2004.08.16

【投稿】 自立支援といいながら、今の「お客様対応」ではADL能力がどんどん落ちていく

 食事をしようと思えば台所での立ち仕事に始まり、配膳や洗い物、食器の後片付けなど一連の行為を1人で行います。掃除や洗濯も同様です。ところが、施設サービスを享受する高齢者は、どの施設であろうとすべての行為を自分以外の人が行い、自らが汗を流すことはめったにないのではないのでしょうか。

 健康的な心身の維持増進には休養、栄養、運動が必要であると言われていますが、施設サービスを受ける高齢者にとって最も不足がちなのが運動のような気がします。

 よって、結果としてADL(日常生活活動)能力の衰えが著しくなってしまい、要介護度も重度化し、それでなくても費用負担の荷重の大きい介護保険施設サービス費をより負担増に導いてしまっているように思われます。

 施設サービス受給者の生活クオリティとは一体何なのかを考え直さなくてはならない材料を、私達に投げかけている現実が存在しているのではないのでしょうか。

 人は一方通行の与えられるだけの毎日を過ごすことによって、役割を見出せず自らの存在に疑問を感じるようになってしまうようです。

 自分のこの世の存在を自らが認識しよう、あるいは認識できるのは何らかの役割を自覚できて初めて成就できるのではないのでしょうか。

 もし簡単な役割さえ結果的に奪われてしまえば、極端な話になりますが、食べて、寝るだけのつまらない毎日が訪れてしまうのではないのでしょうか。

 介護保険の理念の一つに自立支援がありますが、果たして現状の施設サービスのあり方でこの理念の具現化がはかられているのでしょうか。

 確かに施設サービスを利用する高齢者をお客様と受け止めることは間違ってはいないと思われますが、「お客様」の意味を履き違えた本末転倒のような実態が施設サービスのあり方には存在しているように思われます。

 具体的に申し上げますと、健康で快適な生活の提供をどの施設でも共通に運営理念として掲げていますが、快適な生活を与えるばかりの生活と履き違え、結果として運動不足を利用者に強いてしまい、不健康な生活を提供してしまっているのが今日の有様のように考えます。

 運動量は、役割が多ければ活動量となって還って来るのではないのでしょうか。

 つまりそれ程役割を持つことは大切ではないのでしょうか。

 今現在の与えられるばかりの施設生活で果たして役割を持ち、それを認識できる毎日を過ごすことが可能でしょうか。

 還元してみますと自立支援とはその高齢者の役割を見つける、あるいは創造して差し上げることが自立支援の本来の意味のような気がしています。

 その方にとっては自分探しの生まれて初めての体験になるかもしれません。

 長年にわたり国家の発展に寄与された高齢者に対して、上げ膳据え膳が良いと考えサービスの詳細をアジャストしてきた歴史に終止符を打ち、目前に迫った超高齢社会において高齢者に対する福祉サービスのあり方をどのように方向転換していくかが、今後の日本における固有な国民的課題のような思いがしています。

 理学療法士 西沢滋和

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