2004.03.18

女子医大が医療事故の紛争解決に向け 「医療事故調査検討委員会」を新設

 東京女子医大病院は3月18日、病院と患者の関係者のほか、第三者を加えた「医療事故調査検討委員会(仮称)」を新たに設置することを、同大で医療事故に遭った関係者で組織する「被害者連絡会」と大筋で同意した。

 この委員会は、医療事故に関する紛争を解決するために、訴訟に則った手続きに至る前に、事故の事実関係を明らかにし、原因を究明するのが目的。ここで病院側、患者側の双方が一定の合意が得られれば和解などに至るが、合意が得られない場合には訴訟などに発展することになる。つまり、同委員会は、法廷外紛争処理機関(ADR)の前段階の機能を果たす。

 「医療事故調査検討委員会」は、病院側(院長、副院長、主治医、弁護士)、患者側(患者本人、家族・遺族、弁護士)のほか、第三者として病院側と患者側がそれぞれ指名する医療関係者各一人ずつと、双方の合意により選んだ学会関係者の第三者で構成する。患者側からの申し出があった場合に、同委員会が発足される。次に半年以内に病院側が内部調査報告書をまとめ、この報告書を基に委員会を3〜4回(1回当たり2時間程度)開催し、報告書をまとめるというスケジュールになる。委員会は原則公開とし、議事録なども公表する。

 「被害者連絡会」は2001年3月に、女子医大の日本心臓血圧研究所で起きた医療事故の被害者である平柳利明氏(同連絡会の事務局長)が中心となり発足した組織。心研をはじめ女子医大で医療事故に遭遇した27家族が参加しているが、問題解決に至らず、訴訟の準備を進めている家族が多い。今回、「医療事故調査検討委員会」が発足したのは、「これまで何度も報告・説明をご家族に行ってきたが、必ずしもご理解・納得が得られたとは言い難く、この膠着状態を何とか前向きに解決できないかと検討した結果」(病院長の東間紘氏)だ。

 東間氏は、「訴訟は、病院側、患者側の双方にとって負担が大きい。中立、公平な場で双方が同じプラットフォームに立ち、事実関係を明らかにすることで、失われた信頼関係を回復し、紛争解決につなげることができれば」と期待を込める。
  
 もっとも平柳氏は、「今回の取り組みは前進であり、この仕組みが機能すれば、紛争解決のモデルケースになるだろう」と評価をしながらも、「従来の女子医大の問題解決に向けた姿勢には問題があった。実際にうまく機能するかは、女子医大が今後、どう姿勢を改めて対応するかにかかっている」と冷静に受け止める。

 今回の「医療事故調査検討委員会」は、第三者が加わり、公開の場で議論するのが特徴であり、女子医大の姿勢が世間の目にさらされることになる。紛争解決につながるか、あるいは女子医大への医療不信がかえって高まるか――。それは、女子医大が患者側の要望・疑問にいかに真摯にこたえるかにかかっている。
(橋本佳子、日経メディカル

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