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2004.10.09

ACE阻害剤とAIIRAsの糖尿病性腎症に対する効果:系統的レビュー

 1型および2型糖尿病患者の25〜40%が、発症から20〜25年以内に腎疾患を起こす。アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤とアンジオテンシン2受容体アンタゴニスト(AIIRAs)が腎症の悪化を抑制できることが臨床試験で示されて以来、これら2剤は、糖尿病性腎症の治療に最も広く用いられている。豪州の研究者らは、糖尿病性腎症患者の腎症状および死亡率に対する2剤の効果を評価する系統的レビューを行い、詳細をBritish Medical Journal 10月9日号に報告した。

 研究者たちは、文献データベースから、ACE阻害剤と偽薬、AIIRAsと偽薬、ACE阻害剤とAIRAsを比較した臨床試験を選出した。それらの設計と品質は様々だった。ACE阻害剤と偽薬を比べた試験は1型と2型の糖尿病患者4008人を対象としており、AIIRAsと偽薬を比較した試験(被験者数3331人)およびACE阻害剤とAIIRAsを比較した試験(同206人)の対象は全て2型患者だった。レビューでは、これら治療薬のあらゆる原因による死亡率、腎臓への効果(末期腎疾患、血清クレアチニン濃度倍増、ミクロアルブミン尿症の悪化抑制、ミクロアルブミン尿症の改善)などを評価した。

 その結果、ACE阻害剤は死亡率を有意に減らすことが明らかになった(相対リ
スク0.79)。しかし、腎症状に対する効果は同様だったにも関わらず、AIIRAsは有意な効果を示せなかった。これら2剤を比較した試験はどれも小規模で、必要なデータが揃わず、結論は出せなかった。

 ACE阻害剤とAIIRAsの死亡率に対する効果に差がある理由の一つは、前者のみがブラジキニン濃度の上昇をもたらすことにあるかもしれない。いずれにせよ厳密な直接比較が必要だろう。

 論文のタイトルは「Effects of angiotensin converting enzyme inhibitors and angiotensin II receptor antagonists on mortality and renal outcomes in diabetic nephropathy: systematic review 」、現在全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。(大西淳子、医学ジャーナリスト)