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2004.09.24

腰痛の患者への理学療法、長期的利益は認められず

 英国の研究者らが、腰痛患者を対象に、理学療法を年に5回程度受けたグループと、最初に1回だけ理学療法士によるアドバイスを得たグループの12カ月後の改善程度を比較する臨床試験を行った。その結果、効果に有意な差は見いだせなかった。詳細はBritish Medical Journal誌電子版に9月17日に報告された。

 英国にも腰痛患者は多い。1998年に腰痛治療に直接費やされた医療費は16億3200万ポンド、うち2億5100万ポンドが理学療法の費用だ。しかし、その効果を証明する確実なデータは無かった。

 そこで、6週以上に渡って軽-中度の腰痛が続いている患者286人を2群に分けて、比較試験が行われた。全患者にアドバイス・ブックが配られた。理学療法群は、まず最初に約1時間の理学的診察を受け、その後、低速脊椎骨関節モビリゼーションや腰椎可動性を高め腹部を強化する訓練等からなる約30分の治療を平均5回受けた。一方、アドバイス群は、理学的診察を1回受け、自己管理の促進と、信条および行動様式の修正を目的とする助言と、アドバイス・ブックに記されている運動を継続するための一般的助言を得た。この間約1時間だった。

 主要な評価点は、12カ月の時点のOswestry質問票に基づくスコアに置かれた。他に2、6、12カ月のRoland-MorrisのスコアとSF-36のスコア等も評価された。その結果、理学療法群の患者の満足度は高いが、12カ月後のOswestryスコアをアドバイス群と比較しても、有意な差は見出せなかった。

 評価が全て質問票を使って行われたことから、より客観的な方法での試験実施が望まれるが、理学療法に費やされる高額の医療費に大きな疑問を投げかけた。

 論文のタイトルは「Randomised controlled trial of physiotherapy compared with advice for low back pain」、現在全文がこちら(PDFファイル)で閲覧できる。 
(大西淳子、医学ジャーナリスト)