性症候群患者に投与したフェーズ3無作為割付比較対照試験の被験者だ。治療群には週1回、22マイクログラムのIFN・ベータ-1aが皮下注射された。試験開始時と1年後および2年後の脳実質の容積を示すMRIデータが得られた患者は、治療群および偽薬投与群ともに約100人だった。

 試験期間中に、治療群の31%、対照群の47%が臨床的に明確なMSとなった。脳容積の変化量(%)の平均は、対照群で1年目が−0.83%、その後2年目までが−0.67%、2年間では−1.68%だった。治療群はそれぞれ−0.62%、−0.61%、−1.18%だった。差は全て有意だった。

 治療効果は24カ月の時点で明白だった。得られた結果は、MSでは、発症から1〜2年の間に脳の容積が大きく減り、IFNベータ-1aの神経保護効果はこの時期に大きいことを確認した。この薬剤による早期治療は、明確なMSの発症率を減らすとともに、進行性の脳組織の減少を遅らせる効果があった。

 一方、新病変の形成と脳の容積減少の相関は中程度に留まり、早期でも、不可逆的な組織の損失の主な原因が、炎症性の髄鞘脱落にあるとは言えないことを示唆した。

 論文の原題は「Interferon beta-1a for brain tissue loss in patients at
presentation with syndromes suggestive of multiple sclerosis: a randomised,double-blind, placebo-controlled trial」、要約はこちらで閲覧できる(Lancet誌への登録が必要です)。 
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 餅の窒息や風呂での溺水で警察は呼ぶ? 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:16
  2. 【レッスン5】異常陰影を指摘せよ(難易度 中) 山口哲生の「目指せ!肺癌検診の達人」 FBシェア数:19
  3. 周術期のヘパリンブリッジはもういらない? プライマリ・ケア医のための心房細動入門リターンズ FBシェア数:205
  4. 大腸ポリープが腫瘍かどうかをAIが瞬時に判定 トレンド◎AI搭載の診断支援ソフトが国内初承認、年内発売へ FBシェア数:47
  5. 過敏性腸症候群ではプラセボ効果も治療のうち 田中由佳里の「ハラワタの診かた」 FBシェア数:51
  6. 敗血症へのステロイド投与のメタアナリシス JAMA Internal Medicine誌から FBシェア数:41
  7. この処方箋の患者はかぜ?それとも肺炎? 短期連載(1):Dr.キタカズの「成人市中肺炎の処方箋」 FBシェア数:39
  8. 外来での感染症診療は適切なアセスメントから 岡秀昭の「一般外来で感染症をどう診る?」 FBシェア数:107
  9. 職員を採用できずに開業した医師が語った事情 その開業、本当に大丈夫ですか? FBシェア数:49
  10. スギ花粉、関東以南は2月中旬から飛散開始 日本気象協会発表、花粉量は例年よりも多いが前シーズンより少なめ FBシェア数:6
医師と医学研究者におすすめの英文校正