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2004.08.31

【編集委員の目】 「住民」「市民」「国民」多発の日医代議員会、求められる早急な取り組み

 「住民とともに住民の目線に立って」「市民の味方になるという視点が大切」「国民に直接語りかけ、理解をより深める必要がある」――。8月29日に開催された日本医師会の第111回臨時代議員会では、執行部の答弁や代表・個人の質問の中で、こうしたフレーズが少なくなかった。

 質問者の選定の結果かもしれないが、政府が進める医療制度改革に危機感を覚え、医師会活動に新たな展開を求める会員が少なくない表れだとみることができる。植松治雄会長自身、冒頭の挨拶で、従来のロビー活動や国会議員を通じた活動で医師会の意向を政治に反映させることには限界があると指摘し、「国民運動あるいは市民運動として皆保険制度を守り、社会保障制度を守る」と、今後の活動の方向性に言及した。

 今回の代議員会では、日医総研やORCAの問題なども議論の的になった。しかし、これらは基本的に日医内部の問題であり、しかも前執行部時代からのいわば“負の遺産”と言える。その点、今後の活動の進め方についての議論は、国民全体にかかわる前向きな話だ。それが臨時代議員会の席で様々な形で取り上げられたことは、一定の評価をしていいだろう。

 ただ、国民を巻き込んだ運動の具体策については、これというものは見られなかった。執行部からは、対国民広報の充実を図るべく、新たに広報戦略会議を設置した旨の答弁はあったが、本格始動はこれからだという。植松会長も、政府が進める医療制度改革の反対集会のようなものを、全国レベルで開催する意向を示しはしたが、その規模や時機については明言を避けた。

 会員の間で危機感が盛り上がっているならば、みすみすこの機を逃すことはないはずだ。植松会長も、大阪府医師会の会長時代に手がけた医療制度改悪に反対する1万人集会について、「単独でやったから効果がなかったわけではないがインパクトが少なかった」と答弁で振り返った。社会的に影響力のある国民運動を展開するには、相当の準備が必要になることは言うまでもない。そのために日医執行部は、早急に具体的な取り組みを打ち出す必要があるだろう。
(井上俊明、医療局編集委員)