2004.08.04
緊急調査:「痴呆」に替わる用語、賛成理由に目立つ「蔑視的な響き」の指摘
厚生労働省は6月、「痴呆」に替わる用語に関する検討会を設置し、用語変更へ向けた検討を始めた。7月中に複数案を取りまとめ、関係団体等ヒアリング、国民の意見募集、家族会、医療・福祉関係者等の意見集約などを経た上で、新たな用語を決める意向だ。これを受け、MedWaveでは、会員の医療関係者に意見をうかがい、その結果をもとに新たな用語を提案することを企画した。7月14日から30日までにweb調査を実施。280人の協力が得られた。本日は、替えることに「賛成」とした人の主な理由を紹介する。
・字体、言葉の響きから蔑視的なニュアンスは消し去れない。
・差別的な意味を含むと一般に考えられているから。辞書には愚かなこととも記載されている。痴呆症は神経変性疾患であって、愚かになったわけではない。ただ、言語は時代により意味が変遷するものでもあり、患者様側が受け入れているのなら変更する必要はない。
・屈辱的な言い回しだから。
・蔑視・偏見の可能性のある語を病名として使うべきではない。
・差別的表現のように受け取れる。患者家族への病状説明時にこの用語を用いるときにやや自分自身が抵抗を感じることがある。
・患者およびその家族への差別へとつながると考えられるから。
・一般的に使用される分にはよいが、病態を正確に指し示しておらず、医学用語らしくない。
・マイナスイメージが強い。
・印象が悪い。
・人を小馬鹿にしたような名称で、患者さんにも使いにくい
・現在の痴呆という言葉のひびきから、痴呆の告知などの場合、本人・家族に絶望的な感情を引き起こしてしまう。
・この文字は、部外の方には印象が悪いようです。老人性痴呆疾患センターに勤務していた時、痴呆と言われると患者がショックを受けると、家族より苦情を寄せられたことがあります。
・蔑視的な響きがある。
・蔑視するようなニュアンスがあり、本人の前で口にだすのをためらう言葉である。
・身体機能の低下と同じように精神(知的)機能も徐々に低下する。社会生活に適応できないレベルまで低下したのが痴呆だ。程度の差はあれ、だれにでも生じる現象である。しかし自分や肉親を「痴呆」と表現することには強い違和感がある。もっと尊厳のこもった言葉が必要だ。
・人格を否定するような言葉の印象があるため。
・何も解らなくなってしまうイメージがある。
・差別的な響きがあるため。
・一般に、痴呆という響きが良くない。
・痴呆というとある意味で、差別的に聞こえ、患者さんによっては、人間の一番避けたい終末ととらえている人がいる。
・病気的な名前の方がいい。差別用語的イメージだから。
・痴呆という用語は、人格を否定するニューアンスも含まれていると思われ他の用語でも良いかと思うが、社会に浸透している為あえて反対はしない。
・痴呆の字を分解しますと「痴」と「呆」。「痴」は知性が障害を受けているおろかな状況で「白痴」「痴情」等の単語を連想します。「呆」はあきれ返る様で「阿呆」を連想させます。実際の「痴呆症状」はもっと包括的で「短期記憶の低下」「計算能力の低下」、また外側から見ているだけでは判らないものまで多くを含みます。そんな中、「痴呆」=「おろかであきれた人」などと解釈されますと、言われた側は全人格を否定され、気分を害するだけです。新たな言葉を求めます。
・悪いイメージがある
・表現が内容にそぐわない
・痴呆は、あくまで、病状であって、病気ではない。また、人格否定的なニュアンスがあるので。
・軽症の患者が聞くと侮蔑されたかのようなイメージを与えかねない。
・痴呆という言葉には侮蔑が感じられる。
・イメージが悪い。
・社会的な偏見を助長する用語となっている。
・実際に、患者に「あなたは、痴呆がありますよ」といったら、むっとされるか、ショックを受けられる。それで、もうすこしやわらかい表現の仕方で「痴呆の気があります」で今まではしのいできた。家族にしても自分の身内の病名を言うのに痴呆では抵抗があるのではないだろうか。ぜひ、別の言い方に変えたほうが良い。
・状態を正確に表現した擁護ではない。
・本人及び家族の診断名に対する印象がよくないように思われる。
・人間性を否定するようにみえる。
・高齢者の尊厳を否定する用語であるから。
・やまいだれに知の文字に先入観を持ってしまっていて、人格否定につながる懸念がある。
・結果として、人権侵害につながる用語である。
・語源を考えると、実情にあわない。
・今、まさに痴呆介護研究・研修東京センターで、痴呆介護指導者養成研修の受講真っ只中です。「痴呆、痴呆」と聞きながら、もっと優しい音、優しい気持ちが入っている言葉で「痴呆の方々」を表現できないかと思います。痴呆の方もおなじ「ひと」であることを忘れずにいられる言葉が今後必要不可欠だと思います。
・マイナスイメージの言葉を、響きの柔らかい言葉に置き換えて、体裁を繕うのは良くないと思いますが、痴呆でも、いろんなタイプがあることを考えると、言葉を変える意義もあると思います。
・痴呆は言葉のイメージが悪くて使いにくいので。
・痴呆という言葉は、知的能力低下が絶望的に進行していくようなイメージを与える。
・個人の尊厳を無視した呼称だから
・どうしても人格的差別のニュアンスがあるから。
・あまりにも患者をバカにしている漢字2文字を使っている。漢字の意味から考えて差別対象として扱っていた歴史をかいま見る。それが現在の早期発見の妨げになっていると思えるそう言った時代遅れの単語は抹消して行くべきだと思う。
・その人の今までの人柄(人格)までも否定してしまうような言葉はいらないと思います。
・痴呆は従来からの使われようによって、反射的にマイナスイメージがあり、一度、リセットする必要がある。
・実際の発症原因やそれに伴う症状を的確に示して用語ではないと考えます。
・回復しないイメージがある。
・英語で「痴呆」にあたる"dementia"の語源となっている"dement"は、理性を失った状態を指しており、「痴れ者」「呆けた」といったニュアンスを含んでいるわけではない。また、自らの意思に関わらずいわゆる「痴呆」の状態になっていることが配慮されていない。
・患者様自身、その言葉にかなりの抵抗感を示されるので。
・「痴呆」の響きや字に相手をバカにしたような感じを受けるから
・よいイメージがわかないので長年、世の中に貢献してきた高齢者の呼び方としては避けたほうが良い。
・人格を否定しているニュアンスが感じられる
・痴呆という用語は如何なる立場の医師が命名したかは分からないが、昔から一般に用いられている「白痴」と「阿呆」とを合成し命名したものと考えられる。人格を大きく傷つける用語である。
・差別用語に聞こえる。いろいろな人が痴呆と聞いてすぐ偏見の目でみやすい。
・漢字で書いたときに、あまりいい感じがしないから。今まで頑張って生きてきたのに、この漢字で最期まで言われ、人生を終えるのはかわいそうではないか。
・痴呆ということばの響きが人間としての尊厳を守れないような気がする。
字があんまり良くないと思う。
・「痴呆」という言葉には、治癒あるいは改善不能というイメージがあり、患者本人、介護者にとって、絶望感を与えるような気がします。また、今でも、差別用語のようにとられる感じがあります。
・蔑視的な漢字であり、変えるべきだと思う。
・細かい部分まで解明されていない頃に用いられた決め付けるような固定イメージがあり、使われている漢字も不適切ですし、原因や症状、状態そのものを言い表していない不適切な呼称だから。
・何か、知能が修復不可能で、人間としての脳機能を持たないような印象を受けることもある。
・偏見的なニュアンスがある。
・痴呆の痴は知識の知に「やまいだれ」が付き、呆は、「呆れる」という字です。人間の英知が傷つき、周囲に呆れられるという意味では人間性を否定されるように思えてならないのです。
・痴呆という言葉のイメージは、暗くて差別的。それぞれの漢字の持つ意味が悪い。もっと前向きに捉えられるような用語があればその方がいい。
・痴呆という言葉のイメージが病名よりも差別的な感覚に捕らえられるから。
・老化は、人の一生の中で避けて通ることができません。「痴呆」という表現は、人としての尊厳が失われている響きを感じます。
(まとめ;三和護)