2004.06.10

胃癌患者の生存期間、アジア系が他民族の2倍超える、米国の調査で明らかに

 米国のアジア系住民は癌罹患率全体では人口10万人当たり298.2人と全人種平均の464.2人を大きく下回るのにもかかわらず、胃癌の罹患率は15.3人と白人の6.5人の2倍を超える。ところが、いったん罹患した場合の死亡率を比較すると、アジア系住民の生存期間は群を抜いて長いことが判明した。6月8日のポスターセッション「消化器癌(大腸癌除く)」で米Texas大学M.D. Anderson癌センターのJennifer Tseng氏らの研究グループが報告した。

 Tseng氏らは、進行性胃癌のため、1985〜1999年にM.D. Anderson癌センターで治療を受けた患者をデータベースを基に後ろ向きに調査した。1920人の患者データを分析した。

 患者の人種構成は、白人が70%(1352人)、ラテン系が16%(301人)、アフリカ系米国人が8%(163人)、アジア系が4%(81人)で2%(19人)は人種を特定できなかった。アジア系は腫瘍部位が中位または幽門側が62%で、アフリカ系(42%)、ラテン系(18%)、白人(13%)に比べて有意に多かった。また、アジア系はステージ4の進行癌比率が37%で、アフリカ系の68%、ラテン系の59%、白人の56%と比較して有意に少なかった。

 生存期間の中央値を比較すると、白人が12.0カ月、ラテン系は10.8カ月、アフリカ系は10.5カ月だったのに対し、アジア系は26.7カ月と2倍以上長かった。5年生存率では、白人の11%、ラテン系13%、アフリカ系9%に対してアジア系は26%と他人種の2倍を超えていた。白人と比較した死亡リスクを見ると、ラテン系は1.08(95%信頼区間=0.91〜1.28)と有意差はなかったが、アフリカ系は1.29(CI 1.04〜1.59)と有意に高く、アジア系は逆に0.7(CI 0.50〜0.96)で有意に低かった。この人種差は、原発部位、ステージ、組織学的所見、性、年齢とは独立のものだった。

 アジア人種にとって、胃癌はかかりやすいが罹患すると他人種との比較で見る限りマイルドな疾患と言えそうだ。米国内の単独医療機関における人種比較であるため、食生活や手技の影響が少なく、日本の胃癌ケア戦略を構築するうえでも参考になりそうだ。(中沢真也)

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