2004.10.12

抗酸化サプリメントは消化器癌予防に有効ではない:系統的レビューとメタ分析から

 酸化ストレスは癌を引き起こす可能性がある。それでは、抗酸化サプリメントは、癌の発生率と死亡率を減らせるのだろうか。デンマークの研究者らが、文献データベースを調べ、サプリメントの消化器癌予防効果を偽薬と比較した臨床試験のレビューを行った。詳細はLancet誌10月2日号に報告された。

 分析の対象となった14件の無作為割付試験の多くは質の高いものだった。研究者らは、サプリメントの癌発症率および死亡率への影響と副作用を、固定効果モデルと変量効果モデルを用いてメタ分析し、相対リスクを計算した。

 その結果、偽薬、または、ベータ-カロチン、ビタミンA、C、E、セレニウムの単独または併用を1〜12年間継続した被験者に、食道、胃、大腸、膵臓、肝臓の癌の発生率減少は認められなかった。逆に、7件の試験は、サプリメントの摂取が死亡率を有意に増やす(相対リスク1.06)ことを示した。死亡率を上昇させたのは、カロチンとビタミンA(1.29)およびカロチンとビタミンE(1.10)の組合わせだった。カロチンのみは相対リスク1.05で増加傾向を示すに留まった。逆に、セレニウムには消化器癌予防作用があった(相対リスク0.50)。サプリメントには、げっぷが増える、皮膚が黄色くなるなどの副作用も見られた。

 カロチンは、発癌促進作用を持つという報告が先頃なされた。また、多くの臨床試験では、推奨よりかなり多い用量が用いられていた。それでも筆者達は、有害が示されたのは意外だったと記している。もちろん、今回の調査にも限界がある。が、サプリメントよりも、ガン予防に役立つ成分をいろいろ含んでいる野菜や果物の摂取が有効であることは確かなようだ。

 論文のタイトルは「Antioxidant supplements for prevention of gastrointestinal cancers: a systematic review and meta-analysis」、概要はこちらで閲覧できる(Lancetのサイトへの登録が必要です)。
(大西淳子、医学ジャーナリスト)

Information PR

ログインしていません

Close UpコンテンツPR

ログインしていません

もっと見る

人気記事ランキング

  1. 製薬企業と医師との付き合い方はどう変わる? ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」 FBシェア数:387
  2. 学会はスーツで行くべきなのか 倉原優の「こちら呼吸器病棟」 FBシェア数:804
  3. 若年男性に生じた腹痛、必ず聞くべきことは? カンファで学ぶ臨床推論 FBシェア数:1
  4. お尻に注入しないで!(食事中に閲覧しないで) 薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」 FBシェア数:413
  5. 脳梗塞超急性期のEarly CT signとは 今さら聞けない画像診断のキホン FBシェア数:1
  6. いざ本番!失敗しない「試験直前の過ごし方」 総合内科専門医試験 「一発合格」への道 FBシェア数:41
  7. 民間病院から大学教授を毎年輩出する秘訣 東謙二の「“虎”の病院経営日記」 FBシェア数:63
  8. 病院の「介護医療院」転換に予想外の傾向! 日経ヘルスケアon the web FBシェア数:34
  9. 最年少教授が拓く「臓器の芽」による新移植医療 特集◎再生医療はここまで来た!《4》 FBシェア数:300
  10. 心筋梗塞に倒れたヘビースモーカー小泉八雲 病と歴史への招待 FBシェア数:13
医師と医学研究者におすすめの英文校正