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2004.07.27

【日本小児神経学会から】 頭蓋内出血の原因診断、被虐待児の存在を念頭におくべき

 小児の頭蓋内出血は、原因不明のものが少なくない。その中には虐待による事例も高率に含まれており、被虐待児の存在を念頭に診断に当たるべきとする報告があった。和歌山県立医科大学小児科の研究グループが7月16日の日本小児外科学会で発表した。

 研究グループは、同大学小児科に頭蓋内出血の診断で入院した患児17例を対象に、被虐待児の場合の特徴を検討した。

 発症時年齢は、生後13日から5歳9カ月。新生児期が2例、乳児期が10例、幼児期5例だった。男児9例、女児6例。

 原因診断の結果、17例中5例が虐待児だった。事故が7例、内科的要因・その他が5例だった。

 虐待児と非虐待児を比較したところ、虐待児では硬膜下出血、多発性皮下出血、多発性骨折、眼底出血、複雑な背景因子の存在、などの特徴が浮き彫りになったという。

 具体的には、被虐待児5例すべてが急性硬膜下出血と診断され、5例中3例に多発性皮下出血があり、1例には頭血腫があった。骨折は2例に多発骨折があり、頭蓋骨折も1例にみられた。眼底出血は、検査ができなかった1例以外、すべてに見られた。

 虐待の診断根拠では、家族歴、多発性皮下出血、多発骨折のほか、再発を繰り返している点も挙がった。特に家族歴では、兄弟姉妹の既往の有無が有用であったとしている。

 これらの結果から研究グループは、「頭蓋内出血の中には虐待によるものが高率に含まれていることを念頭においた診療体制が必要である」と結論付けた。(三和護)