2004.10.18

疫学研究報告の問題、より正確に結果を導き出すためには何が必要か

 疫学研究の報告は非常に多い。しかしながら、中には品質および方法に疑問を感じるものも少なくない。英米の研究者らは、2001年1月にBMJ、 Lancetを含む一流誌に報告された疫学研究のレビューを行い、問題点を指摘した。詳細はBritish Medical Journal10月16日号に報告された。

 主な疫学雑誌と医学一般誌など、計20誌から観察疫学研究73報が選出された。うち37件がコホート研究、25件がケースコントロール研究だった。レビューの結果、以下のような問題が明らかになった。

1.被験者の選別の理由および試験のサイズの正当性を評価している試験が少ない。また、参加を拒否した患者に関する情報が無い。

2.定量的暴露要因の研究が多いが、それらの順序カテゴリーへの分類と分析や、カテゴリー選択に明確な合理性や一貫性がない。

3.分析や推論方法にも再考が必要。関連性推測のための用語(オッズ比とハザード/レート等)の使用に矛盾が見られた。信頼区間は広く用いられているが過度な使用もある。それに比べP値の使用は少ないがカットオフ値を過大解釈する傾向が見られた。P値と信頼区間の両方を記していたのは10件のみだった。

4.交絡因子の選出と調整には明確さ、一貫性、説明が必要だが、ほとんど見られない。

5.暴露と結果の間の複数関連を調べた論文が数本あったが、暴露要因が増えれば擬陽性も増える。

6.効果修飾因子を同定するためのサブグループ解析が盛んだが、方法に問題が多く拡大解釈されがちで、統計学的な相互作用の検討は8件のみだった。

7.公表バイアスの可能性もある。 

8.癌と心臓血管系以外の疾患に関する疫学研究や発展途上国での研究が少ない。

 今回の結果は、インパクト指数の高い雑誌に掲載された論文でも、試験の設計、結果分析および報告の面で問題を内包していること、従って結果の誤解につながる深刻なリスクが存在することを示唆した。論文を評価する立場の人もまた、研究の質に常に留意する必要がある。

 論文のタイトルは、「Issues in the reporting of epidemiological studies: a survey of recent practice」、現在、全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)

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