2004.07.21

慢性心不全では血中ヘモグロビン濃度が予後因子に

 慢性心不全(CHF)の予後増悪因子として近年注目されている貧血だが、血中ヘモグロビン(Hb)濃度1g/dLの高値が生存率15.8%の改善と相関するとの研究がCirculation誌2004年7月13日号に掲載された。米V.A Medical CenterのInder Anand氏らが報告した。

 Anand氏らが行ったのは、中等度〜重症CHFに対するTNF-α拮抗剤の有用性をプラセボと比較したRENAISSANCE試験の後解析。NYHA分類II〜IV度(平均左室駆出率22%)の912例(男性78%)を平均12.7か月追跡した試験である。

 試験開始時の平均Hb濃度は13.8g/L。NYHA IIIa(13.8g/dL)、IIIB/IV(13.6g/dL)の群ではHb濃度がNYHA II群(14.1g/dL)に比べ有意に低かった。

 次に試験開始時のHb濃度と転帰の関係を検討すると、Hb濃度12g/dL未満群の死亡率、死亡+心不全による入院率は12g/dL以上の3群(12〜13.6、13.7〜14.8、14.9以上)に比べ有意に高かった(死亡:p=0.0172、死亡+入院:p<0.0001)。これらのデータより「Hb濃度1g/dL高値は死亡リスク15.8%、死亡・心不全による入院リスク14.2%の減少と相関することが示唆された」とAnand氏らは記している。

 またCox回帰分析にて、β遮断薬と抗不整脈薬の服用、NYHA分類、拡張期血圧、血中クレアチニン濃度を補正しても、Hb値は死亡または心不全による入院の有意な予知因子だった(p=0.021)。

 一方、69例では試験開始時と24週後に心MRIが施行された。試験開始24週後までにHb濃度上昇が認められた36例と認めらなかった30例を比較すると、非上昇群では左室重量係数(LVMI)が増加していたが上昇群では減少しており、両群のLVMIの差は有意だった。またこれらより、24週間におけるHb濃度1g/dL増加は、同期間における4.1g/m2のLVMI減少との相関が示唆されるという。

 2003年には、26例と少数だが、貧血を合併したCHF例に対するエリスロポエチンによる治療で、心不全症状と左室駆出率が改善したとする研究成果が報告されている target="_top">Mancini et al. Circulation誌2003年6月21日号 < 。β遮断薬登場以降、CHF例において生存率改善作用が実証された薬剤がなかなか現れないなか、貧血に対するアプローチは興味深いのではないだろうか。

 Adand氏らによる論文の原題は「 Anemia and Its Relationship to Clinical Outcome in Heart Failure」、アブストラクトはこちら で閲覧できる。(宇津貴史 医学レポーター)

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