2004.03.30

日本人のアテローム病変をスタチンが「退縮」:ATHEROMA研究より

 29日のFeatured Resarch Session「メタボリックシンドローム」において、小倉記念病院循環器科の横井宏佳氏は、日本人を対象にHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)のアテローム性動脈硬化病変退縮作用を検討したATHEROMA(Angiographic Intervention Trial using HMG-CoA Reduction Inhibitor to Evalutate Retardation of Obstructive Multiple Atheroma)研究の結果を報告した。

 ATHEROMA試験では、プラバスタチン10〜20mg/日によるアテローム病変退縮作用が、定量的冠動脈造影にて食事療法群と比較された。

 対象は40歳以上で69歳未満、総コレステロール200〜260mg/dlで、冠動脈主要部に25%以上の狭窄を認める冠動脈疾患361例(平均60歳)。179例が食事療法群、182例がスタチン群に無作為化された。

 両群の背景因子、また、血管最小径(最大狭窄部の血管内腔径)、平均血管径、最大狭窄部の狭窄率(食事療法群27.4%、スタチン群27.1%)に差は無かった。

 試験開始時の血清脂質は、総コレステロール225.5mg/dl、LDLコレステロール(LDL-C)142.9mg/dl、トリグリセライド(TG)173.1mg/dl、HDLコレステロール(HDL-C)49.4mg/dlだった。

 血清脂質は3年間の追跡期間後、スタチン群で、総コレステロール13%、LDL-C18%、TG 6%の減少を認め、HDL-Cは6%増加していた。食事療法群では総コレステロール、LDL-Cに変化はなく、TGは9%、HDL-Cは4%増加していた。

 第一評価項目である「血管最小径」だが、スタチン群では0.034mm増加していたのに対し、食事療法群では0.006mm減少しており、両群の差は有意だった(p=0.039)。すなわち、スタチン群では病変の退縮が認められた。

 また第二評価項目である、狭窄部以外の各セグメント内最小血管径で比較しても、スタチン群では0.037mmの退縮が認められたのに対し、食事療法群における退縮は0.003mmのみだった(p=0.014)。

 これらより横井氏は、「プラバスタチンは局所性、びまん性を問わず、冠動脈
アテローム性病変を退縮させる」と結論付けた。

 また同氏は、本試験におけるスタチン群の「LDL-C低下度」と「局所病変退縮度」が相関傾向を示すため、さらに強力なLDL-C低下が退縮作用を増強すると考えているという。しかし、食事療法群のLDL-C低下度と退縮度には、そのような傾向を認めない。

 フロアからは抗炎症作用の影響を示唆する声も聴かれたが、残忍ながら本検討ではC反応性タンパク濃度は見ていないとのことだ。
(宇津貴史、医学レポーター)

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