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2004.07.28

アバンチュールは性感染症への誘い?:英国男性のHIV感染者、7割が海外での性交で感染

 夏休みには旅先で見知らぬ相手との危険なセックスの機会が増える。英国では近年、海外旅行が増えており、エイズや熱帯感染症の国内持ち込みが後を絶たないようだ。海外旅行好きの日本人にとっても高みの見物を決め込める状況ではない。英医師会誌のBritish Medical Journal 2004年7月24日号でRoyal Hallamshire Hospital泌尿器生殖器科のK E Rogstad氏が「セックス、太陽、海、そして性感染症」という刺激的なタイトルのレビュー論文で警鐘を鳴らしている。

 休暇中には、性的な出会いの確率が休暇前のおよそ2.5倍にはね上がるという。H. Finneyらの2003年の研究報告では、英国の医学生の3人に1人は休暇中に新たなパートナーと性交をしていたという。

 旅行中のアバンチュールでは、無防備なセックスが行われやすい。P. Gilliesらの1992年の報告では、性感染症で泌尿器生殖器科を受診した患者のなかで、受診前3カ月間に海外旅行をしていた人の4人に1人は新規の相手と関係を持っており、その3分の2はコンドームを全く使っていないか、使わないでセックスをしているという。

 英国人の場合、性的嗜好や性別によって、海外旅行でセックスを体験する地域が異なるようだ。バイセクシャルおよびホモセクシャルの男性は64%が欧州大陸で性的接触を試みている。これに対し、ノーマルの男性は35%がカリブ、18%が極東でセックスを体験しており、女性の多く(62%)はカリブでのセックスを好む傾向がある。

 しかし、海外での見知らぬパートナーとのアバンチュールは性感染症のリスクと表裏一体と言ってよい。ノーマル(ヘテロセクシャル)な男性では、梅毒感染の2割、淋病の1割は海外でのセックスが原因になっているという。HIVも例外ではない。特にサハラ以南アフリカや極東、インドなどにおけるリスクは特に高い。英国生まれのノーマル男性のHIV感染者のうち、実に7割が海外で感染しているという報告もある。熱帯地方では軟性下疳、鼠径肉芽腫、鼡径リンパ肉芽腫などに感染する危険もある。

 こうしたことから著者は、観光で海外旅行をする場合には、かかりつけ医において、訪問地におけるセックスのリスクと安全策についての助言の提供を受けるべきであり、また、生殖器症状、発疹、肝炎などが見られる場合は、本人やパートナーに旅行時のセックス経験を確認すべきだとしている。

 本論文の原題は、「Sex, sun, sea, and STIs: sexually transmitted infections acquired on holiday」。現在のところ、全文をこちらで閲読できる。(中沢真也)

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「nikkeibp.jp 健康」の7月29日号で、「旅先で待ち受ける危ない病気」を特集しています。こちらもご覧下さい。